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スズキ、新プラットフォーム「HEARTECT」で走りと燃費を両立させた新型「スイフト」発表会

「スイフト スポーツに匹敵する高い動力性能を実現」

2016年12月27日 開催

 スズキは12月27日、今回のモデルチェンジで4代目となる新型コンパクトカー「スイフト」を発表。同日に都内で記者発表会を開催した。

 2017年1月4日に発売となる新しいスイフトは、先代モデルでも採用した直列4気筒DOHC 1.2リッター自然吸気“デュアルジェットエンジン”のほか、同エンジンにモーター機能付き発電機「ISG(インテグレーテッド スターター ジェネレーター)」を組み合わせ、助手席下の専用リチウムイオンバッテリーに電気を蓄えて適宜走行をアシストする「マイルドハイブリッドシステム」、3月にデビューした「バレーノ」で初搭載した直列3気筒DOHC 1.0リッター直噴ターボ“ブースタージェットエンジン”の3種類をパワートレーンに設定。さらに軽量・高剛性な新プラットフォーム「HEARTECT(ハーテクト)」を導入するなど全面的に商品内容を改めている。価格は134万3520円~184万5720円。このほか、新型スイフトのラインアップや概要などは関連記事「スズキ、新型『スイフト』を2017年1月4日発売」を参照していただきたい。

スイフトの「HYBRID RS」(左)と「HYBRID ML」(右)
4代目として2017年1月4日に発売される新型「スイフト」
RS系の車両(左。写真はHYBRID RS)は専用エクステリアを採用。ハニカムタイプのフロントグリルに赤いガーニッシュを備え、バンパーもスポイラー形状のデザインとなるほか、サイドスポイラーの追加、フォグランプ内蔵の専用リアバンパーなどでスポーティテイストを強調している
「XG」「XL」「RS」に搭載する直列4気筒DOHC 1.2リッター「K12C」型の自然吸気エンジンは、最高出力67kW(91PS)/6000rpm、最大トルク118Nm(12.0kgm)/4400rpmを発生
「HYBRID RS」「HYBRID ML」では「K12C」型自然吸気エンジンに最高出力2.3kW(3.1PS)/1000rpm、最大トルク50Nm(5.1kgm)/100rpmを発生する「WA05A」モーターを組み合わせる
「RSt」に搭載する直列3気筒DOHC 1.0リッター直噴ターボ「K10C」型は最高出力75kW(102PS)/5500rpm、最大トルク150Nm(15.3kgm)/1700-4500rpmを発生

軽量化でスイフト スポーツに匹敵するトルクウェイトレシオを実現

スズキ株式会社 代表取締役社長(CEO兼COO)鈴木俊宏氏

 発表会ではまず、スズキ 代表取締役社長(CEO兼COO)の鈴木俊宏氏が登壇。鈴木氏は「スイフトは個性的でスタイリッシュなデザインに、しっかりとしたハンドリングと高い走行性能を持ち合わせたスズキブランドを牽引するグローバルコンパクトカーです」とスイフトについて紹介。2004年11月の発売以来、世界各地で好評を博しており、世界累計販売台数が530万台を突破しているとアピールした。

 鈴木氏は新型スイフトについて「スタイリングを大胆に進化させ、歴代のスイフトが磨き続けてきたハンドリング性能をさらに向上させるとともに、軽量化と高剛性を両立させた新プラットフォーム『ハーテクト』を採用いたしました。エンジンは1.2リッターの『デュアルジェットエンジン』と、1.0リッターの直噴ターボの2種類で、『マイルドハイブリッド』を搭載したタイプも用意しております」と語り、このほかにも、安全装備として「デュアルセンサーブレーキサポート」をスズキ車初採用するなど装備も充実させたことも紹介し、「すべての面で大胆な進化を遂げた」を新型スイフトを表現した。

 このほかに鈴木氏は、これまで目標として掲げていた小型車の年間販売台数10万台を、12月22日の段階で突破したことを明かし、2017年は新型スイフトの市場投入を生かして最高記録の更新にチャレンジしたいと意欲を見せた。また、新型スイフトの海外市場への導入は来春以降とした。

2016年暦年の終了まで1週間以上残した12月22日に小型車販売10万台という目標を達成。鈴木氏は2017年はさらなる最高記録を目指すと意欲を見せた
スズキ 四輪商品・原価企画本部 四輪商品第二部 スイフト担当チーフエンジニア 小堀昌雄氏

 新型スイフトの具体的な商品解説は、担当チーフエンジニアを務めた小堀昌雄氏が実施。小堀氏は4代目モデルとなる新しいスイフトの開発にあたり、既存モデルのスイフトやライバル関係にあるコンパクトカーの購入者にアンケートを行ない、購入時に重視した点と購入後に満足している点を評価として取りまとめた。

 この結果、スイフトは「デザイン」「走り」が重視されて選ばれ、購入後に評価を受けていると分析。また、スズキではスイフトと同じBセグメントにバレーノをラインアップしているが、「ゆとりを求めたツアラー的な性格」のバレーノに対して、スイフトはデザインと走りにこだわることでパーソナルユースをメインとしたモデルとして位置付けている。

 新しいスイフトでは開発のキーワードを「革新」と定め、「これまでのスイフトを超えるため、デザインと走りを革新させてまったく新しいスイフトを目指しました」と解説。デザインでは従来モデルの持つ“スイフトらしさ”やデザインDNAを継承しつつ、刷新すべき点については大胆に変更して存在感を発揮できるデザインとした。

 具体的には、力強いショルダーライン、ブラックアウトしたAピラーによって左右を連動させる「ラップアラウンドウインドー」、車両前後にある縦基調の灯火類などを継承。こうした“スイフトのDNA”を元に、パワーユニットの力強さをイメージさせる大型のフロントグリル、躍動感を表現したフェンダーライン、ラップアラウンドウインドーをさらに進化させた「フローティングルーフ」といったデザイン要素で大きなイメージチェンジを実施している。

同じBセグメントの5ドアハッチバック車だが、バレーノとスイフトではターゲットが異なっている
歴代モデルからデザインDNAを踏襲
低全高化とロングホイールベース化で走りの基本特性を磨いた
大きくアピールするフロントグリルやフローティングルーフなどが新しいデザイン要素
“炎のように燃えたぎるレッド”を表現した「バーニングレッドパールメタリック」、“スピード感を想起させるブルー”である「スピーディーブルーメタリック」の2種類が新型スイフト向けの新色
RS系の各グレードでは、外観で専用のフロントグリル、前後バンパー、サイドアンダースポイラー、アルミホイールなどを装着。インテリアでもシルバーステッチ付の本革巻きステアリングや専用ファブリックシートを標準装備してスポーティなキャラクターを演出している
インテリアのイメージスケッチ
メーターの円筒モチーフをエアコンのベゼルや操作ダイヤルなどに使用。ドライバー側に5度傾斜したセンターコンソールなどもスポーティさの演出となっている
高性能低反発ウレタンを採用する新開発フロントシートは体圧を分散させてホールド性を高めるほか、ウレタン材の座面が身体をしっかりと支えて安定した着座姿勢を維持してくれる

 走行性能の面では、軽量・高剛性な新プラットフォーム「ハーテクト」の採用を最初に取り上げ、フロア部分となるアンダーボディでは先代スイフトから30kgの重量を削減。足まわりも全面刷新したことでリニアな操舵感覚はそのままに、優れたハンドリング特性としなやかな乗り心地を両立。サスペンションの各部で剛性を高めながら9kg軽量化を図った。さらに車体全体で高張力鋼板、超高張力鋼を効果的に利用して軽量化しつつ強度を確保。このほかにもさまざまな軽量化を積み重ね、先代モデルから車両全体で120kgの軽量化を達成している。

 車両重量は最軽量モデルで840kg、一番重いモデルでも970kgと1.0t未満に抑えられており、これについて小堀氏は「1.0リッター直噴ターボエンジン搭載車のトルクウェイトレシオは、スイフト スポーツに匹敵する高い動力性能を実現している」と表現した。

 このほかに先進安全技術では、車両だけでなく歩行者も検知できる「デュアルセンサーブレーキサポート(DSBS)」が新型スイフトで初採用となったことを挙げ、中距離、長距離に強く歩行者も認識できる単眼カメラ、近距離や夜間などに強いレーザーレーダーを併用するDSBSにより、衝突被害軽減ブレーキ機能をはじめ、誤発進抑制、車線逸脱警報、ふらつき警報、先行車発進お知らせといった先進安全機能で乗員から周辺の人まで保護するほか、先行車や対向車などを検知してハイビームを自動的にロービームに切り替える「ハイビームアシスト機能」をスズキ車で初採用。さらに約40km/h~約100km/hの速度域で先行車に追従走行するアダプティブクルーズコントロール(ACC)などもXG以外のグレードにセットオプション設定している。

 最後に小堀氏は「新型スイフトは、運転する歓びを感じていただくことを開発の中心に置きました。運転することの楽しさ、爽快さをこのスイフトで改めて感じていただけば幸いです」と解説を締めくくった。

「新プラットフォーム」「軽量化」「パワートレーン」の3つの要素で新型スイフトの走行性能を進化させた
近年のスズキ車で多用されている、フレームを連続させるアンダーボディ構造を磨き上げて採用した新プラットフォーム「ハーテクト」を採用
980MPaの超高張力鋼板を先代モデルの約3倍となる17%まで採用拡大。強固なボディを造り上げている
サスペンション形式はフロントがマクファーソンストラット式、リアがトーションビーム式で不変だが、細部に渡って設計の見直しを実施。また、RS系は欧州での走行テストによって異なるチューニングを施している
軽量化の積み重ねにより全体で120kgの軽量化を実施。全車で1.0t未満の車両重量を実現している
軽量化によってトルクウェイトレシオが高められ、1.0リッター直噴ターボエンジン搭載車はスイフト スポーツに匹敵するレベルを手に入れた
「セーフティパッケージ」としてXG以外のグレードにパッケージオプション設定されるデュアルセンサーブレーキサポート(DSBS)。フロントウィンドウのユニットに単眼カメラとレーザーレーダーを備える
2つのセンサーを組み合わせることで、対象やシチュエーションを問わず衝突回避のアシストが可能になった
スイフト HYBRID ML
HYBRID ML、HYBRID RS、RS、RStはLEDヘッドライトを標準装備
切削加工&ブラック塗装のRS専用16インチアルミホイール。タイヤサイズは185/55 R16 83V
XLとHYBRID MLが装着する16インチアルミホイール。タイヤサイズは185/55 R16 83V
XGはスチールホイール+フルホイールキャップを採用。タイヤサイズは175/65 R15 84H
DSBSのユニットは、下段にレーザーレーダーの発光部、上段右側にレーザーレーダー受光部、上段左側に単眼カメラをレイアウトしている
フロントグリルに設定されるミリ波レーダーはACCで車間距離を計測するための装備
前後ドアトリム
リアドアはウィンドウ部分の後方にドアハンドルを縦型配置。指先が入るのは上半分のみで、張り出した下半分は基本的にデザインエッセンスとなっている
ラゲッジスペース容量は265L
後席シートバックが6:4分割で前方に倒れ、最大で579Lまで容量を拡大できる
リアハッチは斜めに設定されている
LEDサイドターンランプ付ドアミラーはXG以外のグレードに標準装備
LEDのハイマウントストップランプは全車標準装備
スイフト HYBRID RSのインパネ
HYBRID RSはシルバーステッチ、シルバーガーニッシュを持つ本革巻ステアリングを標準装備
刺激的な大型2眼式メーターのあいだにマルチインフォメーションディスプレイを全車標準装備。HYBRID RSとHYBRID MLはエネルギーフローインジケーター付きとなる
ステアリングにパドルシフトを標準装備
シフトセレクターはCVTと6速ATで共通となる
HYBRID RSのペダルレイアウト。ペダル踏面を足の動きに合わせた形状にして繊細にアクセルコントロールできるようにしている
セーフティパッケージ装着車はインパネ右側に自動ブレーキ機能などのOFFスイッチを設定
全車標準設定はオーディオレスとなっており、メモリーナビゲーションはメーカーオプション
インターネットラジオの「Aha」のほか、Appleの「CarPlay」、Googleの「Android Auto」にも対応している
マルチインフォメーションディスプレイの表示内容。燃費関連情報のほか、エネルギーフローインジケーター、エンジンのパワー&トルク情報、モーション表示などもチェックできる。RS、XL、XGは写真のようなカラー表示ではなく、単色表示ディスプレイを採用する
全車エアフィルター付きのフルオートエアコンを標準装備
USB端子とAUX端子はメーカーオプションのメモリーナビとセット装着
内装色はブラックのみ