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韓国タイヤメーカー「ネクセンタイヤ」が日本市場へ本格参入
豊田通商と合弁会社ネクセンタイヤジャパンを設立して日本参入
2017年1月18日 00:00
- 2017年1月16日 発表
韓国のタイヤメーカー「ネクセンタイヤ」と日本の総合商社「豊田通商」が1月16日、日本国内向けの自動車用タイヤ販売会社「ネクセンタイヤジャパン」を合弁で設立し、1月より国内での販売をスタートすると発表。同日、合弁会社設立にあたり報道関係者向けに記者会見が実施された。
会見の冒頭で登壇したネクセンタイヤのカン・ホチャン社長は「ネクセンタイヤは、75年の歴史を誇るグローバルタイヤメーカーとして、世界130カ国以上に製品を供給しています。最先端の全自動ファクトリーを含む3つの生産拠点と中央研究所、アメリカやドイツ、中国などでグローバルR&Dセンターを運営しています。売り上げ規模は2000億円、従業員数は6000人以上のタイヤメーカーです」と自社の説明を行なった。
そして、「日本有数の総合商社である豊田通商との今回のジョイントベンチャー発足は、単に日本国内の事業という意味を越えて、今後のグローバルマーケットでさらに多くのシナジーを生む、戦略的パートナーシップであるという点に大きな意義があります。この場を通じてネクセンブランドの新しいスタートを内外に発信し、ブランド認知度や価値を向上させていくことにより、OEM市場では日本のカーメーカーへの供給拡大を、RE(リプレイス)市場では海外ブランドNo.1を目指します」と、ネクセンタイヤジャパンの設立を足がかりとして、国内メーカーへのOEM供給とリプレイス市場でのシェア獲得を狙っていくとのことだった。
両社のジョイントベンチャーとして設立されたネクセンタイヤジャパンの西村竜代表取締役社長は、「ネクセンタイヤの生産本数は、2016年には世界各国で4000万本を達成し、2020年には5200万本へ成長させることを計画しています。グローバルの生産拠点となるのは、現状でドイツ、アメリカ、中国ですが、チェコ工場が建設中で2018年に稼働する予定です。グローバルセンターは日本を含めて8カ所で、20カ所の拠点から世界130カ国以上で販売を行なっています。また、OEM市場では17の自動車メーカーに採用されていて、毎年のようにサプライヤーアワードを頂いています。17のOE先には、タイヤの性能に対して要求度の高いドイツメーカーが多く、ネクセンタイヤの性能と価格のバランスが高次元で取れていることを表わしています。客観的な評価では、米国のJ.D.パワーの調査で、2016年に販売された新車装着タイヤのランキングで第4位。また、中国の同様の賞では2年連続でトップとなっています。そして、ドイツの見識あるカーマガジンの評価では、総合的に点数のばらつきが少なく高い評価を得ています。このような評価と最先端の生産設備、ハイレベルな研究開発施設を有しているネクセンタイヤは、2000年以降に3億本以上のタイヤを生産していますが、リコールは一切ありません」と、世界各国で高評価を受けているネクセンタイヤの解説があった。
そして、国内市場へのアプローチについては、「日本市場への参入は大きなチャレンジです。日本には複数のタイヤメーカーが存在することや多くの海外メーカーが参入していて、大変競争の激しい市場だと思っています。ですが、ネクセンタイヤの競争力と豊田通商の強みを掛け合わせることで、日本でも必ず成功すると考えています。具体的には5年以内に販売本数を100万本まで増やし、将来的には日本における輸入タイヤメーカーのNo.1を目指します。ネクセンタイヤは一流の製品をリーズナブルに供給することが最大の強みです。日本では『スマートチョイス(賢明な選択)』をキーワードにして、OE市場でもRE市場においても賢明な選択肢となりえると確信しています」と、国内市場への導入とその目論見について語られた。
日本国内へ導入するモデルについては、ネクセンタイヤジャパンの工藤大輔代表取締役副社長から説明があり「ネクセンタイヤは、スポーツパフォーマンスSUVのN FERA RU1をフラグシップとしています。RU1はポルシェ・カイエンのOE装着タイヤとして採用され、国内へも導入されています。商品の特徴としては左右非対称のトレッドパターンがあります。アウトサイドは優れた操縦安定性を、インサイドは卓越したウエットパフォーマンスを生み出します。そしてセンターのリブは高速時の走行安定性を実現しています。このようにポルシェの高い要求にも応えているのがN FERA RU1なのです。N FERA RU1以外にもコンフォートからプレミアムまで多彩なバリエーションを国内市場へ導入します」と、OEMで高い評価を得ているモデルを含めて軽自動車サイズから24インチまでをラインアップするという。
最後に、ネクセンタイヤと合弁を行なう豊田通商の貸谷伊知郎常務取締役は、合弁会社を作ったメリットについて「当事業の狙いはバリューチェーンの強化にあります。弊社は、自動車周辺事業を展開していて、輸入中古車の販売も行なっています。販売台数は年間で600台、サービス入庫は2万5000台となります。また、輸入車のアフター用アルミホイールの販売は、国内シェアの25%を保持しています。これらの事業がネクセンタイヤの販路になります。また、海外での販売も視野に入れ、自動車販売周辺事業の強化につなげます」と、ネクセンタイヤとのジョイントベンチャーの意義を語っている。
競争の厳しい国内市場にあえて参入することで、ブランド力や開発力の強化を計っているようだ。