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ホンダ、ボストン大学とAIの情報セキュリティ領域で共同研究

暗号化技術を用いたデータプライバシーコントロール技術を研究

2017年5月16日 発表

 本田技研工業は5月16日、同社子会社HRI(ホンダ・リサーチ・インスティチュート)と米国のボストン大学が、AI(人工知能)の情報セキュリティ領域において共同研究を開始することに合意したと発表した。

 今回、ホンダはAIの情報セキュリティ領域の研究を加速させるため、ボストン大学のコンピューティング&計算科学・工学ラフィク・ハリリ研究所を共同研究の戦略的パートナーの1つに選出。ボストン大学 コンピューターサイエンス学科のエイザー・ベスタブロス特別教授やHRI グローバル統括のバーンハード・センドホフ博士が中心となり、共同研究におけるプロジェクトの監督推進を行なっていく。

 ホンダでは、AIが人と協調するためには利用者の個人情報を収集、分析することが必要になり、それらの情報を守るためには、信頼性の高い強固なセキュリティ技術が必須になると考えている。

 最初のプロジェクトとして、データを秘匿したまま計算処理を行なうための暗号化技術の1つ「セキュア・マルチパーティー・コンピューテイション」を用いたデータプライバシーコントロール技術の研究が行なわれる。

 現在、利用者の個人情報をもとにしたレコメンデーション(推奨)機能などの個人向けサービスが活用されているが、これらのサービスは利用者の知らないところで個人情報が利用されていることがあるとして、5月から開始するプロジェクトでは、利用者がどの個人情報を共有し、どの情報を共有しないかをコントロールできるデータセキュリティ技術の実現を目指す。

 ボストン大学 総長 最高教務責任者 ジーン・モリソン博士は「ボストン大学は、HRIと共にこの重要で意義深い研究に取り組めることを大変喜ばしく思います。プライバシー領域の研究は、コンピューターおよびデータサイエンスや、社会科学、人文学、医療分野などの多岐にわたる領域を結び付けるものであり、共同研究の大変よい例になることでしょう。また、この共同研究は、将来の産学連携のモデルとなり、両社のみならず社会貢献にもつながる新たな機会を切り開くと考えます」とコメント。

 HRI グローバル統括 バーンハード・センドホフ博士は「世界でトップレベルを誇るボストン大学のデータセキュリティおよびプライバシーに関する研究と、ホンダが行なってきた人と協調するAI研究のシナジーが、信頼性の高いAIシステムの開発につながることを期待しています」とコメントしている。