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【ル・マン24時間 2017】どうなるトヨタ vs. ポルシェ。今年のル・マン24時間が公開車検で幕を開ける
25台がしのぎを削るLM P2、ミッドシップのポルシェ 911 RSRが参戦するLM GTE Proにも注目
2017年6月13日 07:00
- 2017年6月17日~18日(現地時間)決勝開催
残り3分21秒での逆転劇から1年
6月11日~12日(現地時間)、2017年のル・マン24時間が公開車検で幕を開けた。今後のスケジュールとしては、14日に公式練習走行および公式予選の1回目、15日に公式予選の2回目と3回目、16日にドライバーズパレード、そして17日15時から決勝がはじまる。
2016年、残り3分21秒のところでポルシェに抜かれたTOYOTA Gazoo Racing(以下トヨタ)。今回3台をエントリーさせるということからも、「今年こそ」の思いが伝わってくる。
2017年はマシンの空力関係の規則が変わり、フロントのスプリッターが15mm高くなり、リアディフューザーが50mm低くなった。これにより失うタイムは約4秒と言われているが、トヨタもポルシェもそんなことに手をこまねいているはずもなく、マシンを開発してきた。
2015年、トヨタは2014年からの伸びしろを見誤り惨敗した。そのため2017年から導入予定だったエンジン、バッテリー、シャシーを1年前倒しして投入した。そのマシンで戦った2016年は、あとわずかで悲願達成というところまでマシンを作り上げた。今年はそのマシンの進化型で、2017年の規定に合わせセットアップされている。
トヨタは3台目のマシンを用意して万全の態勢だ。WEC(世界耐久選手権)第1戦「シルバーストーン6時間」、第2戦「スパ・フランコルシャン6時間」と連勝し、波に乗っている感のあるトヨタだが、勝ったのはハイ・ダウンフォース仕様のマシン。ル・マン24時間に参戦するロー・ダウンフォース仕様は前戦のスパに参加したものの、ポルシェに後れを取ってしまった。どうもダウンフォース不足により、タイヤがうまく機能しなかったようだ。
一方のポルシェは3連覇がかかる今年のル・マン24時間に向け、ロー・ダウンフォース仕様のマシンしか走らせていない。ポルシェのハイ・ダウンフォース仕様はまだ発表されていないが、ル・マン24時間までの2戦を捨てても後半の勝ちを狙っていくというポルシェは、ル・マン24時間後もハイ・ダウンフォース仕様を開発し、後半でトヨタとの決着をつける算段だ。
LM P2やLM GTE Proにも注目
今年からレべリオンがLM P2へ参加カテゴリーを変更したために、LM P1Lへの参加はバイコレスの1台のみとなった。たった1台の参加だが、興味深いのはその搭載エンジンで、2015年に鳴り物入りで参加したV型6気筒 3.0リッターガソリン・ツインターボエンジンとエネルギー回生システムを搭載した前輪駆動車「NISSAN GT-R LM NISMO」、その日産エンジンを搭載していることだ。ストレートでは抜群の速さを見せた同エンジンだが、いかんせんこのチームはトラブルが多く、完走すれば優勝となるLM P1Lクラスとはいえ、このマシンが完走できるかは五分五分かもしれない。
エンジンがワンメイク化され、シャシーを4つのコンストラクターから選ぶ形となったLM P2クラスは、当然ながら激戦が予想される。残念ながら、WECに参加しているシャシーはオレカのみという形になっているが、ル・マン24時間ではそのほかのリジェ、ダラーラ、ライリーのマシンも参加。台数も25台と多くのエントリーを集めている。
ちなみに、車名に「ALPINE(アルピーヌ)」と入っているマシンもオレカである。エンジンがギブソンのワンメイクになったことにより、チームはエンジン担当のメカニックを雇う必要がなくなり、コストの削減に貢献している。エンジンおよびトラクションコントロールのマッピングは凍結されており、あとはチームのタイヤに合わせたセッティング次第とドライバーの腕にかかっている。
本当のメーカー選手権と思われるLM GTE Proクラスは、2016年の覇者であるフォード GT、コルベット C7.R、フェラーリ 488 GTE、アストンマーティン ヴァンテージ、そしてついにミッドシップになったポルシェ 911 RSRが参戦する。伝統のRRを捨ててまでWEC(ル・マン24時間)に勝とうというこのマシンの走りには注目していきたい。
LM GTE Amクラスは2016年まで1年落ちだった空力パーツが、今年からLM GTE Proクラスと同じになった。ただしポルシェはRRである。