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BMW、MINIブランド初のPHEV「MINI クーパー S E クロスオーバー ALL4」デリバリー開始発表会
最高速125km/h、最長42.4kmをEV走行できる「MAX eDriveモード」採用
2017年7月7日 00:15
- 2017年7月6日 開催
- 479万円
ビー・エム・ダブリューは、2月に発売したプレミアムコンパクトSAV「MINI クロスオーバー」のPHEV(プラグインハイブリッドカー)「MINI クーパー S E クロスオーバー ALL4」を、7月8日~9日に全国の正規販売店で実施するデビューフェアに合わせてデリバリーを開始。このデリバリー開始に先立ち、東京 丸の内のBMW Group studioで記者発表会を開催した。
MINIはBMWグループにおける電動化の原点
発表会では、最初にビー・エム・ダブリュー MINIディビジョン本部長のフランソワ・ロカ氏が登壇。ロカ氏は「今日お見せするのは、私たちMINIで史上初となるプラグインハイブリッド。これは我々のラインアップで一番力を入れたいモデルだと思っています」と切り出しつつ、まずはこれまでのMINIの歴史について解説を実施。
ロカ氏によれば、MINIブランドは順調に販売台数を伸ばしており、この好調の理由をこのような発表会の場でたびたび質問されるものの、ロカ氏は「特別な理由はなにもないんです」とコメント。しかし、マーケットで競合する他社の方向性や市場ニーズなどについて分析を行ないつつ、その上で「MINIブランドとはなにか」を基準に自分たちの進む方向を決めているという。
その「MINIブランドとはなにか」を、ロカ氏は「ライフスタイル」であると表現。そこで、この「ライフスタイル」をキーワードに戦略を立て、どの市場でも事業を行なっているという。また、どの会社でも自分たちのブランドを大切することは当然だが、それ以上にMINIは自分たちのブランドをとても大切にしていると説明した。
ブランド維持の具体的な指針として、ロカ氏は「残価を守る」ことを基準にしていると語る。いろいろな活動を行なうとき、判断基準としては「残価に影響を与えるか」「残価を守ることができるか」を考えているという。これにより、MINIの残価は高い水準を維持し続けており、これがユーザーがMINIのクルマを買うときに、2年後、3年後の残価が高いので、仮に売却しても購入時に支払った金額が大きく目減りしないことが満足につながっていると語り、これは非常に大事なポイントだと説明する。
そんなMINIブランドにおける電動化について、ロカ氏は「実はBMWグループで、電気自動車というのはMINIから始まっているんです。これは我々の社員でもあまり知らないほどのことですが、2008年にグループ内で電気自動車をやってみようという動きが出て、そこでMINIを使って活動が始まりました。そして2008年にマーケットテストとして600台を生産して、実際に販売しました。そこから、BMWグループのPHEVや『i3』『i8』も導入されることになったのです」と解説した。
ついにMINIのモデルにもPHEVが導入されることになり、これについてロカ氏は「これが未来を広げていくと思っている」とコメント。3年後、5年後、20年後の社会を考えると、クルマの販売の中心はEV(電気自動車)になると予測していると語り、今回デリバリーが開始されるMINIのPHEVモデルに続き、将来的にはEVを市場導入していきたいとの意気込みをロカ氏は口にした。具体的なEVのMINIの導入時期などについては言及しないと述べるものの、アメリカの調査会社が明らかにしている「2050年の予測」で「EVが販売の主流になる」との見解を支持。現在の主流であるコンベンショナルなエンジン搭載車は販売が下がっていくとの見方を示し、「私たちもそのERA(時代)に入っていかなければならないと思っています」と述べた。
また、日本市場におけるPHEV市場は「省燃費」と「パフォーマンス」の2つの方向性があると分析しつつ、「MINI(のPHEV)は違う。MINIのお客さまでプラグインハイブリッドに興味があるという人は、ライフスタイルが好きな人たち。そこで、日本の2つの方向性とは離れて自分たちの方向性を決めました」とロカ氏は説明。これからスタートするMINIのPHEVモデルの広告展開では「イエロー」をキーに、クルマ自体はあまりアピールすることなく、ユーザーのライフスタイルに視点を向けた活動を行なっていくと語り、ニューモデルであるMINI クーパー S E クロスオーバー ALL4の発売を受け、今後はさらに台数が伸びていくだろうと自信を見せた。
BMWグループの公共充電サービス「ChargeNow」を12カ月無料提供
具体的な製品解説は、ビー・エム・ダブリュー MINIディビジョン プロダクト・マーケティングの生野逸臣氏が担当。
生野氏は“MINI史上初のプラグインハイブリッドモデル”であるMINI クーパー S E クロスオーバー ALL4のベースとなっている「MINI クロスオーバー」が、これまでMINIモデルではあまり数の多くなかった「プレミアム指向のユーザー」から支持されるようになり、今回のPHEVによってさらに多くの新しいユーザーを獲得できると解説。「MINIをエンジョイできるお客さまの層をさらに広げていきたい」と語った。
最大の特徴はもちろんエンジンとモーターの両方を使って走ることができる点であり、さらにモーターを動かす電気を外部から充電できることにあると述べ、モーターだけを使って最大42.4kmを走行可能。7.6kWhのリチウムイオンバッテリーは、200Vの普通充電でフル充電を約3時間で完了するという。
また、一般的にPHEVでは機械的なコンポーネントがすべて車内に収められ、一般的なクルマとの違いを視覚では体感しにくいが、MINI クーパー S E クロスオーバー ALL4では「このクルマがPHEVであるとすぐに分かるように工夫を凝らしています」と解説。ポイントはロカ氏のプレゼンテーションでも登場した「イエローのカラーリング」で、MINIではこのイエローを使うことで「電動化テクノロジーを搭載したクルマであることを象徴しているのです」と紹介。
具体的には、MINIの特徴的な装備となっている「サイドスカットル」を利用した普通充電ポートに、コンセントとEの文字をデザインに盛り込んだ専用バッヂを設定。左側にある普通充電ポートに加え、右側にも同デザインで装飾用のサイドスカットルに専用バッヂを設置。さらにこの専用バッヂはリアハッチにも装着されている。
また、フロントグリル、リアハッチ、フロントドアのスカッフプレートに設置する「COOPER S」のSをイエローに塗装。これに加え、車内のセンターコンソールに設定するMINIの特徴的な装備である「START/STOPトグル」も通常のレッドからイエローに変えられ、さらに根元部分がイエローに発光するよう変更されている。
また、生野氏は「PHEVモデルは技術に興味がある人にアピールするだけではありません」と語り、発進時から力強いトルクを発生するモーターで心に余裕を持って運転できる「ストレスのない走り出し」、エンジン音がなく、車内で会話がしやすかったり、カーオーディオの音がよく聞こえる「静かなドライビング体験」、重量物のバッテリーを車両の下側に設置しており、低い重心で安定して走る「落ち着いた走り」、PHEVは購入時の取得税や重量税が免税(100%減税)となり、さらにクリーンエネルギー自動車の補助金も受けられる「高い経済性」といった4つの大きなポイントを持っており、幅広いユーザーにメリットを感じてもらえるクルマになっていると解説した。
このほかに生野氏は、集合住宅に住んでいる人が多い日本の住宅事情に対応するため、「日本充電サービス」ともサービスパートナーとなっているBMWグループの公共充電サービス「ChargeNow」を、MINI クーパー S E クロスオーバー ALL4の購入者に12カ月無料でサービス提供するとコメント。日本充電サービスの充電施設も使えることから日本全国で充電が可能としており、メリットを十分にエンジョイできるとしている。
最後に生野氏は、「MINI初のPHEVであるMINI クーパー S E クロスオーバー ALL4は、これまでのMINIのパワートレーンにはなかったまったく新しい価値をお客さまに提供いたします。これは間違いなくお客さまに新しいMINIのライフスタイル、新しいお客さまの生活そのものをご提供します。ぜひ1度ご試乗いただき、そのよさを体感していただければと思っております」と締めくくった。