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LIXIL、住宅との調和を目指したシンプルなカーポート「LIXIL カーポート SC」発表会

屋根材にアルミを採用したノイズレスデザイン

2017年8月2日 開催

“次世代カーポート”と位置づける新商品「LIXIL カーポート SC」を10月2日に発売

 LIXILは8月2日、10月2日に発売する“次世代カーポート”と位置づける新商品「LIXIL カーポート SC」の記者発表会を開催した。

 LIXIL カーポート SCは、アルミ形材の屋根材を梁に組み付けるシンプルな構造を採用したカーポート。屋根材にアルミを使用することで屋根そのものが構造材となり、これまでプラスチックの屋根材を使用したカーポートで必要だった中骨を必要としない“中骨レス”を実現。これにより、外観は屋根と柱のみの構成となり、既存のカーポートにはない“すっきり感”によりさまざまな住宅との調和を実現するという。

下から見上げた状態ではネジやボルトが見えない
傾斜は2度
柱側にあるアルミの屋根材に横溝が用意される
雨樋は柱の中に組み込まれている
アルミを屋根材に使用することで40mmの薄さを実現した

 ラインアップは、サイズが間口でW21~W33、奥行でL22~L57、柱高さでH19~H28に対応。強度は標準と耐風圧・耐積雪仕様パッケージを用意する。価格は代表的なセット(サイズ:27-50型、高さ:H22、柱・梁:ブラック、屋根材:ナチュラルシルバーF)で43万円。

ラインアップ

 発表会ではLIXIL 理事でLIXIL Housing Technology Japan エクステリア事業部長 庵原岳史氏、同デザインセンター センター長の羽賀豊氏、同エクステリア事業部 エクステリア商品部長 榊原正氏が登壇して新商品投入の狙いについて話した。

新たな価値を創造して市場の拡大を牽引することがミッション

株式会社LIXIL 理事 LIXIL Housing Technology Japan エクステリア事業部長 庵原岳史氏

 LIXIL 理事でLIXIL Housing Technology Japan エクステリア事業部長 庵原岳史氏は「LIXILはエクステリア市場で金属系の素材を使用した製品でトップシェアを誇る」と強調するとともに、「LIXILはエクステリア業界のイノベーションリーダーとして、新たな価値を創造して、市場の拡大を牽引することがミッション」との考えを示した。

 プレゼンテーションでは過去20年のエクステリア市場について振り返り、新築着工数が164万戸/年から90万戸/年と20年間で40%減少するなか、エクステリア市場は1992億円/年~1946億円/年とほぼ横ばいであることを説明。そのなかに含まれるカーポート市場についても「日本国内ではカーポートは460億円の市場規模があるが、コモディティ化が進んでいる現状である」と指摘した。

 そういった背景のなか、新商品を投入する狙いについて、「従来、ルーフは耐久性や機能がある商品を出していたが、それに加えて住宅のデザインに調和する、あるいは日本の街並みに貢献するといった新しい価値を持つ商品を投入することで、“新ルーフ時代”というものを創造していきたい」と、新たな価値でカーポート市場の拡大を目指すものであることが示された。

過去20年で新築着工数は低下するなか、エクステリア市場はほぼ横ばいであることが示された
カーポートは460億円の市場規模があるという
新たな価値を創造して市場拡大を牽引することがミッションという
住宅との調和やクルマのデザインを引き立てるため、シンプルなデザインが特徴となる「LIXIL カーポート SC」
実物が公開された

徹底したノイズレスを実現したデザイン

株式会社LIXIL LIXIL Housing Technology Japan デザインセンター センター長 羽賀豊氏

 デザインを担当したLIXIL Housing Technology Japan デザインセンター センター長 羽賀豊氏は「アルミ建材のカーポートは安価で設置がしやすいということで普及したが、一方で住宅とのマッチング、デザインとは少し違った方向で独自に進化してきた。その結果、住宅とのマッチング、そこに置かれるクルマのデザインを引き立てるとか、それらが総合する街並みがどうなるのか、そういったところがおざなりになっていたのではないかと感じていた」と、これまでのカーポートのデザインに対して指摘した。

 そして、新商品のカーポートは住宅の一部としてデザインを行なったと言い、羽賀氏は「カーポート SCでは、“屋根”と“柱”を基本としたシンプルな構成に徹すること。曲線を使わず直線基調とし、住宅の外観は風合いのあるものが多く、マットで風合いのある仕上げとした」と説明。加えて「従来品に付いていたネジや樹脂部品を極限までなくして、徹底したノイズレスを実現させた」などとデザインの特徴を示した。

 また、新商品はシンプルなデザインを採用するとともに、カラーは「シャイングレーF」「ナチュラルシルバーF」「ブラック」が用意され、屋根材と柱を異なるカラーで組み合わせる2トーン・コーディネートも可能。

 プレゼンテーションではさまざまな住宅にマッチングすることを示し、羽賀氏は「日本のカーポートがどうなっていったらいいのか1から考え直した。その結果さまざまな住宅に調和するシンプルで美しいものができた。これからの日本のカーポートの1つのスタンダード、新しい基準になってほしいと思ってデザインしたもので、これらが日本の街に入ることで街並みが美しくなっていってほしい」と、デザインに対する思いを述べた。

モダンな印象の住宅とのマッチング
ツートン・カラーを取り入れて住宅とのマッチングを高めた
和テイストの住宅とのマッチング
プレーンな住宅とのマッチング

販売目標は初年度2億円

株式会社LIXIL LIXIL Housing Technology Japan エクステリア事業部 エクステリア商品部長 榊原正氏

 開発を担当したLIXIL Housing Technology Japan エクステリア事業部 エクステリア商品部長 榊原正氏からは、新製品について住宅との調和を重視するカーポート購入検討者をターゲットとして、開発を進めてきたことが示された。

 プレゼンテーションでは、カーポート購入検討者の56%が「デザイン」を重視していることが示され、カーポートを買わない人からは「住宅に調和しない」という意見が71%あることなどが明かされた。

 榊原氏は、新商品のシンプルなデザインを実現するため、屋根材にアルミの押出型材を採用して屋根自体を構造体としたことを紹介。「柱と梁と屋根、大きく3つの構造体でこのシンプルな造形を実現させた」とし、加えて「日本の住宅は垂直と水平で構成されており、なるべく垂直水平にこだわり、屋根の角度も2度で雨が流れる最低限の勾配にこだわって作ってきた」などと、こだわりを紹介した。

 また、アルミを屋根材に使用したことについて、榊原氏は「従来のポリカーボネートを使った屋根材と比べて、太陽の熱や紫外線を防ぐことができ、クルマを大事にすることができる」とメリットを紹介した。

 榊原氏は「販売目標は初年度2億円を目指します。このSCにプラスして新しい商品を加えて、2020年には新ルーフカテゴリーで2億円の10倍となる20億円に持ち上げたい」と意気込みを語るとともに「カーポートの屋根の概念を変える、われわれの常識も変える。日本の街並みをもっと美しいものに変えていきたい」と今後の展望を述べた。

アルミの屋根材は、1人でも作業できるように組立時に90度の状態で仮止めが可能
部材を固定するとパッキンにより水が浸透しない
下から見上げる部分にネジやボルトが見えない構造であることを強調
初年度2億円を目標に掲げた