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【SUPER GT 第5戦富士】アウディ、富士で「Audi R8 LMS GT4」を日本初公開。スーパー耐久でGT4カテゴリー新設へ

「Audi R8」「Audi TT」用のAudi Sport performance partsもお披露目

2017年8月5日 予選開催

2017年8月6日 決勝開催

アウディは富士スピードウェイにおいて「Audi R8 LMS GT4」を日本初公開した

 アウディ ジャパンは8月5日、「2017 AUTOBACS SUPER GT ROUND 5 FUJI GT 300KM RACE」(以下、SUPER GT 第5戦富士)開催中の富士スピードウェイ(静岡県駿東郡小山町)において、GT4カテゴリーのレーシングカー「Audi R8 LMS GT4」を日本初公開した。このGT4レーシングカーは、アマチュアドライバー向けのTCR、プロドライバー向けのGT3の中間に位置するクラスと位置づけられている。

 このAudi R8 LMS GT4のほか、市販車「Audi R8」「Audi TT」をカスタマイズする純正パーツ「Audi Sport performance parts」を発表。R8にAudi Sport performance partsを装着した車両を展示した。

 この初展示に合わせて発表会を開催。アウディ ジャパン代表取締役社長 斎藤徹氏が登壇し、アウディのモータースポーツに対する取り組みを紹介したほか、本社からAudi Sport customer racing 統括責任者 クリス・レインケ(Chris Reinke)氏が来日しその狙いを解説。R8 LMS GT4が参戦可能なシリーズについては、スーパー耐久シリーズを運営するスーパー耐久機構を代表し、事務局長 桑山晴美氏が来シーズンについての構想を語った。

「クルマ本来の楽しみは、走る、曲がる、止まるをドライバー自らがコントロールすること」と斎藤社長

アウディ ジャパン代表取締役社長 斎藤徹氏

 アウディ ジャパン 斎藤社長は発表会の冒頭、7月13日にスペイン バルセロナにおいて開催した「アウディ サミット 2017」に触れ、そこで発表した新型「A8」の先進機能について紹介。このA8は、市販車として初めて機械責任によるレベル3自動運転機能「アウディ AI トラフィックジャムパイロット」を搭載しており、アウディの先進性を示すモデルとしてデビューした。

 そのアウディの先進性を紹介したあと、「一方でクルマ本来の楽しみは、走る、曲がる、止まるをドライバー自らがコントロールすること。この部分は、なくなることはないと思っています」と語り、その走る、曲がる、止まる楽しみを追求したのがAudi Sportとのこと。

 Audi Sportは、4つの柱から成り立っており、その4つは「市販モデル」、「カスタマーレーシングの支援活動」、「アウディエクスクルーシブ」(オーダーメイドプログラム)、「アウディコレクション」(各種グッズ)と紹介。それに続く5つ目が、今回発表する「Audi Sport performance parts」という。

Audi Sport performance partsについて紹介
Audi Sport performance partsを装着したR8
フロントまわり
リアホイール。とても軽量とのこと
フロントホイール。こちらも軽量かつ精度も高い
リアウィング
サイドスカート
リアディフューザー。リアウィングとともにダウンフォースを発生。バランスも整えられているという
Audi Sport performance partsとしては、ステアリングホイールも用意される。ステアリングホイール上部に赤い基準点が設けられ、正確なステアリング操作をサポートする。これは人気になりそうなパーツ

 この新パーツ群については欧州では8月から販売を開始し、「日本については導入を決めていないが、今回初めてお客さまに見せることで、反応を見て導入を検討していきたい」とのこと。富士スピードウェイ展示車での反応次第で、日本導入を考えていきたいとのことだった。

 同時に日本で初展示したGT4カテゴリーのレーシングカー「Audi R8 LMS GT4」については、Audi Sport customer racing 統括責任者 クリス・レインケ氏を紹介し、同氏が解説を行なった。

登壇の変わり目に、Audi Sport customer racing 統括責任者 クリス・レインケ氏とがっちり握手

R8 LMS GT4はカスタマーレーシングに新たな旋風を巻き起こす

Audi Sport customer racing 統括責任者 クリス・レインケ氏

 レインケ氏は、R8 LMS GT4はAudi Sport カスタマーレーシングプログラムを通じて供給するとし、このプログラムは2009年に開始。TCR向け車両「RS3 LMS」、SUPER GTなど世界中のGTレースに参戦しているGT3車両「R8 LMS GT3」もこのプログラムを通じて供給しているという。

 R8 LMS GT3の戦績は素晴らしく、ニュルブルクリンク24時間レース、スパ・フランコルシャン24時間レースで優勝、日本でも2016年のGT300クラスにおいて、GT3車両トップとなるチーム・ドライバーランキング3位を獲得しており、2017年から開催されるGT車両の世界一決定戦「鈴鹿10時間レース」にも参加できると紹介した。

 今回発表したR8 LMS GT4は、市販モデルのR8クーペと60%以上の部品が共通化されており、TCR車両の上位、GT3車両の下位に位置するもの。GT3はカーボンファイバーを多用し、完全なプロレーシング向けのレーシングカーに成っているのに対し、GT4はアマチュア向け、ジェントルマンドライバー向けの車両になっており、メンテナンスも安価だという。

カスタマーレーシング戦略について

 GT3は完全な競技仕様、GT4は市販モデルベースで、GT4に関してはTCRシリーズ同様の広がりをもち、その代表車種となるべくデビューしたR8 LMS GT4は、「カスタマーレーシングに新たな旋風を巻き起こす」であろうと語った。

 アウディ ジャパン 斎藤社長は、このR8 LMS GT4の発売時期や価格について言及。「R8 LMS GT3は36万9000ユーロ、R8 LMS GT4はこれをはるかに下まわる20万ユーロ前後の価格になる」「9月下旬から10月にかけて発表する」という。決して安価な金額ではないが、GT3車両よりは購入しやすく、その後のメンテナンスフィーも低く抑えられるようになっている。

 このR8 LMS GT4の参戦可能なシリーズとしては、すでにTCR車両やGT3車両が参戦可能となっているスーパー耐久シリースを挙げ、スーパー耐久シリーズを運営するスーパー耐久機構の事務局長 桑山晴美氏を紹介した。

スーパー耐久機構 事務局長 桑山晴美氏

 発表会に登壇した桑山事務局長は、GT4が参戦可能なクラスの新設について言及。2018年シリーズの新設と、「もっと長いレースをシリーズに組み込んでいきたい」と、新たな耐久レース戦について紹介。スーパー耐久シリーズでは、9月2日~3日に開催される「第5戦 富士SUPER TEC」が最長フォーマットの10時間で開催されているが、それを超えるフォーマットでのレースを行ないたいという。2018年は鈴鹿サーキットが10時間耐久レースを開催することを発表しており、スーパー耐久シリーズにおいても長時間レースができるとなると、レースファンにとっても新たな楽しみとなりそうだ。

 また、鈴鹿サーキットの10時間耐久レースはGT3車両をターゲットとしているのに対して、スーパー耐久シリーズはGT4やTCRも参加可能なよりエントリーしやすいレースとして行なわれていくことになる。

Audi R8 LMS GT4と記念写真

 アウディは、GT3、GT4、TCRという各クラスにレーシングマシンを供給していくことで、カスタマーレーシング市場のなかで大きな地位を占めていくことになる。

 なお、R8 LMS GT4、R8 Audi Sport performance parts装着車とも、8月6日もSUPER GT第5戦富士開催中の富士スピードウェイ グランドスタンド裏にあるイベント広場に一般展示されている。