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【SUPER GT 第6戦鈴鹿】予選、GT500は24号車 フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-Rがポールを獲得。GT300は25号車 VivaC 86 MC

Q1でF1王者ジェンソン・バトン選手がサプライズ的に16号車 MOTUL MUGEN NSX-GTをドライブ

2017年8月26日~27日 開催

24号車 フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-R(佐々木 大樹/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ組、YH)

 SUPER GT 第6戦 第46回インターナショナルSUZUKA 1000km "SUZUKA 1000km THE FINAL"が8月26日~8月27日の2日間にわたり、三重県鈴鹿市の鈴鹿サーキットにおいて開催されている。8月27日には予選が行われ、GT500は24号車 フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-R(佐々木 大樹/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ組、YH)、GT300は25号車 VivaC 86 MC(松井孝允/山下健太/近藤翼組、YH)がそれぞれ獲得した。

 今回のレースの大きな話題となっているのは、2009年のF1世界チャンピオンのジェンソン・バトン選手、そして2012年にそのバトン選手を破ってここ鈴鹿の日本GPで3位表彰台を獲得した小林可夢偉選手のGT500への参戦。予選1回目(Q1)ではバトン選手が16号車 MOTUL MUGEN NSX-GT(武藤 英紀/中嶋 大祐/ジェンソン・バトン組、YH)のステアリングを握り予選を走るというサプライズもあり、サーキットはF1世界チャンピオンの登場に大いに盛り上がった。ただし、バトン選手は惜しくも9位でQ2には進めず明日のレースは9位グリッドからスタートする。小林可夢偉選手は予選は走らなかったが19号車 WedsSport ADVAN LC500(関口 雄飛/国本 雄資/小林 可夢偉、YH)は予選2位を獲得しており、明日のレースは小林可夢偉選手がステアリングを握って走ることになる。

 展開によっては明日のレースではジェンソン・バトン vs 小林可夢偉というシチュエーションも十分ありそうなだけに、要注目のレースとなりそうだ。

ポールを獲得したのは25号車 VivaC 86 MC、GT300のコースレコードを記録

25号車 VivaC 86 MC(松井孝允/山下健太/近藤翼組、YH)

 GT300の予選1回目(Q1)は、早くも厳しい生存競争が展開された。トップタイムをマークしたのは5号車 マッハ車検 MC86 GTNET(坂口 夏月/藤波 清斗/玉中 哲二組、YH)だったが、問題は14位以上というQ1突破の争い。終盤に14位になっていたのが、25号車 VivaC 86 MC(松井孝允/山下健太/近藤翼組、YH)で、マザーシャシーが有利とされる鈴鹿サーキットであわやQ1落ちの危機に。しかし、その後25号車を上回るタイムを出す車両は無く、ギリギリ14位で予選2回目(Q2)へ進むことができた。ランキング上位チームでQ2に進めなかったのは、ランキング3位で前戦優勝の55号車 ARTA BMW M6 GT3(高木 真一/ショーン・ウォーキンショー組、BS)、ランキング4位の11号車 GAINER TANAX AMG GT3(平中 克幸/ビヨン・ビルドハイム組、DL)が惜しくもQ1で敗退となってしまった。

18号車 UPGARAGE BANDOH 86(中山友貴/川端伸太朗、YH)

 Q2では、戦前の予想通り、マザーシャシーなどのJAF-GT勢が上位に来る展開になった。その中でポールポジションを獲得したのは、Q1では14位だった25号車 VivaC 86 MC。山下健太選手がドライブする25号車 VivaC 86 MCは、1分57秒543のコースレコードをマークして見事ポールポジションを獲得した。25号車は現在ランキング2位でウェイトハンデは2番目に重いのに、2位は18号車 UPGARAGE BANDOH 86(中山友貴/川端伸太朗、YH)、3位は5号車 マッハ車検 MC86 GTNETを上回ってコースレコードをマークした山下選手には脱帽と言っていいだろう。

5号車 マッハ車検 MC86 GTNET(坂口 夏月/藤波 清斗/玉中 哲二組、YH)

 25号車とシリーズタイトルを争っている4号車 グッドスマイル 初音ミク AMG(谷口 信輝/片岡 龍也組、YH)は、現在50ポイントを獲得しているため、ウェイトハンデは100kgと重量級。その重量であるのに、こちらも予選4位を獲得しており、FIA-GT3勢としてはトップタイム。予選前にはポイント獲得が目標と思われていただけに、考えられる限りの最上の結果と言える。明日はランキング2位の25号車 VivaC 86 MCがポールからスタートすることになるため、いかに25号車との差を広げられることなくゴールするのかが課題になるだろう。

4号車 グッドスマイル 初音ミク AMG(谷口 信輝/片岡 龍也組、YH)
GT300の結果
順位車番マシンドライバーQ1Q2TireWH
125VivaC 86 MC松井 孝允/山下 健太/近藤 翼1'59.5651'57.543YH82
218UPGARAGE BANDOH 86中山 友貴/川端 伸太朗1'59.5631'58.000YH4
35マッハ車検 MC86 GTNET坂口 夏月/藤波 清斗/玉中 哲二1'58.6801'58.146YH6
44グッドスマイル 初音ミク AMG谷口 信輝/片岡 龍也1'59.4791'58.235YH100
551JMS P.MU LMcorsa RC F GT3中山 雄一/坪井 翔1'59.4921'58.581BS60
660SYNTIUM LMcorsa RC F GT3飯田 章/吉本 大樹1'58.9061'58.742YH18
710GAINER TANAX triple a GT-R富田 竜一郎/吉田 広樹1'59.1721'58.774DL10
861SUBARU BRZ R&D SPORT井口 卓人/山内 英輝1'59.1891'58.816DL50
965LEON CVSTOS AMG黒澤 治樹/蒲生 尚弥1'59.1151'58.967BS54
1033D'station Porsche藤井 誠暢/スヴェン・ミューラー1'59.5641'59.175YH40
1188マネパ ランボルギーニ GT3織戸 学/平峰 一貴/山西 康司1'59.1701'59.514YH8
1250Ferrari 488 GT3都筑 晶裕/新田 守男1'59.5561'59.671YH30
1321Hitotsuyama Audi R8 LMSリチャード・ライアン/柳田 真孝1'59.5171'59.681DL2
1430TOYOTA PRIUS apr GT永井 宏明/佐々木 孝太1'59.3361'59.853YH-
1531TOYOTA PRIUS apr GT嵯峨 宏紀/久保 凜太郎1'59.586-BS34
163B-MAX NDDP GT-R星野 一樹/高星 明誠1'59.614-YH28
172シンティアム・アップル・ロータス高橋 一穂/加藤 寛規/濱口 弘1'59.670-YH-
189GULF NAC PORSCHE 911ジョノ・レスター/峰尾 恭輔1'59.781-YH38
1911GAINER TANAX AMG GT3平中 克幸/ビヨン・ビルドハイム1'59.939-DL70
2087ショップチャンネル ランボルギーニ GT3細川 慎弥/佐藤 公哉/元嶋 佑弥1'59.992-YH16
2152埼玉トヨペットGreenBraveマークX MC番場 琢/脇阪 薫一/密山 祥吾2'00.018-YH-
22111エヴァRT初号機 Rn-s AMG GT石川 京侍/山下 亮生/植田 正幸2'00.022-YH-
2355ARTA BMW M6 GT3高木 真一/S.ウォーキンショー2'00.044-BS76
2426TAISAN SARD R8 FUKUSHIMA山田 真之亮/ジェイク・パーソンズ/クリスチャン・クリエン2'00.233-YH-
257Studie BMW M6ヨルグ・ミューラー/荒 聖治/アウグスト・ファルフス2'00.292-YH34
26117EIcars BENTLEY GT3井出 有治/阪口 良平2'01.110-YH-
27360RUNUP GT-R柴田 優作/田中 篤/青木 孝行2'01.293-YH-
2848植毛 GT-R高森 博士/田中 勝輝/影山 正美2'01.653-YH-
2922アールキューズ SLS AMG GT3和田 久/城内 政樹2'01.869-YH-
3035ARTO 86 MC 101N.ジャルーンスルカワッタナ/N.ホートンカム2'03.677-YH-

GT500のポールは24号車 フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-Rが獲得。サプライズでバトン選手がQ1を走る

 GT500のQ1は、鈴鹿サーキットに来た多くのファンが驚く展開が待っていた。今回16号車 MOTUL MUGEN NSX-GT(武藤 英紀/中嶋 大祐/ジェンソン・バトン組、YH)の第3ドライバーとして、2009年のF1チャンピオンであるジェンソン・バトン選手が登録されているのは大きな話題を呼んでいるが、そのバトン選手が16号車のQ1ドライバーとして登場したのだ。通常第3ドライバーは助っ人やゲストという意味合いが強いため、2回ある予選はレギュラーのドライバーが務めることが多いのだが、今回はバトン選手がQ1をドライブするというサプライズを無限チームは用意していた。そのバトン選手、8位のタイムを出し初のSUPER GTの予選でQ1突破かと思われたのだが、最後の最後で12号車 カルソニック IMPUL GT-R(安田 裕信/ヤン・マーデンボロー組、BS)をドライブするヤン・マーデンボロー選手がバトン選手のタイムを0.088秒だけ上回ってアウトクオリファイ、これにより16号車は惜しくも9位でQ1敗退となってしまった。

 なお、10位以下にはこれまでポイントを稼いだためウェイトハンデが重くなっているシリーズの上位チームが固まっていたが、そうしたウェイトハンデが重いシリーズ上位の中で唯一気を吐いたのが、37号車 KeePer TOM'S LC500(平川 亮/ニック・キャシディ組、BS)をドライブする平川亮選手。平川選手は84kgというウェイトハンデを積んでいるのに、このQ1で5位のタイムを出して上位勢の中で唯一Q2へ進むことができた。

 Q2のポール争いは、24号車 フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-R(佐々木 大樹/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ組、YH)と19号車 WedsSport ADVAN LC500(関口 雄飛/国本 雄資/小林 可夢偉、YH)という、Q2に残った2台のヨコハマ勢で争われることになった。ポールを獲得したのは、オリベイラ選手のドライブする24号車 フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-R。オリベイラ選手は、GT500のコースレコードになるタイムをマークして、今シーズン初めてのポールポジションをチームとニッサンにもたらした。

19号車 WedsSport ADVAN LC500(関口 雄飛/国本 雄資/小林 可夢偉、YH)

 2位となった19号車 WedsSport ADVAN LC500は、決勝レースでは第3ドライバーとして小林可夢偉選手がドライブする予定。可夢偉選手がどのタイミングで登場するかはわからないが、SUPER GTをプロモーションするGTAの坂東正明代表はGTAの記者会見の中で「ファンやメディアが望むなら小林可夢偉選手をバトン選手にぶつけるように働きかけていきたい」と述べており、19号車のチームであるRACING PROJECT BANDOHの代表が坂東正敬氏(坂東代表のご子息)であることを考えること、決勝レースではその夢の対決が実現する可能性は高そうだ。

17号車 KEIHIN NSX-GT(塚越 広大/小暮 卓史組、BS)

 3位は17号車 KEIHIN NSX-GT(塚越 広大/小暮 卓史組、BS)で、4位は64号車 Epson Modulo NSX-GT(ベルトラン・バゲット/松浦 孝亮組、DL)とホンダ勢が続いた。64号車は今シーズン初めてQ1突破をしており、Q2担当の松浦孝亮選手は今シーズン初めて公式予選に登場したことになる。64号車は午前中の練習走行でも上位に入っており、今回持ち込んでいるタイヤが路面とマッチしているようで、上位入賞のチャンスとなっている。64号車が履く、ダンロップタイヤはGT500で唯一同車だけが入っているので、明日のレースではワイルドカード的な存在となり、レースをかき回してくれる可能性がありそうだ。

64号車 Epson Modulo NSX-GT(ベルトラン・バゲット/松浦 孝亮組、DL)

 明日のレースは12時半にスタート予定で、通常のSUPER GTのレース(300km)の3倍以上となる1000kmを走るレースになるので、多くの波乱などが期待できそうだ。今日走らなかった小林可夢偉選手、そして今日Q1に登場したジェンソン・バトン選手など、ゲストドライバーも多彩で、明日のレースは見逃すことができないレースとなりそうだ。

16号車 MOTUL MUGEN NSX-GT(武藤 英紀/中嶋 大祐/ジェンソン・バトン組、YH)
GT500の結果
順位車番マシンドライバーQ1Q2タイヤウェイトハンデ
124フォーラムエンジニアリングADVAN GT-R佐々木 大樹/J.P.デ・オリベイラ1'48.1911'47.074YH6
219WedsSport ADVAN LC500関口 雄飛/国本 雄資/小林 可夢偉1'47.5821'47.269YH26
317KEIHIN NSX-GT塚越 広大/小暮 卓史1'47.4071'47.648BS36
464Epson Modulo NSX-GTベルトラン・バゲット/松浦 孝亮1'48.2241'47.812DL6
546S Road CRAFTSPORTS GT-R本山 哲/千代 勝正1'47.5881'47.977MI46
6100RAYBRIG NSX-GT山本 尚貴/伊沢 拓也1'47.5761'48.202BS44
712カルソニック IMPUL GT-R安田 裕信/ヤン・マーデンボロー1'48.4991'48.244BS26
837KeePer TOM'S LC500平川 亮/ニック・キャシディ1'48.1961'48.713BS84
916MOTUL MUGEN NSX-GT武藤 英紀/中嶋 大祐/ジェンソン・バトン1'48.588-YH14
1036au TOM'S LC500中嶋 一貴/ジェームス・ロシター1'48.825-BS88
116WAKO'S 4CR LC500大嶋 和也/A.カルダレッリ1'49.002-BS86
1223MOTUL AUTECH GT-R松田 次生/ロニー・クインタレッリ1'49.146-MI82
1338ZENT CERUMO LC500立川 祐路/石浦 宏明1'49.196-BS82
141DENSO KOBELCO SARD LC500ヘイキ・コバライネン/平手 晃平1'49.229-BS72
158ARTA NSX-GT野尻 智紀/小林 崇志1'50.120-BS62

予選後ポールポジション記者会見

24号車 フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-Rの佐々木大樹選手(右)、ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ選手(左)
佐々木大樹選手

佐々木大樹選手:練習走行は、最初は雨が残っていてあまり思うようにテストできなかったけど、乾いてきたらチームが用意してきてくれた車、ヨコハマの用意してくれたタイヤがしっかり機能していた。このため、その時点でポールが取れるのでは無いかという予感はあった。Q2ではJPがパーフェクトなドライブをしてくれてポールを獲れたので、明日は1番前からスタートすることができる。チームに加入してからポールからスタートするのは今回が初めてで、明日のレースが楽しみ。チームとヨコハマに感謝したい。

ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ選手

ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ選手:大樹が言ったように、練習走行ではすべてをチェックすることができなかった。コンディションが変わっていく中だったけど、予報では今週末はドライになるということだったので。だがセッションの最後にはドライでのチェックができて、タイヤコンディションとバランスは概ねよく、車は大丈夫だとわかった。それで予選に向けては自信を持つことができる。Q1はプレッシャーがかかるのに、大樹がしっかり通ってくれて、Q2ではいいラップを刻めたと思う。

25号車 VivaC 86 MCの松井孝允選手(右)、山下健太選手(中央)、近藤翼選手(左)
近藤翼選手
山下健太選手
松井孝允選手

松井孝允選手:練習走行から予選にかけては、エンジニアの土屋武士さんが乗りづらい車を乗りやすくしてくれた。自分のアタックはシケインで停まりきれないという大失敗をしてしまったのに、ギリギリ通ることができてよかった。相方の山下選手がいいドライブをしてくれてポールを獲れたので、チームとしてはハッピーだが、自分としては低い点数。最後の1000kmなので、勝って終わりたい。

山下健太選手:練習走行の時はあまりよくなかったが、武士さん、松井さん、近藤さんでいいセットにしてくれて、Q2はベストのバランスだった。

近藤翼選手:今日は自分は走っていないが、松井選手、山下選手が速いので、明日はしっかりサポートしたい