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今週末開催の「MotoGP日本グランプリ」に向けてマルケス選手、ペドロザ選手、中上選手がトークショー

中上選手は「もてぎのセンターポールに日の丸を掲げたい」

2017年10月10日 開催

今週末開催の「MotoGP日本グランプリ」に向けてマルケス選手、ペドロザ選手、中上選手がトークショー ホンダウエルカムプラザ青山でダニ・ペドロサ選手(左)とマルク・マルケス選手(中央)、中上貴晶選手(右)を招いて開かれた「日本グランプリ ファンミーティング」
ホンダウエルカムプラザ青山でダニ・ペドロサ選手(左)とマルク・マルケス選手(中央)、中上貴晶選手(右)を招いて開かれた「日本グランプリ ファンミーティング」

 本田技研工業は10月10日、「2017 FIM MotoGP 世界選手権シリーズ 第15戦 日本グランプリ」(10月13日~15日開催)の開幕に合わせ、MotoGPクラスに参戦するRepsol Hondaのマルク・マルケス選手とダニ・ペドロサ選手、Moto2クラスに参戦するIDEMITSU Honda Team Asiaの中上貴晶選手を招いたファンミーティング「日本グランプリ ファンミーティング」を東京 青山のホンダウエルカムプラザ青山で開催した。

 本イベントは、最初にマルケス選手とペドロサ選手が質問に答える形でのトークショーを行ない、後半では中上選手が登壇し2018年度からMotoGPクラスへ昇格したことに対するコメントや日本グランプリへの意気込みなどを語った。平日の昼間にもかかわらず160席の客席はほぼ満員となり、立ち見も出るほどだった。

今週末開催の「MotoGP日本グランプリ」に向けてマルケス選手、ペドロザ選手、中上選手がトークショー 平日の昼間にもかかわらず160席の客席はほぼ満員となり、立ち見も出るほどだった
平日の昼間にもかかわらず160席の客席はほぼ満員となり、立ち見も出るほどだった

もてぎではダウンヒルからのコーナーとビクトリーコーナーを見てほしい!

今週末開催の「MotoGP日本グランプリ」に向けてマルケス選手、ペドロザ選手、中上選手がトークショー マルク・マルケス選手
マルク・マルケス選手

――マルケス選手、第3戦のアメリカズ・グランプリでの優勝を皮切りに今期は5回優勝してランキングトップということで、今シーズンを振り返ってみた感想をお聞かせ下さい。

マルク・マルケス選手:今年の前半は調整に苦労した部分もありましたが、夏以降はバイクのフィーリングがとてもよくなり、ホンダのマシンがとても楽しく乗れるようになりました。

――アラゴン・グランプリの予選では12コーナーで少しミスが出ました。ところがレースではその12コーナーでアタックしてチャージをし続けました。あれがまさに“マルケス・スタイル”の真骨頂なんでしょうか?

マルケス選手:あのコーナーは予選のときもプッシュしようと思っていました。予選のときにリミットなどの感覚を掴めたので、本戦のときにそれを元にプッシュすることができました。

今週末開催の「MotoGP日本グランプリ」に向けてマルケス選手、ペドロザ選手、中上選手がトークショー ダニ・ペドロサ選手
ダニ・ペドロサ選手

――ペドロサ選手、第4戦でのスペイングランプリでの優勝のほか8度の表彰台を獲得されました。それを振り返っていかがでしょうか?

ダニ・ペドロサ選手:ここまでポジティブないいレースができていると思います。抜きつ抜かれつという接戦もありましたし、勝てる見込みがあったレースもありました。タイヤやバイクの調子で難しい局面もありましたが、全体を見るといいレースを経験できました。

――アラゴン戦では、2番手に上がってくるまでに多くのライダーをパスし、そのなかではバックストレッチでバレンティーノ・ロッシ選手とあわや接触というヒヤヒヤする局面もありましたが、いかがでしたでしょうか?

ペドロサ選手:アラゴンのときは後ろから追い上げてバックストレッチでオーバーテイクできました。バレンティーノ選手とは接触しそうになりましたが、その接戦が楽しいのです。後ろから抜いて自分のポジションを確保し、ラップを重ねてというのがレースの醍醐味です。

――マルケス選手、雨のサンマリノでは素晴らしい戦略を見せてくれました。そのときのことを聞かせて下さい。

マルケス選手:サンマリノは重要なレースでした。滑りはしましたが、バイクの調子も上がっていって、ここでアタックするべきだと思いました。ここでアタックしポイントを取らなければチャンピオンシップに勝てないと思い、頑張って獲りに行きました。あのときは少しのミスでチャンピオンシップの結果に響いたので、そういう点では上手くできたと思います。

――サンマリノのレースは残り1周でトップになりましたが、ライバルのドヴィツィオーゾ選手との後ろの距離感などは把握していたのでしょうか? そのときの心境を教えてください。

マルケス選手:サンマリノのレースでは、ドヴィツィオーゾ選手がターゲットになっていて、彼の走りをどう制するかが重要でした。ペトルッチ選手とは同じグループで走っておりました。チャンピオンシップのことも考え、ここはリスクを背負っても攻めるべきと考えて走りました。

――ペドロサ選手、アメリカグランプリ、スペインでのポールトゥーウィン、フランスでの追い上げの3位と、いったん表彰台に上るとそれが調子よく続きました。今回のアラゴンでの表彰台に上ったことでさらに弾みが付いたと思いますがいかがでしょうか?

ペドロサ選手:あと3回のレースが残っています。そこに集中するための弾みがついたと思っています。マレーシアはテストもあるのであと2回ぐらいは行くと思います。もてぎは今回だけですね。どのレースも集中して勢いをつけてやっていきたいと思います。

――今シーズンはヘレス、チェコ、アラゴンとRepsol Hondaのワンツー・フィニッシュが3回あります。そして現在、チームタイトルとコンストラクターズタイトルともにトップという成績です。チームの雰囲気はどうでしょうか?

ペドロサ選手:ワンツー・フィニッシュでレースを終えられると、チーム全体がスーパーハッピーの状態になってとてもうれしいです。そのときの思い出としてチーム全体で記念写真を撮るようにしています。残りのレースでもあと1回か2回はワンツー・フィニッシュを獲れように頑張りたいと思います。

今週末開催の「MotoGP日本グランプリ」に向けてマルケス選手、ペドロザ選手、中上選手がトークショー Repsol Hondaは、ヘレス、チェコ、アラゴンと今シーズンで3回のワンツー・フィニッシュを成し遂げた
Repsol Hondaは、ヘレス、チェコ、アラゴンと今シーズンで3回のワンツー・フィニッシュを成し遂げた

――今週末はいよいよもてぎでのレースです。マルケス選手はもてぎで3回優勝しています。ペドロサ選手はトータル5回もの優勝を獲得しています。今回のもてぎはどのように攻めていきますか?

マルケス選手:今回、どのようなレベルの戦いになるか分からないので、どういう戦略にするかはなかなか難しいですね。もてぎはよい思い出がたくさんあります。毎回違うアプローチと戦略をもって臨んでいます。競争力を上げて勝てるように頑張りたいと思います。

ペドロサ選手:もてぎは私にとっても“ホームGP”と言える存在です。もてぎで走れるのはとてもうれしいです。走るだけではなくファンとの交流も楽しみにしています。バイク、トラックともしっかりフィーリングを得て頑張っていきたいと思います。

――もてぎのコースで得意な部分、勝負所となる部分はどこでしょうか?

マルケス選手:1番エキサイティングになるのはダウンヒルからの90度コーナーとビクトリーコーナーだと思います。ラストラップの頑張りがレースの勝敗を決めるところだと思います。そこをぜひ見ていただきたいと思います。

――ダウンヒルからのコーナーとビクトリーコーナーはもてぎでもっとも難しい部分ですよね。流石です。マルケス選手のダウンヒルコーナーでリアが浮き上がっている写真がかっこよくて印象的です。

マルケス選手:ダウンヒルからのコーナーで上手く走れるとリアが上がります。上手くいくととても楽しいですね。

――続けてペドロサ選手がもてぎで得意なところ、見どころとなる場所を教えてください。

ペドロサ選手:私もダウンヒルコーナーとビクトリーコーナーが見どころとなると思います。そして、そこが1番ファンの近くを走れる場所です。グランドスタンドもありますし、バイクの音がもっともよく聞こえる場所です。セカンドアンダーブリッジの下のところが好きですね。トンネルに入ったときの爆音もすごいですし、トンネルの先にある光に向かって走るのが好きです。

――レース以外で日本に来たときに行く場所や好きな場所はありますか?

マルケス選手:日本に来たときはヘルメットのSHOEIさんのイベントにも行きます。行きたいところは六本木とかですね。

ペドロサ選手:2年前に来たときは、レースが終わってから兄弟と一緒に東京を観光しました。観光客が行くようなところに行ったり、お寿司を食べたりと日本を楽しみました。今回はすぐオーストラリアに移動するので時間がありませんが、時間ができたら1週間ぐらいかけて日本の田舎とかにも行ってみたいですね。

「ツインリンクもてぎ」のセンターポールに日の丸を立てたい!

今週末開催の「MotoGP日本グランプリ」に向けてマルケス選手、ペドロザ選手、中上選手がトークショー 中上貴晶選手
中上貴晶選手

――シーズン中は何回か日本には戻ってくるのでしょうか?

中上貴晶選手:5月のヘレスでのスペイングランプリ 第4戦からヨーロッパ・ラウンドが始まるので、そこからは基本的には帰って来ないのですが、今年は8耐に出たりとか7月に事前のテストとかあったので、ちょくちょく帰ってきたりしています。8月にはMoto GP昇格の発表を「ツインリンクもてぎ」で行ないましたので、その際にも帰国しています。

――今年のMoto2クラスは全然展開が読めないですよね。

中上選手:そうですね。ある程度は見えますが、ウォームアップで急にポーンと出てきてそのまま決勝の結果に繋げるライダーがいたり、逆に予選まで速かったのに落ちていったり、無理して転倒したりと、最後の最後まで結果は読めません。

――今シーズンをざっと振り返ってどうでしょうか?

中上選手:正直、あまり望んでいる結果は残せていないと思います。2016年はランキング6位で、自分より上位3名の方がMoto GPに昇格しているので、立場としては単純に考えればランキング3位のはずです。しかし、現在はランキング7位で、トップのフランコ・モルビデッリ選手とはポイント差が離れてしまっています。もちろんイギリスでの優勝などもありますが、自分が望んでいる優勝や表彰台の数に届いていない。すごく少ないと思います。もっともっと勝ちたいですし、シーズン前は勝てると思っていました。

――レース中の写真を見ると、コーナーで相当深いバンク角度で肘を擦っていますね。Moto2も相当進化してきていると感じます。

中上選手:いやもう普通になってきてますね。マルケス選手が時代を作ってきて、軽量級のMoto3やMoto2も結構似たような肘を擦って走っているライダーが圧倒的に多くなってきました。

――肘を擦ってバイクに乗っているというのはどういう感じでしょうか?

中上選手:肘スライダーが進化して、一体化して作られているので、膝を擦ったときと同じ感覚で摩擦に持って行かれることもないですし常に軽いですね。

――先輩のマルケス選手は、例えばフロントがスリップダウンしそうになったときなど、上手く肘を使ってタイミングを合わせていますが、そういうこともありますか?

中上選手:いや、あれほどの回数はないです。私は数回というレベルです。マルケス選手が肘で体制を立て直す映像をよく見ますが、ああいうのは難しいです。一瞬の出来事ですからフロントきれて戻すというのは、結構無理です。

――Moto2クラスはエンジンがワンメイク、ホンダのCBR600のエンジンを使うことで性能が均一になっています。勝負所はシャーシが多少メーカーが違うこと、サスペンションのセット、乗り手の技量ですが、どこが自分自身の勝負所となってきますか?

中上選手:自分の強みはタイヤマネジメントですね。グリップ重視の美味しいところを先に食べないで徐々に残していけるところです。これが功を奏するときもありますし、逆に序盤に離されてしまって追いつけない場合もあります。相手のパフォーマンスにもよりますが……。ですので、勝負所はタイヤの使い方だと私は思います。

――優勝を果たしたイギリスグランプリはどうでしたか?

中上選手:優勝後にさまざまなメディアの取材が短期間に多くて、イギリスグランプリは注目されているレースだと感じました。自分としても、MotoGPライダーになるキーポイントとなるレースでした。プレッシャーはありましたが、気持ち的には「勝たなければならない」から「とにかく1戦ずつ勝っていく」というふうに変化し、焦りがなくなりました。

今週末開催の「MotoGP日本グランプリ」に向けてマルケス選手、ペドロザ選手、中上選手がトークショー 中上選手が優勝したイギリスグランプリ
中上選手が優勝したイギリスグランプリ

――今週末から始まる日本グランプリはどうですか?

中上選手:勝つしかないです。今シーズンはイギリスで1勝しかできてないですし、もてぎでのMoto2の最後のレースなので、とにかく勝ちたいです。もてぎのセンターポールに日の丸を掲揚できるように頑張ります。

――MotoGPに昇格が決まってどうですか?

中上選手:心の底からうれしい気持ちです。4歳のころに始めてからバイクしかやってきてない人生ですが、MotoGPの世界チャンピオンになりたいという夢を抱きながらずっとやってきました。そして、そこの舞台に立てるというのをすごく誇りに思いますし、そこに来シーズンから挑戦できるというのは心の底からうれしいです。ここまで一生懸命やってきてよかったと思います。ただ、今はMoto2の残り4戦を集中してしっかりやっていきたいと思います。Moto2の最終レースが終了した2日後にはMotoGPのテストがあるのでそこも少し考えてはおりますが、今はMoto2を最高の形で終わらせたいと思います。そして、MotoGPで結果を残していきたいと思います。

――MotoGPのバイクはすでにテストしているのですか?

中上選手:2016年の12月にスペインのヘレスで乗る機会がありました。加速とか本当にすごかったです。今の自分の身体では足りないと痛感しました。ヘレスは狭くて短いコースなんですが、全然休むところがありませんでした。同じタイミングで青山博一選手がテストしていたので同行させてもらい、色々とアドバイスなどをいただきました。その際に「このサーキットではどこで休んでいるのですか?」と聞いたら「こんな所では休めないよ」と言われました。初めてトライするときは力んでしまって、2日目の朝は全身筋肉痛でした。

――そのヘレスで今年優勝したのはペドロサ選手です。改めてMotoGPライダーのすごさが分かって目標値が高くなったのではないでしょうか?

中上選手:そうですね。早くMotoGPのバイクに乗りたいですね。

――最後に日本グランプリへの意気込みをお願いいたします。

中上選手:Moto2でのもてぎの戦いは最後になるので母国で表彰台に日の丸を掲げられるように頑張りますので、応援よろしくお願いいたします。

ペドロサ選手:もてぎはとても好きなコースですので、楽しく走りたいと思います。またみなさまと一緒に楽しみたいと思います。天気予報では雨の可能性もありますが、どちらにせよ週末に向けて楽しく過ごしていきたいと思います。

マルケス選手:もてぎでのグランプリは重要なレースです。また、日本のファンの方の応援も熱いということで、とてもスペシャルなレースになりそうです。もてぎではよい思い出が多くありますが、今年もその思い出を付け加えられればと思います。よいレースになるように頑張りたいと思います。


 トークショーのあと、Repsol Hondaの3選手サイン入りキャップや非売品の写真集などの記念品がプレゼントされる抽選会が開催され、運よく当選した参加者は喜びを噛みしめていた。

今週末開催の「MotoGP日本グランプリ」に向けてマルケス選手、ペドロザ選手、中上選手がトークショー 抽選会でプレゼントされたRepsol Hondaの3選手サイン入りキャップ
抽選会でプレゼントされたRepsol Hondaの3選手サイン入りキャップ

 ホンダウエルカムプラザ青山では、10月15日の10時45分よりMotoGP日本グランプリのパブリック・ビューイングを開催する。席は自由席で入場料は無料。もてぎに行けないという人でもファン同士で盛り上がれるので、ぜひ訪れてみていただきたい。

今週末開催の「MotoGP日本グランプリ」に向けてマルケス選手、ペドロザ選手、中上選手がトークショー ホンダウエルカムプラザ青山では、Repsol Hondaのバイクにまたがって記念写真を撮れるコーナーなども設置されている
今週末開催の「MotoGP日本グランプリ」に向けてマルケス選手、ペドロザ選手、中上選手がトークショー ホンダウエルカムプラザ青山では、Repsol Hondaのバイクにまたがって記念写真を撮れるコーナーなども設置されている
今週末開催の「MotoGP日本グランプリ」に向けてマルケス選手、ペドロザ選手、中上選手がトークショー ホンダウエルカムプラザ青山では、Repsol Hondaのバイクにまたがって記念写真を撮れるコーナーなども設置されている
今週末開催の「MotoGP日本グランプリ」に向けてマルケス選手、ペドロザ選手、中上選手がトークショー ホンダウエルカムプラザ青山では、Repsol Hondaのバイクにまたがって記念写真を撮れるコーナーなども設置されている
ホンダウエルカムプラザ青山では、Repsol Hondaのバイクにまたがって記念写真を撮れるコーナーなども設置されている