法林岳之の「ケータイを駆使してSUPER GT&サーキットを楽しむ」
SUPER GT MOBILE SITE活用記


身近で便利なツールの「ケータイ」を駆使してSUPER GTを楽しんでみました

 モータースポーツの楽しみ方は、「見る」「走る」「参加する」など、いろいろなスタイルがある。たとえば、「見る」モータースポーツにもテレビ中継もあれば、Webや雑誌などのメディアでじっくりと楽しむという方法もある。しかし、見るモータースポーツの本命と言えば、やはり、リアルな爆音を全身で感じることができる「サーキット」をおいて、他にない。

 ただ、サーキットでの観戦というと、今まで体験したことがない人にとって、レースを見るのはともかく、どう楽しめばいいのかが今ひとつつかみにくいかもしれない。そこで今回は我々にとって、もっとも身近で便利なツールである「ケータイ(携帯電話)」を駆使して、国内でもっとも人気の高いシリーズである「SUPER GT」を楽しんでみることにした。舞台は第7戦「富士GT 300kmレース」が行われた富士スピードウェイだ。

SUPER GTって?
 現在、国内外では世界を転戦するF1をはじめ、ラリーのWRC、24時間耐久のル・マン、アメリカを中心に転戦するインディカーなど、さまざまなレースが行われている。そんな数あるレースの中で、国内レースとして今もっとも人気を集めているのがSUPER GTだ。すでにレースをある程度見ている人なら、説明するまでもないだろうが、クルマに興味はあってもレースにはあまり詳しくない人のために、おさらいも兼ねて、ごく簡単にSUPER GTについて説明してみよう。

SUPER GTは日本のレギュレーションに基づいた独自のカテゴリーで、「GT500」「GT300」の2クラスが設定され、レースでは両クラスが混走する(写真は第7戦のスタート直後のもの)

 SUPER GTはF1などのレースに特化したフォーミュラカーと違い、基本的には市販車をベースにしたカテゴリーとなっており、GT-Rやレクサス、NSXといった自分たちが普段から知っているクルマが参戦している。ただ、市販車をベースにしているものの、かなり広範囲に渡って改造が許されており、どちらかと言えば「市販車をベースにした(モチーフにした)外見を持つレーシングカー」という印象が強い。

 SUPER GTには「GT500」と「GT300」という2つのクラスが設定されており、レースでは両クラスが混走する。GT500クラスはトヨタ(レクサス)、日産、ホンダの国内メーカーに加え、英アストンマーチンが参戦しているのに対し、GT300は国内3メーカーのほかに、ポルシェやマツダ、フェラーリ、ランボルギーニ、BMWなどバラエティに富み、車両もカローラアクシオやフェアレディZ、RX-7、ポルシェ911 GT3、BMW Z4、レガシィB4といったおなじみのクルマに加え、ASL Garaiyaやムーンクラフト・紫電などのプロトタイプカーをベースにしたマシンも参戦している。ちなみに、SUPER GTのように、GTカーやツーリングカーなどの“ハコ車”が戦うレースとしては、FIA GT選手権、DTM(ドイツツーリングカー選手権)、NASCARなどが知られているが、SUPER GTは日本のレギュレーションに基づいた独自のカテゴリーとなっており、海外で展開されているレースのカテゴリーとは相互に関係性を持っていない。ただ、SUPER GTのシリーズは、マレーシアでも開催されているほか、アジア各国から招聘の打診もあると言う。

 欧米のシリーズと関係を持っていないにもかかわらず、SUPER GTが国内で高い人気を得てきたのは、お客さんを楽しませるためのさまざまな工夫が盛り込まれていることにある。たとえば、レギュレーションでは獲得ポイントに応じて、重量ハンディキャップを課すことで特定のチームが勝ち続けないようにし、抜きつ抜かれつのバトルを起きやすくしている。レースも1チーム2名のドライバーが交代で走るため、レース中にピットインがあり、ピット作戦などによって、順位が大きく変動することもある。これらに加え、ピットウォークやサーキットサファリといったファンサービスが充実していることも人気の秘密と言えるだろう。

ケータイ向け公式サイト「SUPER GT MOBILE SITE」で楽しもう
 ところで、読者の皆さんはサーキットでレースを観戦したことはあるだろうか。居住する地域によっては難しいかもしれないが、サーキットでの観戦はテレビやメディアで触れるときと大きく印象が違う。迫力あるエキゾーストノートとともにメインストレートを駆け抜けていくレーシングマシンなどは、サーキットでしか体験できない独特の興奮がある。

 ただ、実際にサーキットに出かけてレースを観戦してみると、ちょっと困ったこともいくつかある。それはレースが始まると、観戦するポイントによって、レースの全体の状況がつかみにくくなることだ。たとえば、メインスタントで見ていれば、巨大スクリーンや電光掲示板で、レースの状況をある程度把握することができるが、せっかくのレースなのだから、コーナーでのバトルもぜひ楽しみたい。たとえば富士スピードウェイなら、1コーナー、ヘアピン、ダンロップコーナー、第13コーナーあたりでも見たいが、こうしたポイントに移動してしまうと、レースの状況が今ひとつ見えなくなってしまう。特に、SUPER GTの場合、2名のドライバーが交代でドライブするため、現在、どちらのドライバーが運転しているのかが分かりにくいし、GT500クラスとGT300クラスが混走するため、コース上を観ているだけではどうしても順位が把握しにくくなってしまう。

 そこで、ぜひ活用したいのがSUPER GTを主催するGTアソシエーションの携帯電話向け公式サイト「SUPER GT MOBILE SITE」だ。このSUPER GT MOBILE SITEでは、SUPER GTに参戦するチームやドライバー、シリーズに関する情報が掲載されているだけでなく、レース中に各車の状況を知ることができる実況コンテンツが提供されており、これを使うことで、サーキットでのSUPER GTを一段と楽しむことができるというわけだ。

GTアソシエーションの携帯電話向け公式サイト「SUPER GT MOBILE SITE」SUPER GTに参戦するチームやドライバー、シリーズに関する情報、ポイントランキングなどが確認できる

 SUPER GT MOBILE SITEは、NTTドコモの「iモード」、auの「EZweb」、ソフトバンクの「Yahoo!ケータイ」で提供されている公式メニューで、いずれも月額315円で利用できる。登録はオンラインで可能で、インターネット上のSUPER GTの公式サイトに掲載されているQRコードを読み取って、ケータイサイトにアクセスすることもできるし、以下の順にメニューから辿っていくこともできる。

●iモード
[i MENU]→[メニューリスト]→[趣味/スポーツ]→[スポーツ]→[モータースポーツ]→[SUPER GT 公式サイト]

●EZweb
[au one]→[カテゴリ(メニューリスト)]→[スポーツ・レジャー]→[車・バイク]→[SUPER GT MOBILESITE]

●Yahoo!ケータイ
[Yahoo!]→[メニューリスト]→[スポーツ]→[F1・モータースポーツ]→[SUPER GT MOBILE]

「SUPER GT」をケータイで楽しもうということで、3キャリアを用意。左からNTTドコモの「AQUOSケータイ SH-07A」、auの「Mobile Hi-Vision CAM Wooo」、ソフトバンクの「AQUOS SHOT 933SH」

 iモードとYahoo!ケータイについてはiアプリとS!アプリで「レース実況アプリ」が提供されており、EZwebについてはブラウザで閲覧する「ライブ情報」という形で、レース中の状況を確認することができる。アプリは会員登録後、サイトからダウンロードしておき、レースが開始されたら起動して閲覧する。対応機種は各サイトに詳しく掲載されているが、比較的最近の機種であれば、ほとんど対応している。EZwebのライブ情報はブラウザでサイトにアクセスし、適宜、ブラウザのページを更新(リロード)をすることで、最新の情報が分かるという仕組みだ。アプリについては起動中に自動的に情報が更新され、ライブ情報もくり返し更新をすることになるため、いずれの環境についても各携帯電話事業者が提供するパケット通信料定額制サービス(NTTドコモ「パケ・ホーダイ ダブル」、au「ダブル定額」「ダブル定額ライト」「ダブル定額スーパーライト」、ソフトバンク「パケットし放題」)に加入してから利用した方が安全だ。

 さて、実際のレース観戦時の使用感についてだが、まずiアプリとS!アプリの「レース実況アプリ」は、画面を見ても分かるように、GT500クラスとGT300クラスのトップ5が並び、最下段にはレース中の実況がテキストで表示される。順位は車番と車両名だけでなく、車両のグラフィックスもいっしょに描かれているため、パンフレットを参照しなくても目の前を通り過ぎていったマシンが何なのかをある程度、把握することができる。残念ながら、データが更新されるタイミングが今ひとつ遅く、実際のレース展開と比較すると、2~3周も遅れてしまうことがあったが、観戦時に起動しておくアプリとしては、なかなかよくできているという印象だ。

iアプリとS!アプリの「レース実況アプリ」では、GT500クラスとGT300クラスのそれぞれトップ5が表示され、最下段にはレース中の実況がテキストで流れる(写真左がiアプリ、右がS!アプリ)
予選レビューや公式予選結果、イベント情報を見ることができる決勝の結果表示はこんな感じ

 これに対し、EZwebの「ライブ情報」は、GT500クラスとGT300クラスで別々のページが用意され、毎回ダイヤルボタンの[5]を押してリロードする必要があるが、ラップタイムや上位とのタイム差が分かる上、現在、走行中のドライバー名も表示される。ドライバー名をクリックすれば、そのチームの各ラップのタイムやベストラップが分かるので、ペースアップしているのか、落ちてきているのかが把握しやすい。ラップ表にはドライバー名とタイムが一緒に表示され、ドライバーが交代するラップが通常のラップとどれくらい違うのか、INラップやOUTラップがどれくらいのタイムだったのかなども分かる。特に、応援しているチームがあるようなファンにとっては、格好のレース観戦ツールになりそうだ。

EZwebの「ライブ情報」では、GT500クラスとGT300クラスで別々のページが用意されるラップ表にはドライバー名とタイムが一緒に表示される各チームのラップタイムやベストラップが分かる
セッションセレクトも可能。クラスの選択もできるラップタイムの表示画面。画面は36号車PETRONAS TOM'S SC430のものドライバーが交代するラップが通常のラップとどれくらい違うのか、といったことも確認できる

 ちなみに、このSUPER GT MOBILE SITEでは、このほかにもGTマシンの待受画面や動画、ゲーム、コラムなども掲載されており、レース観戦時以外にもSUPER GTを存分に楽しめる内容になっている。

 また、これはサーキットによって状況が異なるかもしれないが、今回の富士スピードウェイでは場内放送をFMラジオで流しており、レースの実況も楽しむことができる。エリアによっては、FM放送の電波が届かないこともあるが、FMラジオもケータイといっしょにレースに持ち込みたい観戦ツールの1つだ。

きせかえコンテンツダウンロードコンテンツ前戦(SUPER GT第6戦鈴鹿)の動画を楽しむことも

ケータイをサーキットでフル活用
 さて、ケータイを使うことで、SUPER GTのレース観戦はなかなか楽しくなるが、実はサーキットの楽しみ、レースの楽しみは、必ずしも決勝レースの観戦だけにあるわけではない。特に、SUPER GTは前述のように、ファンサービスがかなり充実しており、決勝レース以外にもいろいろと楽しめる要素が多いイベントとなっている。

 まず、SUPER GTでもっとも人気の高いピットウォーク。その名のとおり、ピット前に出られるイベントで、ピットに置かれたGTマシンを間近で見ることができる。ピットウォーク中はドライバーもピット前に出てきているので、サインをもらったり、各チームが配っているノベルティをもらえたりする。もちろん、レースではおなじみのレースクィーンの撮影も可能。

 そうなると、やはり活用したいのはケータイのカメラ機能だ。もちろん、しっかりと撮るなら、コンパクトデジタルカメラやデジタル一眼レフの出番だが、ケータイで撮った写真なら、その場で友だちに送ることもできるし、壁紙に設定するなど、手軽に楽しめるよさがある。今回はCCD 1000万画素カメラを搭載したNTTドコモの「AQUOSケータイ SH-07A」、ソフトバンクの「AQUOS SHOT 933SH」で撮影したが、このクラスになると、数年前のコンパクトデジタルカメラを上回るほどの写真が撮れる。ちなみに、レースの撮影については静止画も面白いが、最近ではauの「Mobile Hi-Vision CAM Wooo」のように、光学3倍ズーム付きでハイビジョンムービーを撮影できるケータイも登場しているので、こういったアイテムを活用するのも手だ。

ソフトバンクの「AQUOS SHOT 933SH」を使って富士スピードウェイのイメージガール「クレインズ」を撮影。右は実際にケータイで撮った画像数年前のコンパクトデジタルカメラを上回るきれいな写真が撮れる

 このピットウォークに参加できるピットウォークパスは、今回のSUPER GT第7戦の場合、予選日が1500円、決勝日が2000円で販売されているのだが、中学生以下は無料なので、子供連れのファンにとってはうれしいところ。また、ピットウォークは大人が多く、子供たちは十分に楽しめないため、子供向けの「キッズウォーク」というイベントも別途開催されている。さらに決勝レース終了後にはコース上に出て、ヘアピンまで歩くことができる「コースウォーク」というイベントも楽しめる。

 次に、お勧めしたいイベントが「サーキットサファリ」だ。これは動物園のサファリパークよろしく、観客が乗ったバスがコース上に出て、コースを疾走するGTマシンを間近で楽しめるというイベントだ。残念ながら筆者は体験できなかったのだが、スタンドなどから眺めているだけでもかなり楽しめそうな印象だ。ちなみに、決勝レース後にSUPER GTのドライバーに聞いたところによると、今回は前日の予選が雨で、ドライのセッティングができなかったこともあり、サーキットサファリの時間もかなりアグレッシブに走り込んでいたのだと言う。

 ピット周辺以外では、メインスタンド裏のイベント広場も楽しめる場所だ。数多くのグッズを販売するショップが出店しているほか、今回はカスタムメーカーのデモカーが展示されていた。さらに、SUPER GTではおなじみのオフィシャルステージも盛況で、多くのファンを集めていた。富士スピードウェイではこうしたサーキット内の情報についてもケータイのサイトで案内しており、今回の富士GT 300kmレース開催期間中の限定ケータイサイトをオープンしていた。会場内に貼られていた案内には、QRコードが印刷されていて、それをケータイで読み取れば、すぐにサイトにアクセスすることができた。レースを余すところなく堪能するためにもぜひ、こうした情報は活用したいところだ。

ピットウォークのほか、子供向けのキッズウォークやコースウォークなど、実にさまざまなイベントが用意されている富士GT 300kmレース開催期間中の限定ケータイサイトQRコードが印刷されている案内を読み取れば、すぐに限定サイトにアクセスできる

サーキットに行ってみよう
 「クルマは好きだし、テレビでF1も見るけど、サーキットまでは……」。筆者のまわりにもたくさんそんな友だちがいる。かく言う筆者も、サーキットは数年前の鈴鹿サーキットのF1以来だが、今回のSUPER GT第7戦を取材してみて、正直なところ「こんなに楽しませてくれるのか」と言いたくなるほど、充実している印象だった。

 携帯電話向け公式サイト「SUPER GT MOBILE SITE」で提供される、実況アプリやライブ情報といったコンテンツに始まり、サーキットでもピットウォークやサーキットサファリなどのファンサービスで来場者を楽しませてくれる。レースが好きな人たちはもちろん、子供連れや家族連れも楽しめるように配慮されている。

 SUPER GTの年内のレースは、10月17日、18日にオートポリス(大分県日田市上津江町上野田)で開催される第8戦「SUPER GT IN KYUSHU 300KM」と、11月7日、8日にツインリンクもてぎ(栃木県芳賀郡茂木町桧山)で開催される第9戦「MOTEGI GT 250KM RACE」の2戦のみ。ぜひ、皆さんもケータイを片手に、レース観戦に出かけてみてほしい。

(法林岳之)
2009年 10月 8日