メルセデス・ベンツ、「E クラス」に予防安全システム「レーダーセーフティパッケージ」導入
オートブレーキで衝突回避もしくは衝突被害を軽減

E 300 アバンギャルド(レーダーセーフティパッケージ装着車)

2011年11月14日発売
オプション価格:19万円(E 350 BlueEFFICIENCY、E 550 BlueEFFICIENCYは標準装備)



 メルセデス・ベンツ日本は11月14日、E クラスに予防安全システム「レーダーセーフティパッケージ」を装備して発売した。セダン/ステーションワゴンともにE 350 BlueEFFICIENCY、E 550 BlueEFFICIENCYに標準装備し、その他すべてのEクラスにオプション(19万円)で用意する。

 今回E クラスに新設定されたレーダーセーフティパッケージは、車両前方中央に設置した77GHz帯ミリ波レーダーと、前後左右に設置した24GHz帯超広帯域レーダーにより、前方や左右後方の障害物との距離や相対速度を測定。衝突の危険性がある場合は自動的にブレーキを作動させ、衝突の回避もしくは被害を軽減する。レーダー波を使用することで、悪天候や夜間など人間の目やカメラでは認識できない状況でもすぐれた検知能力を発揮すると言う。

 このレーダーセーフティパッケージは、前方衝突の危険性を検知するとドライバーのブレーキ操作をサポートする「BAS(ブレーキ・アシスト・システム)プラス」および「PRE-SAFEブレーキ」、車線変更時などに車両の斜め後方の死角エリアをモニタリングし、衝突の危険が迫ると自動ブレーキが介入してコース修正を行う「アクティブブラインドスポットアシスト」、クルーズコントロール使用時にレーダーシステムによって前方の車両を監視し、ブレーキやアクセルを自動制御して車間や速度を保持するとともに、先行車が停止した場合や渋滞路では、0km/hまで減速する渋滞追従機能を備えた「ディストロニック・プラス」、カメラによって自車が車線から外れていることを検知すると、ステアリングを微振動させてドライバーに警告するとともに、各輪独立でブレーキを自動制御し車線逸脱を回避する「アクティブレーンキーピングアシスト」で構成される。

BASプラス&PRE-SAFEブレーキ
 衝突を回避できない状況で自動的に最大制動力のブレーキを作動させることで、自車の衝突回避もしくは被害軽減をサポートするシステム。BASプラスは7km/h~250km/h、PRE-SAFEブレーキは7km/h~200km/hの範囲で作動する。

 同システムは3段構えでサポートするようになっており、第1段階では衝突の危険をレーダーが感知すると、ドライバーに音とメーターパネル内のディスプレイ表示で警告を行う。ドライバーがブレーキを踏んだ場合は、最大制動力を発揮してブレーキ操作をアシストする。

 第2段階では、ドライバーが警告に反応しない場合に自動的に最大制動力の40%のブレーキ力で警告。前席シートベルトの巻き上げや助手席シートポジション修正など、衝突時に乗員がエアバッグを受ける適切なポジションを確保するPRE-SAFE機能も作動。緊急時には最大制動力を発揮できるようアシストする。

 第3段階では、さらにドライバーが反応しない場合、システムが衝突を回避できないと判断して最大制動力の自動緊急ブレーキを作動させ、衝突の回避もしくは被害軽減をサポートする。

アクティブブラインドスポットアシスト
 リアバンパー左右に設置される24GHz帯超広帯域レーダーにより、ミラーでは見えない車両の斜め後方の死角エリアをモニタリングし、衝突の危険が迫ると各輪独立の自動ブレーキ介入によりコースを修正することで危険回避をサポートするシステム。30km/h~200km/hの範囲で作動する。

 アクティブブラインドスポットアシストも3段構えでサポートを行う。第1段階では死角エリアに車両やバイクがいる場合、ドアミラー内蔵のインジケーターが点灯してドライバーに注意喚起する。

 第2段階ではドライバーが気づかずに車線変更しようとウインカーを作動させると、インジケーターが点滅するとともに警告音を発生。

 第3段階ではさらに側面衝突の危険を検知すると、各輪独立にブレーキを自動制御しコースを修正することで危険回避をサポートする。

ディストロニック・プラス
 悪天候下でも影響を受けにくい中長距離用77GHz帯ミリ波レーダーと、24GHz帯近距離レーダーで前方の車両を監視し、自車の速度に応じて先行車との車間を保持するシステム。60km/h~200km/hの範囲で作動する。

 減速が必要な場合にはエンジンとブレーキを自動制御して減速を行い、先行車が加速して充分な車間距離が確保されると、設定された速度まで自動的に加速し、先行車に追従する。さらに先行車が停止した場合や渋滞路では0km/hまで減速する。クルーズコントロールレバーを操作するか、アクセルを軽く踏むことで再発進する。

アクティブレーンキーピングアシスト
 ドライバーの疲労や不注意などで、自車が車線から外れていることをカメラが検知すると、ステアリングを微振動させてドライバーに警告。さらにコースを修正するために、各輪独立にブレーキを自動制御することで車線逸脱の危険回避をサポートする。ブレーキの自動制御は、フロントガラスに装着された車載カメラが認識できる実線の車線マークを越えた場合に行われる。60km/h~200km/hの範囲で作動する。

 なお、レーダーセーフティパッケージはドライバーの安全運転を前提としたシステムで、事故被害や運転負荷の軽減を目的としたもの。同システムは走行中の状況によって認識性能・制御性能に限界があるため、同社はシステムだけに頼った運転は行わず、安全運転を心がけるよう呼びかけている。

(編集部:小林 隆)
2011年 11月 14日