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クラリオン、「Smart Access」でグーグルの「Google 音声検索」「Google Place」を車載向けに提供
グーグルの技術を搭載したカーナビを年内に発表予定
(2013/5/10 12:02)
クラリオンは5月10日、同社の自動車向けクラウド情報ネットワークサービス「Smart Access」において、グーグルの音声認識技術「Google 音声検索」と位置検索技術「Google Place」を車載向けに提供していくと発表した。クラリオンはグーグルと戦略的な提携を結び、4月1日にからこれらの技術を使っての車載端末(カーナビ)の開発を開始しているという。製品の発表は年内を予定しているとのこと。
同日都内で、共同発表会を実施。実際の製品のデモなどを行った。
米Google アジア太平洋 GEO セールスディレクターのリチャード・サー氏は、グーグルの地理空間情報サービスに関する取り組みについて説明。「グーグルの使命は世界中の情報を組織化して提供することにある」と言い、その一環として地理空間情報をWebサービスなどで提供している。
この地理空間情報は非常にニーズがあり、Google検索の20%は地理的な情報が含まれているとのこと。サー氏は「グーグルの地理空間情報テクノロジーは、私たちの生活を変革してきた」と語り、それは、コンシューマー向けだけでなく、企業や官庁についても同様だとする。
地理空間情報テクノロジーを利用した経済効果は2700億円にもなり、年30%の勢いで成長。たとえばナビゲーションの技術を利用している企業は173億ドルの節約ができていると言い、コンシューマーにおいても11億ドルの移動時間の節約、燃費も含めると49億ドルの節約になっていると語る。
これらグーグルが提供する地理空間情報テクノロジーのうち、クラリオンに提供するのは、スポット情報を提供する「Google Place API」、音声認識技術を提供する「Google 音声検索 API」、Google Maps上で設定した目的地情報をカーナビに転送する「Send-To-Car」の3つになる。
クラリオン 泉龍彦 取締役社長はスマートフォンの普及など「世の中の変化を肌で感じている」と言い、「ハードウェアだけではこの先の成長は見込めない。世の中にあったものをお客さまに提供していく。“つながる”をキーワードに提供していく」という目的のもと「使いやすい形、便利な形で提供」すると言う。
クラリオンは、カーナビにおいてクラウド情報を利用可能な「Smart Access」を提供しており、それを「事業展開の中心に持って活きたい」とし、「クラウドで情報を集めて、付加価値をつけてお客さまへ提供する。グーグルの技術を得て、お客さまにさらに快適に安心して提供する」と語った。
実際にグーグルの音声認識技術「Google 音声検索」と位置検索技術「Google Place」を搭載した試作カーナビを展示。この試作機は、従来のクラリオンカーナビと同様、OSにWindows Autoを搭載。その上部レイヤーとしてGoogle 音声検索、Google Placeを利用可能なインターフェイスを搭載している。
デモにおける自由文認識の精度は高く、「スタバ」で近隣のスターバックスを検索、「日帰り温泉」「おながかすいた」などでの検索も行っていた。
このグーグルのテクノロジーを使うメリットとして、音声認識のクオリティが高いこと、グローバルに展開できること(グーグルは47カ国に展開)を挙げ、世界の車載端末市場で戦っていく上で、必要なものであるとした。地図はクラリオンがこれまで使ってきたものを使い、ルート検索についてもクラリオンのものを使っていくようだ。
これはすべての情報提供をオンラインシステムにしてしまうと、電波の届かない場所などでは使えないものになるため。デモ機では右側の画面にGoogleMapが表示されているが、これについても現時点でどちらの地図(GoogleMapもしくはクラリオンがカーナビで利用している地図)を使うかは未定とのこと。
【お詫びと訂正】記事初出時、発表資料に従い、グーグルの音声認識検索技術を「Google Voice」と表記しましたが、5月14日にグーグル側から変更依頼があり、同技術を「Google 音声検索」との名称に変更しました。