ニュース

自工会豊田会長、「持続的な成長に向けた力強い一歩を踏み出していくためにも大変重要な1年」

2014年の「自動車工業団体新春賀詞交歓会」を開催

多くの自動車関係者が集まった「自動車工業団体新春賀詞交歓会」
2014年1月7日開催

 日本自動車工業会(自工会)、日本自動車部品工業会、日本自動車車体工業会、日本自動車機械器具工業会の自動車工業4団体は1月7日、2014年の「自動車工業団体新春賀詞交歓会」を都内で開催した。

 今回の賀詞交歓会では、自工会の豊田章男会長とともに、茂木敏充経済産業大臣、太田昭宏国土交通大臣が新年の挨拶を述べた。

 各要人のコメント(抜粋)を以下に記す。

豊田章男会長

 新年あけましておめでとうございます。本日はご多忙のところ大変多くの皆様にご列席いただきまして、誠にありがとうございます。自動車工業4団体を代表致しまして、一言新年のご挨拶をさせていただきます。

 昨年は、年初より安倍内閣の力強い経済政策によりまして経済は回復し続け、20年近く続いたデフレからの脱却も見えて参りました。つらく厳しい時代からやっと前を向いてスタートラインにつくことができた、そんな1年だったかと思います。改めまして、関係の皆様、日頃のご支援とご尽力に深く感謝申し上げます。

 また、2020年のオリンピック・パラリンピックの東京開催が決まりましたことは、私たちに多くの夢を与えてくださいました。自動車産業といたしましても、6年余りの期間の中で未来のモビリティ社会に向け皆様と知恵を絞り、ともに汗をかいて参りたいと思っております。

 そして本年は、日本経済に取りましても自動車産業に取りましても、持続的な成長に向けた力強い一歩を踏み出していくためにも大変重要な1年になると思っています。私たち自動車産業を取り巻く国際競争はますます厳しさを増して参りますが、この日本において真の競争力に磨きをかけ、雇用や生産基盤を維持していくためにも事業環境を改善し、国内市場を活性化するための取り組みに本年も力を注いで参りたいと思っております。

 昨年の東京モーターショーでは、おかげさまを持ちまして90万人を超えるお客様にご来場いただきました。前々回はリーマンショック、前回は東日本大震災という試練に見舞われた中での開催でしたが、苦しいときにも将来への布石としてさまざまな努力を続けてきた成果が実を結んだと思われます。昨年はお台場モーターフェスや大学での出張授業など、若い人たちをはじめさまざまな層の皆様にクルマやバイクのよさを感じていただけるような新しい取り組みも実施いたしました。このような努力を今年も継続して行っていきたいと思っています。

 そして車体課税の問題ですが、消費税が10%になる時点で自動車取得税の廃止を求めていくことは当然ですが、自動車税を含めていかにグリーンでエコな税制の再構築をしていくのか、また需要創出の好循環とどのように両立していくのか。本年はぜひ、私たち自動車産業としても具体的な提案をさせていただき、一緒に知恵を出して参りたいと思っております。

 以上のように、本年も関係各位のご理解とご協力のもと、自動車工業4団体が一丸となって日本経済、社会の発展に貢献して参る所存でございますので、倍旧のご支援・ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

茂木敏充経済産業大臣

 新年あけましておめでとうございます。豊田自工会会長をはじめ、自動車工業4団体の皆様には清々しい新春をお迎えのことだと、心よりお喜び申し上げます。

 安倍政権が発足して2回目の新年を迎えることになりました。この1年を振り返りますと、日本には明らかにいい兆しが見えてきております。長いデフレからの脱却、そして過度な円高の是正、株価は1年前の8000円台から今1万6000円を伺う、こういう勢いであります。そして経済成長率も4四半期連続でプラスと、この1年で日本経済はまさにマイナスからプラスに転換しつつあると、このように考えています。

 おそらく自動車関係の皆様は冬のボーナスが増えたのではないかと思いますが、ちなみに日本で最初にボーナスを支給したのは三菱グループの創始者・岩崎弥太郎さんであると言われています。ボーナスの語源はさらに古く、古代ローマの成功と収穫の神「ボヌス・エヴェントス」のボヌスからボーナスがきているようです。成功と収穫、まさに企業収益の改善と賃上げ、そして所得や雇用の拡大につなげ、それが消費の拡大につながってさらなる投資や生産を産む。こういった経済の好循環を作っていく、そして景気回復の実感を全国津々浦々の皆さんが感じていただける、そういう1年にできればと考えています。

 自動車産業は全製造業の出荷額の2割、そして関連の産業も含めると548万人の雇用を支えるという、まさに我が国のリーディング産業であります。政府としても、10月に策定いたしました1兆円規模の減税措置、また産業競争力強化法によって新たに創設された企業実証特例制度等によりまして、自動走行といった将来の技術の実用化などを積極的に支援していきたいと考えております。

 平成26年度税制改正大綱におきましては、自動車取得税の税率の引き下げ等が決定されました。これからもユーザー負担の軽減、グリーン化等の観点から、引き続き車体課税の見直しに全力で取り組んで参りたい、このように考えています。さらに、自動車産業を取り巻きますグローバル化の波、こういった中でTPP(環太平洋連携協定)、さらにはEU(欧州連合)、EPA(経済連携協定)をはじめとした統括的でレベルの高い経済連携の網を世界に張り巡らせていく。こういった努力を続けて参りたいと考えています。

 先ほど豊田会長からオリンピックの話がありました。昨年、2020年のオリンピック・パラリンピックの東京開催が決まったわけであります。前回の東京オリンピックがちょうど50年前の1964年のことでありました。日本が高度成長期にあり、テレビ、冷蔵庫、洗濯機の三種の神器の普及が進みました。その10年前に国産初のテレビが売り出されまして、販売価格は今の値段で680万円したそうです。そこに映し出された最初の映像はアニメでも英語でもなく日本語で、カタカナでいろはの「イ」の字でありました。今年はこのいろはの「イ」の字を、イノベーションの「イ」の字に変えていきたいと考えています。さらなる省エネ、電気自動車、自動走行とさまざまな分野でイノベーションが生まれ、その相乗効果で好循環が生まれるような年を作って参りたいと思います。

 今年は午年であります。クルマも燃費と馬力が勝負だと、このように思っております。ギリシャ神話に出てくるペガサスは、背中にある白い翼で空を駆け回ります。自動車が空を飛ばなくても結構でございます。自動走行をしっかりしていただければと思います。午年にちなみまして、今年1年が皆様にとりまして素晴らしい飛躍の年になりますよう心からご祈念申し上げまして年頭にあたっての挨拶とさせていただきます。

太田昭宏国土交通大臣

 皆様あけましておめでとうございます。

 茂木大臣がすべてを語っておりましたから、私が話すことは何もございませんが、いよいよ今年は勝負の年になろうかと思います。なんとか円高・デフレを克服し、そして1年間を終えて、今年それを定着させようという正念場の年になろうかと思っているところであります。

 円高・デフレのこの20年間は、いつの間にか心の中に「あれをやってもダメじゃないか、これをやってもダメじゃないか」というような“心のデフレ”に苛まされた十数年であったかと思います。間違いなくこれが克服されたというように思います。今年はなんといっても「実感」。景気経済が中小企業や庶民の現場まで「景気が回復したんだ」と実感を得られる、あるいは「東北の復興ができた」と実感が得られる年にしていかなくてはならないと思っています。

 もう1つは「未来」が大事だと思います。先般、私は水素自動車に乗せていただきましたし、地球温暖化になって北極海航路がいよいよ動き出すということもあり、物流面で大きな流れが世界的に起こるのではないかと思います。私は国土地理院も所管しておりまして、電子地図をしっかり作り、2020年のオリンピック・パラリンピックで外国の方が訪日した際にスマホでどこに何があるのか、また外国語に対応できるようにして世界最先端の姿を見ていただかなくてはならないと思っております。

 これまで日本の産業を引っ張っていただいた皆様方、さらに実感と未来の日本を牽引するという気概に燃えて頑張る1年にぜひともしていただきたいし、我々もしっかりバックアップしていくことをお誓い申し上げてご挨拶とさせていただきます。

(編集部:小林 隆)