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スバル「レヴォーグ」に投入された技術のパネル展示を掲載

レヴォーグのリニアトロニックCVTは、さらに低フリクションに

 ツインリンクもてぎで開催されたスバル(富士重工業)「レヴォーグ プロトタイプ」試乗会。この試乗会では、1.6リッター直噴ターボ、2.0リッター直噴ターボモデルが用意されたほか、ツインリンクもてぎのピットには、レヴォーグのホワイトボディーや、リニアトロニックCVT、エンジンのカットモデル展示が行われた。

1.6リッター直噴ターボと組み合わされるリニアトロニックCVT。新開発のエンジンはもちろん、トランスミッションにもさまざまな手が入っている

 本記事では、リニアトロニックCVTやエンジン展示を紹介するほか、同ピットに掲示された技術説明パネルを掲載する。いずれのパネルにも、「プロトタイプのため仕様変更の可能性がある」との注意書きがあり、今後量産車となる段階で、加わる技術、変更される技術もあるだろう。レヴォーグに投入された技術の多さは、このクルマにかけるスバルの意気込みを物語っている。

低フリクション化を追求したリニアトロニックCVT

 レヴォーグの1.6リッター直噴ターボモデルには、トランスミッションに中容量タイプのリニアトロニックCVTが組み合わされる。この中容量・軽量タイプのリニアトロニックCVTは現行インプレッサをはじめ、自然吸気モデルのレガシィにも搭載されている。今回、レヴォーグに搭載されたリニアトロニックCVTは、その進化版になる。

 レヴォーグにおいて1.6リッター直噴ターボモデルは、高効率なツアラーとして位置づけられている。JC08モード燃費は1.6GT EyeSightで17.4km/L。燃料タンク容量が60Lなので、1タンク1000km走行を計算上実現。しかも、レギュラーガソリンを使用するので、お財布にも優しいツアラーとなっている。ちなみに、ビルシュタイン製サスペンションなどを装備する1.6GT-S EyeSightの燃費は16.0km/Lのため航続距離は960kmとなり、わずかに1000kmに及ばない。

 この優れた燃費は、新開発のFB16エンジンやアイドリングストップ機構によるところも大きいが、さまざまな改良を行ったリニアトロニックCVTも寄与している。改良の目標は低フリクション化で、トランスミッション内の回転体(ギヤ類)を、油に浸かったままにしないよう工夫されている。

 具体的には、ギヤ下部を覆うようなエンジニアリングプラスチック製のフードを設置。これによりトランスミッション下部にたまる油とギヤをセパレートしている。そのほか、発進加速や減速時にオイルが前後に動きすぎないよう、トランスミッション内に小さな仕切り板も設置されていた。これらひとつひとつ積み重ねで、オイルの攪拌抵抗を低減。その結果、優れた燃費を確保する。

リニアトロニック中央部。白いベルトガイドの下にプラスチック製カバーが見える
黒いものがプラスチック製カバー。複雑な形状をしているが、プラスチック製にすることで、一体化部品として作ることができる
トランスミッション下部に設けられた仕切り板。この仕切り板によって、オイルの片寄りを抑制している
トランスミッションの技術パネル。リニアトロニックCVTや、高容量のスポーツリニアトロニックCVTに投入された技術について記されている
エンジンとトランスミッションを接合した展示
エンジンの部品も展示してあった。これはピストンの展示。左が1.6リッター直噴ターボ用ピストン、右が自然吸気用ピストン。矢印は、先方を示している。上部が吸気側、下部が排気側になる。直噴用ピストンは、燃料噴射を受け止めるような凹みが設けられている
左が直噴ターボ用コンロッド、右が自然吸気用コンロッド。微妙に形が違っているよう見える
一番異なるのが、ピストン接続部。直噴ターボ用コンロッドは、頭部からテーパーが設けられており、接触面積を増やすことで大トルクの発生を受け止める
バルブも新たに作り出されている。左が直噴ターボ用バルブ。直噴ターボ用バルブでは、ステムの部分が鏡面仕上げとなっており、フリクション低減を図っている

 以下に、技術パネル展示をまとめて掲載する。レヴォーグ プロトタイプに投入された技術の数々をご覧いただきたい。

(編集部:谷川 潔)