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「マツダコネクト」などを手掛けるNNG、アジア市場の開拓に向け日本での事業を強化
日本拠点の開設により10%のシェア獲得を目指す
(2014/4/14 19:38)
ハンガリーに拠点を置くナビゲーション・ソフトウェア・プロバイダーのNNGは4月10日、都内において記者説明会を実施した。
同社は自社ブランドを表に出さない「ホワイトレーベルソフトウェア」としてカーナビソフトのコアエンジンを提供している。そのため、同社の名前を直接目にする機会はあまりないが、カーナビメーカー16社が同社の製品を採用しており、国内ではアルパイン、クラリオン、パイオニア、富士通テンといった有力メーカーがパートナーとなっている。
そこで生み出されたカーナビは30以上の自動車ブランドに提供され、世界168カ国2000万台以上の出荷実績を持つ。また、自動車メーカーとの連携も行われており、2013年には26%(アジア圏を除く)と大きなシェアを獲得している。国内では、マツダ「アクセラ」に搭載されている「マツダコネクト」のナビゲーションも同社のコアエンジンを使ったものだ。そのほか、「iGO」ブランドでの製品展開も行っており、iPhone向けのカーナビアプリ「iGO promo app」がリリースされている(日本は未対応)。
CEOのピーター・バロフ氏は、同社が世界中に8つのオフィスを構えており、従業員数は600名以上、そのうちエンジニアリングスタッフが80%以上を占めていると会社概要を紹介。欧州においては初めてナビゲーションソフトウェアのフルソリューションを、加えて3Dによるソリューションを展開しており、その結果、欧米、南アメリカ、アフリカにおけるナビゲーションソフトウェア市場においてトップの座を確保しているとアピール。
次に重要となるのはアジア市場で、これまでも日本のパートナーとは良好な協力関係を結んでおり、「超一流のナビゲーションシステムを提供する各社と長年にわたる協力体制を確保できている」とした。その上で今後、より強固な足場を確保するために日本オフィスの設立を予定しており、その立ち上げにおける強力な右腕として池田平輔氏を紹介した。池田氏は「日本国内でNNGの認知度、信頼度を上げていくのがミッション」とした上で、「ホワイトレーベルであることによる優れた柔軟性こそが、同社のソリューションを利用する大きなメリット」であると述べた。
というのも日本の場合、カーナビメーカーと地図やデータなどのサプライヤーが強力に結びついているのが一般的。例えばパイオニアならインクリメントPのデータを利用する、といった具合だ。だが、NNGの場合は地図データはA社、それ以外のデータはB社というように、複数の情報源から取捨選択をして利用することが可能になるという。また、提供先となるそれぞれのメーカーによって見栄えや機能は異なるものの、ナビゲーションのベースとなるコアソフトウェアは共通のため、各社からのフィードバックを一元的に収集、次世代のコアに反映させることができる。単独で開発を行うよりも優れた機能を持つナビゲーションをスピーディに採用でき、なおかつ低いコストで利用できるというわけだ。また、地図や情報のアップデートを行うポータルサイトも、各社それぞれのスキンを施した上で提供することが可能という。メーカーにとっては魅力的なソリューションといえるだろう。
また、池田氏は日本が重層化した道路をはじめ都市の中に多くのトンネルがあり、道路密度が高いなどナビゲーションには厳しい特異性を持つ市場であることにも触れ、現時点で日本向けに24の新機能を追加しており、さらに今後1年のうちに25の機能を追加すると述べた。具体的な機能についてはまだ発表できる段階ではないとしたが、VICSや多言語表示機能、3Dエレベーションマップなどに加え、首都高速道路 大橋JCT(ジャンクション)のような高低差のあるトンネルなどへの対応も行っているという。
これらの対応により現在、カーナビメーカー2社がNNGのナビゲーションを採用するほか、2014年から2015年にかけて4つのプロジェクトに参画するという。最後に「日本向けに新しい製品を開発、満足度を高めるため日本オフィスを2014年中に開設し、チャレンジングではあるが2015年末までに日本市場で10%のシェアを獲得したい」と締めくくった。