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行くぞ、鈴鹿8耐! 高橋敏也、復活した愛車を駆って「“コカ・コーラ ゼロ”鈴鹿8耐」を目指す!

復活した愛車「カワサキ Z1300」で走行中の私

 1年。長いような、長くないような、日々の生活に追われていると、あっという間に過ぎていく時間である。昨年、梅雨に入る少し前、私は自らの愛車であるカワサキ Z1300を北海道へと送り出した。最終目的地は札幌市郊外にある「モーターサイクルメインテナンス ピストンブローククラブ(Piston Broke Club 以下、PBC)http://pistonbcj.web.fc2.com/」。長年不調だったZ1300の修理(リストアと言った方がいいかも)とカスタムを、そのPBCに任せたからだ。それから約1年、ついにZ1300は復活し、そして戻ってきた。

 東京在住の私が、なぜ遠く離れた札幌のショップに愛車を任せたのか? 理由はいろいろあるのだが、まず何よりZ1300が旧車であるため「パーツが入手できない場合は、作るしかない」ということ。パーツを必要に応じて作成するというのは、整備やチューニングとはまた異なるスキルが必要となる。そしてそれをPBCは持っていたし、その上でカスタムの経験も豊富なショップだった。ちなみに1年前、Z1300を送り出す時点で、私はPBCに1度も行ったことがなかった。Webサイトは液晶に穴が開くほど見たし、電話で1度、ショップオーナーである中村さんとは話をした。だが、それだけでショップの適性を見極めることができるのか?

一年目にして初対面、PBCの中村さんと記念撮影

 実はほかにも、PBCに決めた理由があるのだ。私の親友、それも私以上にバイクに詳しい友人が札幌に住んでいる。そしてその友人にZ1300の相談していた時、彼が「近くにPBCというショップがあって、なかなか凄いところらしい」といい、実際にPBCを何度も訪問して様子を見てきてくれたのだ。人間としてもバイク乗りとしても信頼できる親友が「PBCに任せれば問題ない」と言ったのである。この時点で私は厄介な愛車をPBCに任せると決めた。結果、それは大成功だったのである。

 1978年、ドイツのケルンショーで発表されたカワサキ Z1300。水冷の直列6気筒、1286ccの巨大なエンジンはDOHC 2バルブで120PSを叩き出す。ガソリンタンクもやはり巨大、なんと27Lも入る(欧州仕様)。乾燥重量約300kg、装備重量にライダーを足すと400kgに迫ろうかという重量級バイクだ。当時、陸上戦艦などと呼ばれていたZ1300も寄る年波には勝てない。特に私のZ1300A1(最初期型)は製造されてから約35年経過しているのだ。不具合があれこれ出ても、むしろ当然と言える。

 そういった不具合を一気に解消し、痛んだ塗装などをリフレッシュする。同時に私好みのカスタムを施し、バイクとして扱いやすい状態にし、あと数十年(といっても私の老化具合から見て20年が限度だろう)は乗り続けられるようにする。これから先、私はZ1300を降りるつもりはないし、もしZ1300を扱いきれないと思ったら、それは私がバイクを降りるときだと思っている。そう、要するに私はZ1300をPBCに預け「終のバイク」にしてもらおうとしたのだ。

 そのZ1300が仕上る時期が見えたと、PBCから連絡が入ったのは今年の6月。そして私は7月上旬、札幌へと飛んだ。生まれ変わったZ1300を受領し、自らの運転で東京へ戻るためである。

帰京、そして思い出すE!BIKE!BIKE!2014

 美しくなった、凄みが増した、取り回しや動きが軽快になった、エンジンがよく回るようになった、冷却系が強化された……といっただけではすまないほど手の入ったZ1300。PBCの中村さんとそのお仲間、そしてPBCとの出会いを提供してくれた親友には、どれほど感謝していいか分からないほど。日常的に乗ることができるようになっただけでもありがたいのだが、我がZ1300はそれ以上の性能を手に入れた。ちなみにそんなZ1300の物語は、また別の機会にしたいと思う。なお、私のZ1300の詳細をご覧になりたい方は、PBCの特設コーナーを参照して欲しい(http://pistonbcj.web.fc2.com/6patusama.html)。

完成したZ1300、ツーリングモード(リアのウインカーが通常モードとは異なる)
初めて完成したZ1300を見た時は泣きそうになった。そして翌朝、今度は笑いが止まらない

 そんなZ1300を駆り、試乗も兼ねて札幌市から故郷である士別市まで走ってみた。ちょっと寄り道して片道200kmの、軽めなツーリングはリアシートにポニョ嫁を乗せて無事走りきった。帰路は札幌から苫小牧、そしてフェリーに乗船して大洗まで。大洗から東京杉並区と、移動距離は相当なものになったが、Z1300で走ったのはそのうち約700km。まったく不安を感じさせず、なおかつ感覚的には今で言う400ccクラス並の軽快さのある走り。PBCに感謝感激雨あられである。

 走りきった興奮も収まり、思い出すのは鈴鹿サーキットで開催された「BIKE!BIKE!BIKE!2014」である。こちらは本サイト、私のハチロク連載で取り上げているので、ご覧になった方もいらっしゃるだろう。バイクを楽しむためのイベントに参加し、なおかつ憧れの鈴鹿サーキットを生まれて初めて訪れたおっさんは、ふと思ったのだ。


 憧れの鈴鹿8耐に、愛車Z1300を駆って観戦する。30数年前の夢が、ついに現実のものになるのだ。スケジュールはどうする? 体力は大丈夫か? ポニョ嫁をどうやって説得しようか? いろいろ思い悩むことはある。だが、悩む価値は充分あるし、まだ時間もある。あ、それより早く新しい革ツナギをオーダーしなくては! 胸にデッカイ「K」が入った、おっさんが着るのに相応しい革ツナギを。せっかく鈴鹿8耐に行くんだから、恥ずかしくない格好をしたいじゃないかと思ったり思わなかったり……(もう行く気満々ですね)。
(連載より抜粋)

●高橋敏也のトヨタ「86(ハチロク)」繁盛記  その12(番外編):「鈴鹿サーキットを走りつくせ! BIKE!BIKE!BIKE!2014」に行ってきた!
http://car.watch.impress.co.jp/docs/longtermreview/86/20140514_648267.html


 皮ツナギはもう間に合わない。だが、スケジュールはなんとか調整できそうだ。愛車Z1300は絶好調、ポニョ嫁に関しては後でごめんなさいしよう。ん? こりゃなんとかなりそうだ! いや、なんとかなるのか?

行くぞ“コカ・コーラ ゼロ”鈴鹿8耐! Z1300に乗って!

 鈴鹿8耐に行くとなれば、もう私のターゲットは決まっている。シュワンツ、そしてカワサキ TeamGREENである。

 「シュワンツが今年も走る、しかもヨシムラで!」「ええっ?! なんだってぇぇぇ!」とか叫んだり叫ばなかったり。「Legend of ヨシムラスズキシェルアドバンスレーシングチーム」、通称レジェンドチーム。ヨシムラから参戦するこのチームには、ドリームチームという名が相応しい。監督は吉村不二雄氏、ライダーはケビン・シュワンツ選手、辻本聡選手、そして青木宣篤選手がつとめる。あの、あのシュワンツですよお父さん、シュワンツなんですよ! 1985年にクロスビーと組んで鈴鹿8耐3位、そんな歴戦の勇士が去年、2013年も鈴鹿8耐で3位をもぎとったんですよ!

 ワイン・ガードナーとか、ケニー・ロバーツとか、フレディ・スペンサーとか、平忠彦とエディ・ローソンのコンビとか……。おっさんが鈴鹿8耐に憧れていた頃、今やレジェンドとなった彼らの1人が鈴鹿を走るのである。これを応援せずして、なんのおっさんバイク乗りか? 頑張れ、シュワンツ、負けるなシュワンツ!

 ……でもね、シュワンツ選手と言えばヨシムラ・スズキですよね~。そう、スズキなんですよ、ススギ。30数年間、カワサキ命でバイクに乗ってきたおっさんとしては、やっぱりカワサキを応援したい訳ですよ。そして今年、その夢が叶うのである! カワサキ、13年ぶりに鈴鹿8耐参戦! カワサキモータースジャパンが運営する「TeamGREEN」としては、実に1992年以来、22年ぶりなのである! これを応援せずしてなんのカワサキ乗りであろうか!

 ああ、分かった! 行きます、不肖・高橋、「“コカ・コーラ ゼロ”鈴鹿8耐」へ愛車Z1300に乗って馳せ参じます! なんの巡り合わせか7月26日にパソコン関連のイベントが入ってしまったので、出発は夜になるだろう。だが、7月27日の決勝には間に合うはずだ! 行くぞ鈴鹿サーキット! 30年物のバイクに乗った50年物のおっさん、生まれて初めて鈴鹿8耐を目指すのであった。

Z1300の心臓、水冷直列6気筒、1286cc、DOHC 2バルブ

(高橋敏也)