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首都高、逆さになっても走行できる「やもりん」公開

10月定例記者会見より

首都高速道路 代表取締役社長 菅原秀夫氏
2014年10月22日開催

 首都高速道路は10月22日、定例会見を開催。代表取締役社長 菅原秀夫氏が中央環状品川線の開通時期ほか「大規模更新事業の手続き状況」「車両制限令違反車両に対する取締強化」「スマートフォンアプリを用いたリアルタイム道路交通情報の提供の開始」「ハイウェイテクノフェア2014への出展」「技術コンサルティング事業の受注状況等」「改善の取り組み」と8つの内容について発表を行った。この中から興味深い内容についてリポートする。

中央環状品川線開業による環七、環八の渋滞軽減と経済効果に期待

 2015年3月に開通が決定した中央環状品川線について、改めて解説が行われた。18年10月に着工し8年半の工期を経て開通となる中央環状品川線により、計画されている首都圏3環状道路 (中央環状線、外環道、圏央道)のうち、最初の環状道路が完成する。これにより、都心環状線の慢性的な渋滞緩和はもちろん、環七、環八など一般道の渋滞の軽減、さらに新宿、渋谷、池袋など東京西部から羽田空港へのアクセス時間の短縮、東京港と中央道、東名高速が結ばれることによるコンテナ輸送の効率化など大きなメリットが期待される。なお、山手トンネルは今回開通する約9.4kmにより、全長は約18.2kmにも達し、道路用トンネルとしては日本一の長さとなる。1945年に最初の板橋~熊野町間が開通してから半世紀経、ようやく全ての区間が開通となる。

中央環状品川線の開通時期について
中央環状品川線の各部の写真

スマホ用アプリによるリアルタイム交通情報の提供

 リアルタイム交通情報サービス「mew-ti(ミューティー)」が9月10日より開始された。これはスマートフォン用アプリのほか、Webサイトでのリアルタイムルート検索と道路交通状況マップ、緊急情報を登録したメールに送るメールサービスで構成されている。特にスマートフォン用アプリでは、「リアルタイムルート検索」「道路交通情報」「所要時間案内(選択)」「図形所要時間情報」「PAからの所要時間」といった情報を参照できる。

 このうち、「所要時間案内(選択)」は板橋JCT(ジャンクション)~千鳥町、葛西JCT~用賀など2つのルートがある場合にそれぞれの所要時間を現在の交通情報を元に表示するため、より短時間で行けるルートを知ることができる。「図形所要時間情報」は、首都高に設置されている図形主要時間情報板と同じ情報が表示される。また、「PAからの所要時間」は、現在居るPAから主要地点までの所要時間を表示する。この3つはいずれも「mew-ti」の独自のもので、GPSと連動し、近隣の地点からの情報を得ることができる。なお、アプリはAndroid用、iOS用の両方が無償で提供されている。

スマホ用アプリ版「mew-ti」のリアルタイムルート検索
スマホ用アプリ版「mew-ti」の道路交通情報
スマホ用アプリ版「mew-ti」の所要時間案内(選択)
スマホ用アプリ版「mew-ti」の図形所要時間情報
スマホ用アプリ版「mew-ti」のPAからの所要時間

車両制限令違反車両に対する取締を強化、重大な違反車両は積荷を即降ろさせる措置も実施予定

 首都高では、車両制限令違反車両、つまり総重量制限(20t)や軸重制限(10t)をオーバーした車両の取締を強化している。従来までは、首都高内で取締を行い、違反車両は首都高から降ろさせる、反復して違反するドライバーを対象にした講習会を年1回実施するなどの施策を行ってきたが、今年度よりさらに取締を強化する。具体的には以下の通り。

1.国道と首都高の同時取締を実施
2.重大な違反者は積荷の軽減措置を実施
3.自動軸重カメラ高度化により警告対象の拡充
4.違反者講習会の頻度を年4回に拡充

 特に2.に関しては、具体的にどのように実施するかは検討中としながらも、積荷をその場で降ろさせるという思い切った処置だ。菅原氏は「警察とも連携しつつ具体的な内容を詰めている段階、できるだけ早く実施する」とのこと。また、4.の違反者講習会後に是正されない場合は速やかに告発を実施するとしている。総重量制限をオーバーした車両により引き起こされる事故や道路へのダメージといった問題が深刻化していることから、より取締を強化することで、違反車両を撲滅しようという狙いがある。

車両制限令違反車両に対する取締の現状
車両制限令違反車両に対する取締強化の内容

鋼桁に密着して走る小型点検車両を公開

鋼桁用小型点検車両、通称「やもりん」

 高速道路の建設管理技術に焦点を当てた展示会「ハイウェイテクノフェア2014」に出品する小型点検車両が一足先に公開された。「やもりん」と呼ばれるこの車両は、ラジコン操作で動く車両で、モニタリング用にアクションカメラを搭載する。タイヤにネオジウム磁石を12個搭載することで鋼桁に密着しながら、逆さになっても走行できるのが特徴。人の入れない場所の錆や塗装剥離などのチェックに活用するという。実用化時期や投入数などは未定とのこと。日本橋など首都高で20カ所前後ある鋼桁の検査に投入する予定。

タイヤにあるネオジウム磁石で逆さまになっても走行できる
ハイウェイテクノフェア2014に出展される予定

改善の取り組みなど

 ホームページに設置した投書システムやコールセンターから得られた顧客要望を基に、4月~9月の間に166件の改善活動を実施した。例えば、中央環状線(外回り)初台南出口手前の案内板は、大橋JCT方面からの中央道への案内が分かりにくいという意見が寄せられたため、初台南出口手前の案内標識の変更を行った。他にも、神奈川5号大黒線大黒PAでは、路面が凹んでいるという投書に対し、先行して補修を行うなどの改善が実施されている。違反車の取締を強化する一方で、このように顧客満足度向上のための細かい努力も継続的に行われている。

 首都高の通行台数の推移は、6月~9月の4カ月間で前年比平均98.5%とやや減少傾向にある。これは台風や大雨などの天候不順が原因としている。

お客様の声の例
改善事例1
改善事例2
改善事例3
改善事例4
改善事例5
大規模更新事業の手続き状況
首都高の更新計画について
技術コンサルティング事業の受注状況等
最近の通行台数状況

(シバタススム)