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首都高、初の1都3県合同一斉取り締まりを実施

過積載などの違反車を取り締まり

大井本線料金所での取り締まりの様子
2012年12月10日実施

 首都高速道路は12月10日、首都高速道路の本線料金所7個所において、1都3県合同の一斉取り締まりを実施した。今回の取り締まりは首都圏を繋ぐ高速道路での道路法(車両制限令)違反、および道路交通法違反の根絶を目的として実施されたもの。

 本線料金所7個所で同時に取り締まりを実施するのは初めての試みで、首都高をはじめ、NEXCO東日本(東日本高速道路)、NEXCO中日本(中日本高速道路)、警視庁、埼玉県警、千葉県警、神奈川県警らが協力することで実現した大規模な取り締まりとなった。

 取り締まりが実施されたのは、高速1号羽田線(上)平和島本線料金所、高速湾岸線(東)大井本線料金所、高速湾岸線(西)市川本線料金所、高速川口線(上)川口本線料金所、高速6号線三郷線(上)八潮本線料金所、高速神奈川2号三ツ沢線(上)三ツ沢本線料金所、高速神奈川3号狩場線(上)狩場本線料金所の計7カ所で、合計123名の人員が投入された。時間は9時から11時30分まで。

 従来は取り締まりを実施しても同時に実施できるのは数個所が限度で、取り締まりの情報をリアルタイムで共有しているドライバー達は、取り締まり中の料金所を簡単に迂回してしまい、取り締まることが難しかったという。今回は主要高速道路に接続する料金所で同時に取り締まりを実施することで逃げ道をなくし、取り締まりを強化するという試みとなった。

大井料金所での取り締まりの様子
大井料金所では警視庁高速道路交通警察隊が取り締まりに立ち会った
違反の可能性がある車両が次々と誘導されてくる

 道路を通行する車両には、道路や橋などの劣化を軽減するため一定の重量制限や車両の幅、長さ、高さなどの制限が定められており、これらに違反するものを首都高など道路事業者が道路法違反として取り締まる。

 道路の一般制限値は総重量20t、軸重10t、幅2.5m、高さ3.8m、長さ12mとなり、一部の指定道路制限値が設定された道路では総重量25t、高さ4.1mまでの車両が通行可能となっている。これらの制限を超える車両についてはあらかじめ道路管理者への届け出が必要になる。違反車は軽微な違反である場合には「指導警告」が行なわれるのみだが、違反が悪質である場合は「措置命令」となり、高速道路外への即時退去(行政処分)が命じられる。なお、届け出については現在ではインターネットを利用したオンライン手続きが可能で、窓口に行って手続きをする必要はなくなっている。

 一方、車検証などに定められた最大積載量を超える重量の積み荷を搭載した過積載車両は道路交通法違反となり、こちらは警察が取り締まりを担当する。過積載車両については違反の度合いにより反則金または罰金、懲役が課せられることになる。

 9時から開始された取り締まりでは、まず料金所の車軸重量計で12t以上となった車両や、車高などが制限を超えると思われるものを係員がチェックし、誘導。メジャーを使って車両寸法を計測するほか、路面に設置した「マットスケール」と呼ばれる計測機器によって車両重量を計測し、実際に違反があるかどうかを確認していた。

料金所入り口に設置されている重量計。これで車軸あたりの重量を計測する
料金所に設置されたカメラ。車軸重量が15tを超える場合、このカメラで車両ナンバーが自動的に撮影される
車両の重量を計測するマットスケール。車軸ごとに重量を計り、合計値で総重量を算出する
車両の寸法などは手作業で計測していく
料金所の車軸重量計で警告が出た車両を誘導し、マットスケールで計測する
この車両は総重量36.3t。一般制限値を大きく超えている状態。この車両は許可証を持っていなかったため「措置命令」となった
大型のトレーラーが引き込みエリアに誘導されてきた
総重量は42tとなっていた
この車両は過積載および高さ制限に違反していた
重量は問題ないが高さ制限を違反した車両

 今回、対象となった車両は全7個所で計88台。そのうち61台が違反車両で、措置命令が下された台数は28台、指導警告が下された台数は33台となった。首都高では特大車による重大事故が後を絶たず対応に苦慮しており、今後もこうした試みを続けていく方針とのこと。

(清宮信志)