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WTCC日本ラウンド、レース2はスタートを決めたホンダのモンテイロ選手が優勝

ツインリンクもてぎで、ホンダのために君が代が流れる

2015年9月13日決勝開催

WTCC日本ラウンド レース2で優勝した、ホンダワークスの18号車 ホンダ・シビックWTCC ティアゴ・モンテイロ選手

「2015 FIA世界ツーリングカー選手権シリーズ JVC KENWOOD 日本ラウンド」(以下、WTCC日本ラウンド)は、9月13日(日)に栃木県茂木町のツインリンクもてぎにおいて決勝レースが行われ、15時30分よりレース2が始まった。

 WTCCのレース2は、予選結果の上位10台がリバースグリッドになる独特のルールが採用されている。上位10台が車両の性能とは逆順に並ぶことになるため、多くのレースで荒れたレース展開になり、初めてWTCCが開催されるツインリンクもてぎでも面白いレースになることが期待された。

 レースでは3番グリッドからスタートしたホンダワークスの18号車 ホンダ・シビックWTCC ティアゴ・モンテイロ選手が飛び出し、そのまま優勝した。ホンダは今シーズン3勝目となり、地元ツインリンクもてぎでシトロエン勢に一矢報いた形となった。レースはあちこちで激しい争いを見ることができ、最終ラップの最終コーナーでも追い抜きが発生するなど、最後の最後まで熱い戦いが展開された。

予選からレース2に焦点を合わせていたモンテイロ選手が、作戦通りスタートで飛び出し優勝

 レース1終了後、暫定表彰式を行っているときに、突然大粒の降雨が発生。状況は変わるかと思われたが、結局雨はすぐあがり、路面もさほど濡れることなく、レースはドライの路面で戦われることになった。

 スタートを決めたのは、3番手からスタートしたホンダワークスの18号車 ホンダ・シビックWTCC ティアゴ・モンテイロ選手。モンテイロ選手はスタートで、リバースグリッド 1位の7号車 シボレーRML クルーズ TC1 ヒューゴ・バレンテ選手と、2位の10号車 ラーダ ヴェスタ ニッキー・キャッツバーグ選手を、目の覚めるロケットスタートで1コーナーまでにオーバーテイク。後続を徐々に引き離していった。結局モンテイロ選手は、2位以下に10秒近い大差を作り、一度も後続に脅かされることなく独走で優勝した。

ロケットスタートを決める18号車 ホンダ・シビックWTCC ティアゴ・モンテイロ選手
1度もトップを譲ることなく優勝した

 ホンダは、ロシアラウンドのレース2で、モンテイロ選手が勝って以来の勝利となり、ハンガリーラウンドのレース2でノルベルト・ミケリス選手が勝利したことを加えても今シーズンで3回目の勝利。モンテイロ選手は、このレース前にエンジン交換を行ったため、レース1では最後尾に回ることが予選前に決定しており、レース2ではグリッド上位になるように、予選10位(レース2でのポール)を狙う作戦に切り替えて予選8位を獲得、レース2は3番グリッドからスタートすることになった。そして、狙いすましたように、見事なスタートを決めてトップに立つと、そのままゴールすることになった。

優勝後、ウイナーズサークルに戻ってきたホンダ・シビックWTCCとティアゴ・モンテイロ選手。最後はスタッフの輪の中に飛び込んでいった
ツインリンクもてぎの表彰台に君が代が流れた
WTCC開発プロジェクトリーダーを努める堀内大資氏

 表彰式では、モンテイロ選手に加えて、ホンダでシビックWTCC開発プロジェクトリーダーを努める堀内大資氏がポディウムに登壇。優勝したコンストラクターを称え、ツインリンクもてぎに「君が代」が流れた。

3位以下は最終ラップの最終コーナーまで大混戦、ローブ選手が意地の追い抜きを見せる

 2位はレース2のポールポジションからスタートしたバレンテ選手が、後続からの追い上げを振り切って、獲得した。

 3位以下は、スタートからゴールまで激しいレースが続いた。序盤にバレンテ選手の2位を脅かしたのは、68号車 シトロエンCエリーゼWTCC イヴァン・ミューラー選手。ミューラー選手はバレンテ選手のテールに張り付き何度もオーバーテイクの機会をうかがうが、バレンテ選手のシボレーRML クルーズ TC1はストレートが速く、最大の追い越しポイントである90度コーナーなどで追い抜くまでは至らず、膠着状態に。その後、バレンテ選手に軽く接触した時に、ボンネットを止めているピンが飛んでしまったのか、ミューラー選手のCエリーゼのボンネットが半開きになってしまった。このため、オレンジポール(修理のためにピットインせよという指示)が出され、万事休す。チームメイトで、ポイントリーダーの37号車 シトロエンCエリーゼWTCC ホセ・マリア・ロペス選手がリタイアしたことでシリーズのポイント差を詰めるチャンスだったのだが、ノーポイントに終わったことでポイントを詰めることはできず、ロペス選手がレース1で優勝したことで、前ラウンドに比べて逆にポイント差が広がってしまった。

レース2のポールポジションからスタートしたバレンテ選手。2位に入った

 その後の3位争いは、12号車 ラーダ ヴェスタ ロブ・ハフ選手、2号車 ホンダ・シビックWTCC ガブリエーレ・タルクィーニ選手、9号車 シトロエンCエリーゼWTCC セバスチャン・ローブ選手の3台で繰り広げられた。7周目のダウンヒルストレート終わりの90度コーナーで、ローブ選手が、タルクィーニ選手のシビックをブレーキングを限界まで遅らせてオーバーテイク。その結果ローブ選手が、ハフ選手のヴェスタを追いかける展開となった。しかし、ハフ選手は老獪な動きで、90度コーナーなどの要所要所でインを閉めるドライビング。そうした激しいレースは最終ラップまで行われたが、2コーナーから3コーナーに向けてローブ選手がハフ選手のアウトにでて抜こうとしたところに、5位だったタルクィーニ選手がそのローブ選手のインに入る展開で再度逆転して、3位以下はハフ選手、タルクィーニ選手、ローブ選手の順になった。

 そのままレースは終わるかと思った、最終周の最終コーナーで、ローブ選手がタルクィーニ選手のインに入り、ほぼ横並びでフィニッシュラインを横切り、わずか、0.089秒差という僅差でローブ選手がタルクィーニ選手の前の4位でゴールすると、会場に多く詰めかけているローブファンを含めた観客は大いに盛り上がっていた。

最後の最後まで激しい戦いが繰り広げられた3位争い。この3位争いは12号車 ラーダ ヴェスタ ロブ・ハフ選手が制した
レース2結果(暫定)
順位カーナンバードライバーチーム車両
118ティアゴ・モンテイロ(PRT)Castrol Honda WTC Teamホンダ・シビックWTCC
27ヒューゴ・バレンテ(FRA)Campos RacingシボレーRML クルーズ TC1
312ロブ・ハフ(GBR)LADA Sport Rosneftラーダ ヴェスタ
49セバスチャン・ローブ(FRA)Citroen Total WTCCシトロエンCエリーゼWTCC
52ガブリエーレ・タルクィーニ(ITA)Castrol Honda WTC Teamホンダ・シビックWTCC
633マ・キンファ(CHN)Citroen Total WTCCシトロエンCエリーゼWTCC
73トム・チルトン(GBR)ROAL MotorsportシボレーRML クルーズ TC1
84トム・コロネル(NED)ROAL MotorsportシボレーRML クルーズ TC1
947ニコラ・ラピエール(FRA)LADA Sport Rosneftラーダ ヴェスタ
1026ステファノ・ダステ(ITA)ALL-INKL.COM Münnich MotorsportシボレーRML クルーズ TC1
1125メディ・ベナーニ(MAR)Sebastien Loeb RacingシトロエンCエリーゼWTCC
1227ジョン・フィリッピ(FRA)Campos RacingシボレーRML クルーズ TC1
1311グレゴワール・ドゥムースティエ(FRA)Craft Bamboo RacingシボレーRML クルーズ TC1
145ノルベルト・ミケリス(HUN)Zengo Motorsportホンダ・シビックWTCC
1568イヴァン・ミューラー(FRA)Citroen Total WTCCシトロエンCエリーゼWTCC
リタイア10ニッキー・キャッツバーグ(NED)LADA Sport Rosneftラーダ ヴェスタ
リタイア37ホセ‐マリア・ロペス(ARG)Citroen Total WTCCシトロエンCエリーゼWTCC
レース2の表彰台では歓喜のシャンパンファイト
予選日は5000人、決勝日は8500人の観客だったが、とくにレース2ではWTCCらしい戦いが最後まで繰り広げられた。現時点では未定だが、来年のもてぎ開催にも期待したい

(笠原一輝/Photo:奥川浩彦)