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WTCC日本ラウンド、ホンダ シビックのミケリス選手がポール獲得
13日の決勝は14時15分に「レース1」、15時30分に「レース2」スタート
(2015/9/12 19:39)
- 2015年9月12日~13日開催
「2015 FIA世界ツーリングカー選手権シリーズ JVC KENWOOD 日本ラウンド」(以下、WTCC日本ラウンド)が、9月12日~9月13日の2日間にわたって栃木県茂木町のツインリンクもてぎにおいて開催されている。
2014年までは鈴鹿サーキットで開催されていたWTCC日本ラウンドは、2015年よりツインリンクもてぎに場所を移して開催されており、その初開催となったツインリンクもてぎで誰がポールポジションを取るのか、大いに注目を集める予選となった。
そうした中で、今シーズン、シトロエンに比べて劣勢なレースを強いられてきたホンダ勢は、地元ツインリンクもてぎで、逆襲にでた。ホンダのサテライトチーム、Zengo Motorsportが走らせるホンダ・シビックWTCCを駆るノルベルト・ミケリス選手がポールポジションを獲得し、詰めかけたファンを喜ばせた。
ホンダがポールポジションを獲得するのは2014年のオーストリアラウンド以来で、シトロエン以外の車両がポールを獲得するのも、2014年の中国・北京ラウンド以来となる。
3回の練習走行でトップに立ったのは2号車ホンダ・シビックWTCCのタルクィーニ選手
WTCCは非常に競争が激しいレースなのだが、実は昨年、新車両規定(TC1)が導入されて以降、シトロエンのワークスチームが独走している状態で、ホンダやラーダといった他のメーカーはまったく歯が立たないという状況が続いていた。
WTCCは、3回の予選(Q1、Q2、Q3)を行い、Q1で上位12台まで、Q2で上位5台まで、そしてQ3ではその上位5台がワンカーアタックを行いレース1のスターティンググリッドを決定する仕組みになっている。そしてレース2では、その予選順位10位までをリバースグリッドにする規定になっており、レース1ではより車の実力通りの順位に、レース2では速い車が遅い車を抜いていくという混乱のレースになることが多い。
シトロエンは、今シーズンすべての予選でポールポジションを獲得しており、しかも上位3位までを独占ということが多かった。さらに車の実力通りになるレース1では、シトロエンワークスドライバーの誰かが勝つというまさに“無敵艦隊”と呼んでもよい強さを見せていた。
イベントが始まるまでは、シトロエンの3台が順当に上位に来るだろうと誰もが考えていたのだが、蓋を開けてみると、その予想を“いい意味で”裏切る展開が待っていた。というのも、金曜日の11日の事前走行、土曜日の12日に行われた2回のフリー走行でトップに立ったのは、2号車 ホンダ・シビックWTCCのガブリエーレ・タルクィーニ選手。昨年鈴鹿サーキットで行われたWTCC日本ラウンド レース2の勝者でもあるタルクィーニ選手は、このツインリンクもてぎのレースを“ホームレース”(タルクィーニ選手はイタリア人だが、イタリアではWTCCが開催されていないため、メーカーであるホンダのホームである日本のレースがホームレースという意味)と位置づけ、レース前からかなり気合いを入れて取り組んでいたのが功を奏したのか、非常にいい走りで3回の練習走行をすべてトップで終えた。
むろん、ホンダにとってこのツインリンクもてぎは地元であり、SUPER GTなどのカテゴリでの豊富なデータがあると予想されるので、ほかのサーキットよりは有利だと考えられていたし、今回ホンダはハンデウェイトが0になっており、それらを含めて勢力図は変わるだろうとは予想されていた。ただ、シトロエンと同等の戦いをする可能性は予想されていたものの、上回るとは誰も予想していなかったのだ。
このため、予選ではホンダ vs. シトロエンがガチンコでポールポジションを争うという、これまでの2シーズン(2014年、2015年)では見られなかったような新しい展開を見ることができるとして、サーキットでは“WTCCの勢力図が変わり始めているのか?”と大いに盛り上がり始めていた。
ホンダのミケリス選手が、最後の最後に8/100秒差でポールを獲得し大盛り上がり
その盛り上がりのまま、15時30分から予選1回目(Q1)が行われた。12台が生き残ることができる予選1回目では、シトロエン勢が盛り返してきて、37号車 シトロエンCエリーゼWTCCのホセ・マリア・ロペス選手が1位、33号車 シトロエンCエリーゼWTCCのマー・キンファ選手2位を独占する形となった。そこにホンダのタルクィーニが3位となり、シトロエンとホンダがガチンコ勝負という展開になった。
Q1での波乱は、ラーダのエースとなる12号車 Lada Vestaのロブ・ハフ選手が13位で惜しくもQ2へ進むことができなかったことと、日本と関わりの深い4号車 Chevrolet RML Cruze TC1のトム・コロネル選手が15位とQ2へ進むことができなかったことぐらいで、シトロエンとホンダ勢が順当に上位を占める結果となった。
上位5台に絞られる予選2回目(Q2)では、ここまで練習走行でトップタイムを連発していたホンダのエースとなる2号車 タルクィーニ選手が、6位となり予選3回目に進めないという波乱があった。しかし、その半面サテライトチームの5号車 ホンダ・シビックWTCCを駆るノルベルト・ミケリス選手がトップタイムを記録し、ホンダ勢で唯一Q3へ進んだ。その他の4台はいずれもシトロエン勢で、33号車 キンファ選手、9号車 セバスチャン・ローブ選手、37号車 ロペス選手、25号車 メディ・ベナーニ選手と続くことになった。もう1台のホンダ勢、18号車 ティアゴ・モンテイロ選手は、エンジン交換をしたため、レース1では最後尾スタートが決定しているため、レース2で上位になれるグリッドを狙い、8位となり、レース2で3番手からスタートするポジションをゲットした。なお、レース2のポールとなる10位は10号車 ラーダ・ヴェスタのニッキー・キャッツバーグ選手。
上位5台が1台ごとにタイムアタックをする予選3回目(Q3)では、ベナーニ選手、ロペス選手、ローブ選手、キンファ選手、ミケリス選手の順でタイムアタックを行った。最後に出走するホンダのミケリス選手の前にトップタイムをマークしていたのは、昨年のチャンピオンで現在もポイントリーダーの37号車 ロペス選手。唯一のホンダ勢として重大なプレッシャーがかかるなかタイムアタックしたミケリス選手は、セクター1でこそロペス選手に0.024秒遅れだったが、セクター2で最速タイムを叩きだすとその貯金を生かしてそのまま1周をまとめで、2位のロペス選手にわずか0.080秒差で、ホンダのお膝元のサーキットでホンダに今シーズン初のポールポジションをもたらした。
シトロエン以外の車両がポールポジションを獲得のは今シーズン初めて。またシトロエン以外の車両がポールを獲るのは昨年の中国北京ラウンド以来。さらにホンダのポールポジション獲得は、昨年のオーストリアラウンドでティアゴ・モンテイロ選手が獲得して以来となる。
・2015 FIA世界ツーリングカー選手権シリーズ JVC KENWOOD 日本ラウンド 予選結果(暫定)
順位 | カーナンバー | ドライバー | チーム | 車両 | Q1 | Q2 | Q3 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 5 | ノルベルト・ミケリス(HUN) | Zengo Motorsport | ホンダ・シビックWTCC | 1分57秒060 | 1分55秒711 | 1分55秒596 |
2 | 37 | ホセ‐マリア・ロペス(ARG) | Citroen Total WTCC | シトロエンCエリーゼWTCC | 1分55秒929 | 1分55秒963 | 1分55秒676 |
3 | 9 | セバスチャン・ローブ(FRA) | Citroen Total WTCC | シトロエンCエリーゼWTCC | 1分56秒181 | 1分55秒770 | 1分55秒804 |
4 | 25 | メディ・ベナーニ(MAR) | Sebastien Loeb Racing | シトロエンCエリーゼWTCC | 1分56秒211 | 1分55秒990 | 1分55秒835 |
5 | 33 | マ・キンファ(CHN) | Citroen Total WTCC | シトロエンCエリーゼWTCC | 1分55秒995 | 1分55秒722 | 1分56秒038 |
6 | 2 | ガブリエーレ・タルクィーニ(ITA) | Castrol Honda WTC Team | ホンダ・シビックWTCC | 1分56秒040 | 1分56秒137 | - |
7 | 68 | イヴァン・ミューラー(FRA) | Citroen Total WTCC | シトロエンCエリーゼWTCC | 1分56秒714 | 1分56秒236 | - |
8 | 18 | ティアゴ・モンテイロ(PRT) | Castrol Honda WTC Team | ホンダ・シビックWTCC | 1分56秒437 | 1分56秒635 | - |
9 | 10 | ニッキー・キャッツバーグ(NED) | LADA Sport Rosneft | ラーダ ヴェスタ | 1分56秒544 | 1分57秒456 | - |
10 | 7 | ヒューゴ・バレンテ(FRA) | Campos Racing | シボレーRML クルーズ TC1 | 1分57秒350 | 1分57秒548 | - |
11 | 47 | ニコラ・ラピエール(FRA) | LADA Sport Rosneft | ラーダ ヴェスタ | 1分56秒989 | 1分57秒702 | - |
12 | 3 | トム・チルトン(GBR) | ROAL Motorsport | シボレーRML クルーズ TC1 | 1分57秒059 | 3分44秒083 | - |
13 | 12 | ロブ・ハフ(GBR) | LADA Sport Rosneft | ラーダ ヴェスタ | 1分57秒383 | - | - |
14 | 11 | グレゴワール・ドゥムースティエ(FRA) | Craft Bamboo Racing | シボレーRML クルーズ TC1 | 1分57秒434 | - | - |
15 | 4 | トム・コロネル(NED) | ROAL Motorsport | シボレーRML クルーズ TC1 | 1分57秒663 | - | - |
16 | 27 | ジョン・フィリッピ(FRA) | Campos Racing | シボレーRML クルーズ TC1 | 1分58秒104 | - | - |
17 | 26 | ステファノ・ダステ(ITA) | ALL-INKL.COM Munnich Motorsport | シボレーRML クルーズ TC1 | 1分58秒260 | - | - |
予選1位のミケリス選手は「この3週間で、結婚式やこうした素晴らしい週末など嬉しいことばかりだよ。チームの皆やホンダの関係者が頑張ってくれたおかげ、全員がいい仕事をしたと思う。今シーズンの始めからクルマを改善しようと頑張ってきて、自分もファクトリーチームのテストに合流させてもらい、その結果を今日見せることができたと思っている。どこがとは具体的には言えないけど、多くの分野で性能が改善しており、今後も継続的にアップデートしたいきたい。また、この地域の皆様の中には災害に見舞われて大変な方がいらっしゃると聞いている。WTCCを代表して心からお見舞い申し上げたい、我々も応援していると伝えたい」とコメント。
予選2位のロペス選手は「ノルビー(ミケリス選手)は非常にいい仕事をした、彼はナイスガイだし、ドライバーとしても偉大だし、本当におめでとうといいたい。実際ホンダもかなりインプルーブしたようだけど、その後ろにシトロエンが4台並んでいる状況で、我々の競争力に問題はないと思う。シトロエン勢の中では最上位だし、個人的にもいい結果だと思う。大事な事はポイントを確実にとってチャンピオンシップのリードを広げること。逆にチームメイトはリスクを冒さないといけないから、ケアレスミスを犯すことなくしっかりやっていきたい」とコメント。
予選3位のローブ選手は「自分の結果には満足している、ただ自分よりも速かった二人がいただけだ。自分のラップはうまくまとめられたし、ミスもなかった。今のところ週末を振り返って満足している。(ポイントで2位のチームメイトイヴァン・ミューラーとの差が縮まったことを問われて)意識していなかった、今は今週末のレースをしっかりまとめて、自分のやれるべきことをやるだけだ」とコメントした。
明日の決勝は14時15分よりレース1が、15時30分からレース2がスタート
決勝日となる13日は、14時15分から今日の予選順位のグリッドポジションからスタートするレース1が、そして15時30分から予選順位の10位までをリバースグリッドにしたレース2が行われる。
また、9時30分~10時30分の予定で、ピットウォークが予定されており、全ドライバーが参加するサイン会もそのピットウォーク中に行われる予定(要ピットウォークパス:2100円)。さらに、11時~12時にはグリッド上にWTCCマシンが並べられるイベントが行われる予定で、観戦券だけで参加できる。普段は遠くからしか見えないレーシングカーに近づいてじっくり見たり、写真を撮る絶好のチャンスとなる。
このほか、レース2終了後には、国際レーシングコースを歩いて回るコースウォークが開催される予定で、いつもはテレビで見るだけのレーシングコースを歩いてみたいというファンには要注目だ(観戦券だけで参加可能)。
なお、Car Watchでは、このWTCC日本ラウンドを対象としたフォトコンテストを開催中だ(概要などはこちら[http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20150825_717603.html])。複数の賞に分かれておりそれぞれに豪華賞品が用意されているが、スマートフォンだけで参加出来るスマホレタッチ賞なども用意されているので、気軽にご参加頂きたい。明日、WTCC日本ラウンドに来場予定の方は、スマートフォンとカメラはお忘れ無く。