飯田裕子のCar Life Diary

ツインリンクもてぎ初開催のWTCC

2015年のWTCC(世界ツーリングカー選手権)は9月12日~13日にツインリンクもてぎで開催(写真は2014年開催時のもの)

 WTCC(世界ツーリングカー選手権)が今年もまた日本で開催される。これまでに観戦されたことのある方はいらっしゃるだろうか。2009年から開催国となった日本では岡山国際サーキット、鈴鹿サーキット、そして今年はツインリンクもてぎに会場を移して行われる。私は4年前に鈴鹿サーキットで観戦して以来、楽しみなレースの1つになっている。

 WTCCはツーリングカー(のことを“ハコ”いう人もいる)系のスプリントレース。この方面で日本の代表的なレースというとSUPER GTやスーパー耐久があるけれど、どちらも走行距離が長く結果が出るまで時間がかかる。もちろん、そこにさまざまな戦略やマシンの耐久性が求められ、だからこその面白さがある。だが、WTCCの1レースあたり20~30分間程度のスプリントレースらしい緊張感(出場する方も観る方も)も、新鮮であり刺激的だ。

 ガチンコと言っても単に乱暴なわけでもない、と信じたい。筆者が初観戦したとき、鈴鹿1コーナーから2コーナーへというところで、1台のフロントバンパーがBMW(FR車)のお尻に軽くヒットする場面を目撃した。するとBMWのテールは大きくスライドし、「あ~っ、スピンしちゃう~~~っ!?」と思わせておきながら、2コーナーの出口に合わせて美しい姿勢をつくりみごとなドリフトで抜けていった。その原因を作ったFF車と2台並んで……。

 WTCCは少々のヒット&バトルが許容されるレース。しかし、ドライビングスキル不足のフレッシュマンがアッチコッチでガチャン、ゴツンするのとは違う。世界選手権らしい絶妙なテクニックが披露されるガチンコレースだからこそ、そのスリルとスキルを堪能することができるのだ。

 今回のツインリンクもてぎの決勝日(9月13日)には、1日に2レースが行われる。それも1レース目は予選上位順にスタートするが、2レースはリバースグリッドと言って、予選上位10位までが入れ替わってスタートするのだ。つまり、予選10位だった人がポールポジションとなる(11位以下は予選順に並んでスタート)。これがまた実に面白い。ポールポジションを獲ったドライバーがどこまで追い上げられるか、またトップでスタートした予選10位のドライバーは果たして逃げ切って優勝できるのか否か。こうしてこの原稿を書いているだけで興奮してくる。

 2015年はシトロエン・Cエリーゼ(フランス)、シボレー・クルーズ(アメリカ)、ホンダ・シビック(日本)、ラーダ・グランタ(のちにベスタに変更、ロシア)の4メーカーが参戦。使用するマシンは12カ月間で2500台以上生産された4シーターモデル。FIAのレギュレーションに従い車両規定が定められている。例えばエンジンは1.6リッター直噴ターボで、400馬力近くのパフォーマンスを誇るという。タイヤは横浜ゴムのワンメイクでスリックタイヤが基本。1大会あたり12本の新品と8本の使用したことのあるドライ路面用、それに16本のレインタイヤが使用可能と、本数も決められている。

 今シーズンは現在のところシトロエンがマニュファクチャラーズ、ドライバーともにリード中。ドライバーにはWRC(世界ラリー選手権)の覇者であり、パイクスピークでレコード記録保持者でもあるセバスチャン・ローブも参戦。一方、ホンダも5台体制でホーム(日本人ドライバーは出ないかもしれないけれど)での戦いに挑むらしい。ホンダは2013年にマニュファクチャラーズをゲットしているが、果たして今年はどうなるか。ツーリングカーのガチンコレース、一度観に行ってみてはどうだろうか。

 ちなみにチケットはツインリンクもてぎのWebサイト(http://www.twinring.jp/wtcc_m/ticket/index.html)で購入できるほか、シトロエンでは8月いっぱいシトロエン・レーシングオリジナルのロゴ入りTシャツやスティックバルーンをセットにした観戦シートチケット(300席限定)を発売している。詳細は特設サイト(http://www.twinring.jp/wtcc_m/)を覗いてみて欲しい。

【お詫びと訂正】記事初出時、ホンダがマニュファクチャラーズタイトルを獲得した年に誤りがありました。お詫びして訂正させていただきます。

飯田裕子