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SUPER GT、ブランパン耐久シリーズ優勝など“GT-Rの年”を祝った「NISMO FESTIVAL 2015」リポート

ル・マン24時間レースについては「来年しっかりと戦えるように準備を整えている」

2015年11月29日開催

2連覇を果たしたMOTUL AUTECH GT-Rが凱旋

 日産自動車とNISMO(ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル)は11月29日、富士スピードウェイ(静岡県駿東郡小山町)において、レースシーズンを締めくくるファン感謝イベント「NISMO FESTIVAL at FUJI SPEEDWAY 2015」を開催した。昨年に引き続き晴天に恵まれた会場には約3万人あまりのファンが訪れた。

 開幕後、最初のイベントとなるオープニングセレモニーには、柿元邦彦総監督をはじめ日産系のチーム監督およびドライバー達が集合した。ドライバーを代表してマイクを握った松田次生選手は、「今年は日産にとっては本当に素晴しい年でスーパー耐久、海外でいうとブランパンバサースト、GT300、そしてGT500はMOTUL AUTECH GT-Rが連覇することができました。今年はカルソニックGT-Rが本当に速くて、僕たちも追いかける立場で一所懸命頑張っていたんですけれども、ライバルがいたからこそいいレースができたと思います。また来年もGT-Rの年になるように頑張っていきたいと思いますので、今日はNISMOフェスティバルを大いに楽しんでいってください」と、SUPER GTの連覇を集まったファンに報告した。

 次いでマイクを握った柿元総監督は、「今年なんですが、ル・マンはさておきまして」との前置きで会場を沸かせた後、「7月のバサースト12時間レースで勝ちまして、それからヨーロッパのブランパン耐久シリーズでGT3がチャンピオンになった。それから国内のSUPER GTではGT300、そしてGT500は歴史に残る、記憶に残る熾烈な最終戦の闘いで、またGT-Rがワンツーを決めることができました。確か去年のこの場でGT-R同士のチャンピオン争いすると言いましたが、その約束を守ったという風に思っております。来年は規則があまり変わらず開発があまりできない。ということは、今年のGT-Rの優位性は保てます。したがって来年もGT-R同士のチャンピオン争いを約束いたします」とコメント。2016年もチャンピオンを目指して3年連続のタイトル獲得を実現したいと話した。

オープニングには監督や選手が集合
「来年もGT-Rの年に」と松田次生選手
2016年もGT-Rがチャンピオン争いをするとコメントした柿元総監督
御年83歳のレジェンドドライバー、砂子義一氏が乱入する場面も

STAND EVENT AREA

 グランドスタンド側の広場には、トークショーなどが行なわれるステージをはじめ、日産車やNISMOコンプリートカーを展示していたほか、ガレージセールやNISMOグッズ、限定ミニカーなどの物販ブースが充実。特に実際に使われたレースカーの部品を展示即売するガレージセールはオープンと同時に長い列ができる人気のコーナー。1万円/本の使用済みホイールを持ち帰る人が多く見られた。

SUPER GTトークショーにはGT500ドライバーと監督が集合
鈴木豊監督(1号車)は「この場で3連覇の報告ができるように精一杯がんばります」
終始テンションが高かった12号車の星野一義監督
「開幕から飛ばしていきたい」と24号車の近藤真彦監督
46号車の大駅俊臣監督は「来年はチャンピオンを取りましたと言う報告ができるよう頑張ります」とコメント
シーズンが終わったこともあってトークショーは和やかなムードだった
トークショー後にはサイン会が開かれた
GT-RなどNISMOの車両も展示された
日産の最新モデルを展示。エクストレイルのインテリジェントパーキングアシストを体験できるコーナーも用意されていた
来場者の注目を集めていたキャラバンのカスタムカー
キッズパークにはウルトラマン Xに登場するリーフベースの劇中車「ジオアトス」の姿も
キッズ向けのレーシングカートの体験コーナー
スタンドイベントエリアの一番人気はガレージセール
ホイールは1万円/本
ボンネットは開場直後に売約済みに
こちらはあまり人気がなかった様子?
フェンダー類もたくさん
カムシャフトやヘッドカバーまで
エアロパーツは台数限定の会場特価で販売
アウトレットパーツは30%OFFで販売
限定販売、先行販売のアイテムがあるNISMO collectionも人気
ウェア類を手に取るファンが多かった
あっという間に売り切れになった限定Tシャツ
各スケールが用意された特注ミニカー。こちらも一部商品はすぐに完売となっていた
恒例の大森ファクトリーワールド。仕様の異なるRB26コンプリートエンジンを展示
パーツ類の展示も
メンテナンス状態のわるいエンジンやキチンとチューニングしなかったエンジンのパーツを展示
ポート研磨加工したシリンダーヘッド
スカイラインのロードカー
タイヤやGT500車両が展示されたブリヂストンブース
スーパーフォーミュラ、SUPER GT、市販車各タイヤの重さ比べができた
ランフラットタイヤのカットモデル
市販タイヤも展示

PADDOCK EVENT AREA

 パドックに隣接するピットでは、「トミカスカイラインターボ」「マーチスーパーシルエット」など往年のレースカーをはじめ、今年のGT500を制した「MOTUL AUTECH GT-R」やGT300チャンピオンの「B-MAX NDDP GT-R」など、現役および歴代のレースカーを展示。実際のレースシーンでは見ることのできないピット作業も間近で見ることができた。

 ピットビル3階ではタイヤ交換作業を体験できる「ピットワークシミュレーション」、コクピットに乗り込むことができる「コックピットライド」、SUPER GT参戦車両に乗り込んでのエンジンスタート、レーサー気分を味わえる「ドライバー模擬体験」など、体験型イベントを実施。例年、ファミリー層を中心に人気のコーナーとなっているが、今年も多くのファンを集めていた。

マーチ スーパーシルエット(1982年)
コカコーラ キヤノン ブルーバード ターボ(1984年)
ニチラ インパル シルビアターボ(1983年)
トミカ スカイラインターボ(1982年)
リーボックスカイライン(1989年)
NISSAN R381(1968年)
NISSAN R382(1969年)
YHP ニッサン R90CP(1990年)
カルソニックニッサン R92CP(1992年/写真右)とニッサンR91CP(1992年)
NISMO GT-R LM(1995年)
NISSAN NP35(1992年)
NISSAN R390 GT1(1997年)
NISSAN R390 GT1(1998年)
NISSAN R391(1999年)
2015年のSUPER GT GT300クラスチャンピオンのGAINER TANAX GT-R。トロフィーも飾られていた
NISSAN GT-R NISMO GT3 Bathurst(左)とNISSAN GT-R NISMO GT3 BES(右)。こちらもトロフィーが飾られていた
MOTUL AUTECH GT-Rのトロフィー
タミヤのラジコン体験コーナー
発売されたばかりのMOTUL AUTECH GT-Rのラジコン
中学生以下の子供連れファミリー限定のファミリーライドコーナー
子供達に大人気だったスロットカー体験
エンジンのブリッピングが行えるドライバー模擬体験
ピットワークが体験できるピットワークシミュレーションは午前、午後で2回開催

RACING EVENT AREA

 レーシングイベントエリアと名付けられたコース上では、数々のレーシングカーによるレースやデモ走行などを実施。オーナー所有のコンプリートカーやロードカーによる「NISMOカーズパレード」を皮切りに、レーシングカーの同乗走行&観光バスによるサーキットサファリ、NISMOロードカーに同乗できるサーキットタクシーといった一般ユーザーも楽しめる充実したサーキット体験プログラムを用意。

 また、「R382」など歴史的なマシンが走行する「Nissan Motorsports Heritage Run」、現役レースカーによる本気バトル「NISMO GP 2015」など、レースカーの速さやサウンドを体感できるプログラムが用意されていた。

バスの中からレースカーの走行が楽しめるサーキットサファリ
レーシングドライバーが運転するNISMOロードカーに同乗できるサーキットタクシー
レーシングカーの同乗走行も可能だった。ペンズオイル・NISMO GT-R(1999年)
ペンズオイル・NISMO GT-R(1998年)
MOTUL AUTECH Z(2006年)
クラスが異なる車両が混走するのもこの時間帯ならでは
NISSAN R390 GT1(1998年)
XANAVI NISMO GT-R(2008年)
NISSAN R91CP(1992年)
NISMO GT-R LM(1995年)
カルソニックスカイライン(1990年)
カルソニック IMPUL GT-R(2015年)
歴史的マシンが走行したNISSAN MOTORSPORTS HERITAGE RUN
ドライブしたのはレジェンドドライバーの北野元氏
トミカ スカイラインターボ(1982年)
「このクルマ、日本で一番人気があると思います」と長谷見昌弘監督
カルソニックスカイライン(1990年)
「このクルマを見てレースの世界に入ろうと思った」と松田次生選手
NISSAN R91CP(1991年)
「久しぶりに乗ると怖い」と鈴木利男監督
NISMO GT-R LM#22(1995年)
近藤真彦監督は「20年前のクルマとは思えないぐらい迫力あってパワーあって今朝乗った時に足吊りました(笑)」
NISSAN R390 GT1(1998年)
星野一義監督は「いろいろ背負っていっているので3位でホッとした」と当時を振り返った
ペンズオイル・NISMO GT-R(1998年)
影山正美選手は「1年に1回(このクルマに)会うのが楽しみ」
XANAVI NISMO GT-R(2008年)
「このクルマでチャンピオンになることを厳命されていた」と本山哲選手
NISSAN GT-R GT1(2011年)
「ホントに凄くよいマシン」とドライブしたミハエル・クルム選手
コースイベントの最後はNISMO GP 2015。レース前にはグリッドウォークを開催
オフィシャルカーはGT-Rが務めた
マーシャルカーはスカイライン クロスオーバー
やっぱり1号車が人気
レースはGT500、GT3、ST3が混走
優勝は46号車

 イベントを締めくくるフィナーレは、現役車両によるパレードランでスタート。全車がメインスタンド前に整列した後、シリーズチャンピオンを獲得したチームとドライバーを紹介し、花束が手渡された。

 最初にブランパン耐久シリーズ プロクラスで年間チャンピオンを獲得したNISSAN GT-R NISMO GT3(23号車)のボブ・ネビル代表、アレックス・バンコム選手、千代勝正選手、ウォルフガング・ライプ選手が登場。千代選手は「今シーズンはGT-Rにとって世界中で速さを証明できた1年だったと思います」とコメントした。

NISSAN GT-R NISMO GT3
千代勝正選手

 続いて2015年スーパー耐久ST-3クラスでシリーズチャンピオンを獲得した、岡部自動車 DIXCEL チームテツヤZ34(15号車)の長島正明選手と田中哲也選手が登場。MCからひと言コメントをと求められた長島選手は、「ひと言ですか」と笑いつつも「今から37年前、1979年B110でデビューして」と、その後の経歴も語りたそうだったが「長くなるので中略で、2015年Z34でチャンピオンを取ることができました。ここに居る田中哲也ドライバー、もう1人の田中徹ドライバー、スタッフ、NISMOの皆さん、応援していただけるすべての皆さんのおかげで取ったと思います」と、喜びと感謝の気持ちを表した。

岡部自動車 DIXCEL チームテツヤZ34
長島正明選手

 SUPER GT GT300クラスでは、日産車として2011年以来、GT-R GT-3としては初めてとなるシリーズチャンピオンを獲得したGAINER TANAX GT-R(10号車)の田中哲也監督、アンドレ・クート選手、千代勝正選手、富田竜一郎選手がカーペット上に。田中監督は「今年はファンの皆さんのおかげでシリーズチャンピオンを取ることができました。来年も頑張って2連覇目指したいと思いますので応援よろしくお願いします」と、集まったファンに感謝を述べた。

GAINER TANAX GT-R
田中哲也監督
MOTUL AUTECH GT-Rチームの面々

 最後に登場したのはSUPER GT GT500クラスで2連覇を果たしたMOTUL AUTECH GT-R(1号車)の面々。

「お陰様で、またこうして皆さんの前でよい報告ができて大変嬉しく思います。また来年、ここに居るNISMO全体と、会場の皆様と一緒に3連覇目指して頑張りたいと思います(鈴木豊監督)」。

「まさか連覇できるとは、って自分の中でまだ思っているんですけれども、NISMOフェスティバルで皆さんの応援というか喜びの声を聞くと、“ああ連覇したんだな”と改めて思いました。来年は本当に誰もやったことのない3連覇という記録を作らなきゃいけないんですけれども、たぶん皆さんの応援があれば達成できると思いますので、またオフシーズンで自分を磨いて、来年3連覇を報告できるように頑張っていきたいと思います(松田次生選手)」。

「今シーズンは個人的にSUPER GT4度目のチャンピオンを取ることができて、皆さんの素晴らしい応援があったから達成できました。来シーズンの開幕まであっという間になるので、冬の間に皆さんに休んで貰って、来年の開幕戦にはナンバーワンファンとして来て貰って、来年も日産の年にしましょう(ロニー・クインタレッリ選手)」と、それぞれに喜びのコメントを述べた。

鈴木豊監督
松田次生選手
ロニー・クインタレッリ選手

 スピーチの後はGT300とGT500、2台のチャンピオンカーの前にドライバーが登場。2015年のゼッケンを剥がし2016年のゼッケンに変える、恒例のパフォーマンスで会場を沸かせた。

10号車はゼッケン0に
連覇なのでゼッケンは変わらず「1」のハズだけど……
数字がない! と驚くロニー選手
実は松田選手が隠し持っていた
数字を張り直して来年もゼッケン1に
3連覇目指します!
来年もSUPER GTでは1番です! とアピール
日産自動車 副社長 ダニエレ スキラッチ氏

 そして日産自動車 副社長 ダニエレ スキラッチ氏は、「この歴史あるサーキットに初めてきましたが、この場に立つことを光栄に思っています。まず最初に日産自動車を代表して、皆様方の日ごろの日産、NISMO、そして私たちのモータースポーツ活動への熱い応援に御礼申し上げます。また、今日はNISMOフェスティバルにご来場いただきましてありがとうございます」と感謝のコメント。続いて欧州のブランパン耐久シリーズ、SUPER GTでのチャンピオン獲得、そしてオーストラリアのバサースト14時間レースで優勝したことを挙げ、「2015年は日産のレース活動において記念すべき年になった」とした。また、「たくさんのNISMOロードカーや歴代のレースカーがここに集まり、クルマのオーナーさんがサーキット走行やレースを楽しんでおられるのを見て、大変心を動かされました。これこそNISMOのDNAそのものです」と語った。

日産モータースポーツインターナショナル 代表取締役兼CEO 宮谷正一氏

 NISMOフェスティバルのフィナーレには、日産モータースポーツインターナショナル 代表取締役兼CEO 宮谷正一氏が登壇。集まったファンに「2015年は“日産GT-Rの年”にできたでしょうか?」と問いかけ、スタンドから声援を受けると自ら「絶対できたと思っています」と応えた。

 そしてGT500では「いろいろと凄く高い次元の凄いバトルをやって、最終的に1号車が連覇ってことになりましたが、本当に高い次元の戦いだったと思います」、GT-3では「GT3でもチャンピオンになりましたが、GT3として欧州やオーストラリアで、特に欧州のブランパンのプロカップについてはドイツ勢のアウディ、BMW、メルセデスが相当力を入れてやりこんでいる。その彼らの本拠地であるニュルブルクリンクで、そこで勝ったというのは大変に意味があると思っています」と振り返った。

 一方で、ル・マン24時間レースでは「LMP1で新たな取り組みでやりましたが、思うような成果が出せませんでした。来年に向けて今、開発がかなり取り組んでいて、来年にはしっかりと戦えるように準備を整えている」とした。また、2016年は「SUPER GT GT500は過去5年で4回も優勝したので、ほかのメーカーから問題視されているんですけれども、だからと言って来年手を緩めるか、緩めないですよね! 来年もまたしっかり戦っていきますので、熱い応援を引き続きよろしくお願いします」とスピーチ。2015年のNISMOフェスティバルを締めくくった。

最後まで残って応援してくれたファンに全員で挨拶

(安田 剛)