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国交省と環境省、ディーゼル搭載8モデルの路上走行試験を2015年度中に実施

独フォルクスワーゲンの排出ガス不正を受けて実施。試験結果により検査方法の見直しなどを議論

2015年12月22日公表

国内で販売されるディーゼルエンジン搭載8モデルを対象に、車載式排出ガス測定システム(PEMS:Portable Emissions Measurement System)を搭載して路上走行試験を実施

 国土交通省と環境省は12月22日、独フォルクスワーゲンの排出ガス不正事案を受けて実施する「排出ガスサンプリング調査」について、マツダ「CX-5」やトヨタ自動車「ランドクルーザー プラド」など調査対象車種8モデルを選定して公表した。

 同調査は国内で販売されているディーゼル乗用車等について、フォルクスワーゲン同様の不正の有無を確認するため実施されるもの。既に国内でディーゼル乗用車を販売する各メーカーからは、「そのような不正はない」と文書による回答を得ているが、その回答を検証するもの。

 今回選定されたモデルは、マツダ「CX-5」「デミオ」、日産自動車「エクストレイル」、三菱自動車工業「デリカ D:5」、トヨタ「ランドクルーザー プラド」「ハイエース」、BMW「320d」、メルセデス・ベンツ「E 350 BlueTEC(車種変更の可能性あり)」の8モデル。

 調査対象モデルの選定については、最新の排出ガス規制に適合したディーゼル乗用車で、メーカーごとに販売実績の多いものを1車種以上選定。貨物自動車についても特に販売台数の多いものを1車種選定した。

 同日、排出ガス測定試験の様子が公開され、フォルクスワーゲンの事案では台上試験においては排出基準に抑えるプログラムが含まれていたことから、車載式排出ガス測定システム(PEMS:Portable Emissions Measurement System)を搭載した路上走行試験や台上試験を組み合わせて、排出ガスの検証を行なう。

 クルマを固定して行なう台上試験では、現行の「JC08モード」に加えて、2018年に導入予定の日米欧共通の次期測定モード「WLTCモード」のほか、「東京都モード」「60km/h定常走行(30分間)」「アイドル状態(30分間)」の5つの測定を実施。

現行の排出ガス規制モード「JC08モード」
2018年から適用される「WLTC(Worldwide Light-duty Test Cycles)モード」は、日米欧共通で導入予定の次期測定モード
「東京都モード」
「60km/h定常走行(30分間)」「アイドル状態(30分間)」

 一方、PEMSを用いて公道で行なう路上走行試験では、CO2、NOx、COの3つの物質を測定。「都市内一般路」「高速道路」「郊外一般路」に加えて、特殊条件として「冷機状態での走行」「登坂路」と、5つの試験ルートを使って測定が行なわれる。

路上走行試験時の試験ルート

 今回選定された8モデルは、2015年度中に調査・検証が行なわれ、その結果については「排出ガス不正事案を受けたディーゼル乗用車等検査方法見直し検討会」で評価するとしている。

国土交通省 自動車局 環境政策課長の西本俊幸氏

 今回の調査について、国土交通省 自動車局 環境政策課長の西本俊幸氏は「今回のフォルクスワーゲンによる不正は、台上の試験を検知してその時だけ排出ガス低減装置を働かせるソフトがあるとのことで、この調査では実際に路上において測定をいたします。ただ、路上での測定は条件を統一させることが困難な部分があります。今後どのような試験方法がよいのか、これから検討会のなかで議論していきたい」と話した。

エンジンの冷却性能に関わるため、台上試験ではクルマの速度にあわせて大型の送風機で走行風も再現される
台上試験ではステアリングが固定されていた
車載式排出ガス測定システム(PEMS:Portable Emissions Measurement System)はホリバ製。測定器の電源を確保するためバッテリーを搭載している
車載式排出ガス測定システム(PEMS:Portable Emissions Measurement System)を搭載して、公道で排出ガスの測定を実施する

(編集部:椿山和雄)