ブリヂストン「POTENZA RE-11」徹底レビュー【後編】
RE-01Rとの違いを一般道や高速道路、ミニサーキットで確認



 前編では、「POTENZA RE-11」の概要を記したが、後編では実際に先代モデルである「POTENZA RE-01R」との違いを実走レビューでお届けする。

 比較に用いた車両は、「サーキット走行イベント『POTENZA EXCITING STAGE 2009』参加リポート」の記事でも使った1997年式のスバル「インプレッサWRX STi Version III」(以下STI3)。タイヤサイズは、ノーマルと同じ205/50 R16の「POTENZA RE-11」と「RE-01」を、瀬戸、小林、谷川の3人の編集部員で履き比べた。

サイドウォールの非対称形状やシームレスステルスパタンを採り入れたRE-11RE-01R。RE-11の一世代前のハイグリップタイヤ

高速道路&一般道(晴れ)
 ドライの路面は、100km/hで走行可能な高速道路と、東京近辺の一般道。あわせて、騒音計測も行っており、騒音計「Digital Sound Level Meter AR834」を前席と後席の中央部に配置し計測した。なお、一般道の騒音計測は、あえて路面に凸凹のゼブラ塗装がされているトンネル内の道路を50km/hで走行した際のものだ。

●Car Watch編集部:瀬戸学
 改めてRE-01Rに乗ると、そのグリップ力の高さに驚かされる。まるでアスファルトの凹凸とタイヤの溝がきっちりとかみ合ったかのようにがっちりとグリップし、狙ったラインをピタリとトレースしていく。一般道や高速でこのタイヤの限界を試そうというのは、ちょっと難しいものがある。ちょっとやそっと交差点でがんばってみたところで、可愛げがないほどに何事も起きず曲がっていく。

 限界は超えないにしても、攻め込んでいけばある程度はタイヤがたわんでいく感じがするものだが、RE-01Rはそれがまるで感じられない。サイドウォールどころか、トレッド表面のゴムのたわみさえ感じられ、とにかくカチッとした印象だ。

 それはゆっくり走っているときにも現れていて、路面のザラツキや段差にしても、一つ一つ乗り手に伝えてくる。助手席に乗っていてさえも感じられるほどだ。それは乗り心地やノイズと言った部分ではマイナス要因となるが、スポーツドライビングをする上では悪いことではないと思う。

 一方のRE-11はというと、グリップ力の高さは相変わらずで、もはやどちらのほうがグリップ力が高いかは、一般道のレベルでは比較ができない。ただ、RE-01Rで感じた硬さはいくらか和らいで、しなやかな印象を受ける。路面のザラツキや段差に対しても、ある程度タイヤが吸収してくれているようだ。その分ロードノイズも小さく感じるし、乗り心地も角が取れたような印象だ。

 攻め込んだ際にもその柔らかさは表れていて、ステアリングを切り込んだ瞬間のキビキビした印象はRE-01のほうがあるように思えるが、RE-11では、タイヤがしなりながらグッと路面をつかんでいるのがステアリングを通して感じられ、乗り手に安心感を与えてくれる。どちらが好きかは好みで分かれそうだが、個人的にはインフォメーションが豊富で、タイヤの適度なしなりで路面を追従するRE-11のほうが、好みだと感じた。

●Car Watch編集部:小林隆
 以前、“らくタイヤ”のニューモデル「PZ-X」の紹介記事でも触れたが、過去に自分が使ったことのあるPOTENZAシリーズはRE711とRE-01の2モデル。双方ともロードノイズは総じて大きく、乗り心地は硬めの印象だったが、ステアリングを切ったら切っただけ曲がってくれたし、荒い運転にも高いグリップ力で応えてくれた。要は長所・短所がはっきりしていて、タイヤのほうから「グリップ力以外に何を求めるの?」と言わんばかりの、“割り切り”が使っていて心地よかった記憶がある。それからRE-01R、RE-11と進化したわけだが、ともに使うのは初めて。

 まずドライ路面での高速道路&一般道から。RE-01Rから乗ってみたのだが、荒れた路面でゴツゴツとした感じをしっかり拾って乗り心地は悪く、高音のロードノイズも室内に飛び込んでくる。しかしちょっとハンドルを切ればスッと反応してくれるし、直進安定性はすこぶる高い。やはりこの手のタイヤは乗っていて安心感がある。そして相変わらずの“割り切り”ぶりに妙にうれしくなった。

 一方、RE-11。これが結構なサプライズで、グリップはRE-01R同様に高いのだが、決定的に違うのはRE-01Rに比べて乗り心地がマイルドで、ロードノイズが抑えられているということ。コンパウンドのおかげなのか左右非対称形状による恩恵なのか。これが一般的なタイヤであれば「タイヤは進化しているんだな」と素直に思えるのだろうが、自分の中で妙に合点がいかない。その理由は前述の“割り切り”が少なくなってしまったから。同じPOTENZAシリーズと言えども体感レベルでここまで違うのかと、正直驚いてしまった(念のため、これは両者を比較した場合のことであって、RE-11は絶対レベルで静粛性が高く乗り心地のよいタイヤ、という話ではない)。

●Car Watch編集部:谷川潔
 RE-01RとRE-11で感じるのが、その設計思想の違い。RE-01Rがいわゆるハイグリップタイヤらしい、カチッとした手応えを感じるのに対し、RE-11では路面からのインフォメーションをいなしてくれる感じで、よりソフトな手応えとなっている。グリップレベルにおいては、ドライの一般道を走っている限りどちらのタイヤでも不満を抱くことはないほどで、高いレベルにある。

 高速道路においてもグリップの高さは同様だが、RE-11のしなやかさがとても印象的。たとえば東名高速道路の御殿場IC(インターチェンジ)~秦野中井ICへと続く下り坂のカーブにおいて、RE-01Rが手応えを気にしながら走行ラインを予測しつつ走る必要があるのに対し、RE-11ではしっかりとグリップしてくれている感触があるので、あまりあれこれ考える必要もなく走ることができる。もちろん、RE-01Rもグリップ感はあるのだが、その硬い手応えが過剰なインフォメーションにつながっている印象を受ける。

 同じペースで走行するのなら、RE-11のほうが精神的な疲れが小さいタイヤになっており、よりハイペースで走行し続けることができる。RE-01Rではタイヤからの手応えの角がとがっているのに対し、RE-11ではよい意味での丸さがある。RE-11は長距離走行にも向くタイヤであると言えるだろう。

 ノイズレベルに関してもRE-01Rはいかにもという音がし続けるのに対し、RE-11はハイグリップタイヤとしては静かさを感じるタイヤで、不思議な印象を受ける。POTENZA EXCITING STAGE参加時の東京~名古屋間の往復における疲れも非常に小さかった。

RE-01RとRE-11の騒音計測結果を折れ線グラフ化したもの。高速道路、一般道それぞれ20秒間計測した。縦軸の単位はdB(A)で、横軸が時間。グラフ縦軸のレンジが65dB(A)~75dB(A)。高速道路では100km/hで、一般道は50km/hで走行したが、同時計測ではないためあくまで音量の傾向の参考値としてほしい。RE-11のほうが静かなタイヤであるとの傾向を読み取れるが、多くのポイントで1~2dB(A)程度の差となっている

ミニサーキット
 街乗りからサーキット走行までを対象とするPOTENZAのハイグリップモデルのため、ミニサーキットでのテストも行ってみた。テストに使用したミニサーキットは、栃木県宇都宮市にある「ヒーローしのいサーキット」。谷川は走行経験が数年前にあるものの、瀬戸と小林は初めてとなるため、最初はコースに慣れるためもありRE-11で走行、次にRE-01Rで、最後にRE-11で走行し、タイヤ交換も含め3時間ほど走った。

 それぞれのベストラップは、下記の表のとおり。コースに慣れるに従ってタイムもよくなるため、RE-11の1回目は参考値と言えるものだろう。

 RE-11 1回目RE-01RRE-11 2回目
瀬戸58秒10157秒12254秒979
小林1分0秒04553秒15652秒923
谷川56秒09053秒49553秒270

●Car Watch編集部:瀬戸学
 サーキットに持ち込んでも、やはりRE-01Rのグリップの高さは実感できた。がっちりと路面をつかんで、ステアリングを切れば、レスポンスよく反応する。そのフィーリングもソリッドな印象で、乗り手をやる気にさせる。

 一般道と違い、サーキットとなれば、スピードレンジも上がり、その限界領域も試すことができる。あえてオーバースピード気味でコーナーに入るとスキール音とともにグリップの限界を超え、流れ始めるが、一気にすっぽ抜けるようなことはなく、しばらく待っていればきちんとグリップは回復する。ステアリングインフォメーションも分かりやすく、乗り手に分かりやすいタイヤだ。

 一般道で感じたタイヤの硬さはやはり同様で、攻め込んでいってもよれるようなことがなくとても剛性の高い印象を受ける。RE-11に履き替えて再び走り始めるが、グリップの限界に関して言えば、RE-01Rと比べ、若干よくなっているかな?といったレベル。体感上では劇的な差は感じられなかった。

 ただ、限界を超えるところの挙動に差を感じた。RE-01Rでは、スキール音を立てながら分かりやすく流れ出したのに対し、限界を超えてもスキール音はせず、タイヤ自体がしなやかに路面に追従して、しつこく吸い付いていくような印象。RE-01Rがグリップしているのとしていないのの2択だとしたら、RE-11では、その間に、「限界は超えているんだけどタイヤがあきらめていない」ような領域が存在する。これが、まさに一般道のテストでも感じたRE-11のタイヤのしなやかさに起因するように感じた。

 結果、RE-11は限界を超えてもなお、高いコントロール性が確保されていて、その分ミスをしてもタイムの落ち込みが少なくてすみそうだが、逆に滑り出したときのグリップの低下が小さいので、乗り手にとっては分かりにくいと感じる部分もあるかもしれない。

●Car Watch編集部:小林隆
 ヒーローしのいサーキットにおけるテストではRE-01Rを18周、RE-11を15周試してみた。ベストタイムを比較すると、RE-01Rが53秒156だったのに対して、RE-11は52秒923。自分の能力からすると、これは誤差の範囲だろうが、それぞれの印象は若干異なる。

 RE-01Rのほうが、ヘアピンやS字など低中速コーナーに進入した場合の「鳴き」が早い。それが即破綻につながるわけではないのだが、コーナリング中の粘り感はRE-11のほうがあった。左右非対称形状を採用したおかげか、RE-01Rよりも接地性を向上したことにより、安定感はRE-11に軍配が上がる。また、狙ったラインを逃さずトレースしてくれたのも、ハンドルを切り込んでいったときのレスポンスのよさも、RE-11のほうが1枚上手な印象を受けた。まさに「オン・ザ・レール」状態である。

●Car Watch編集部:谷川潔
 一般道や高速道路で感じたRE-01Rの硬さは、ミニサーキットにおいてはよい印象へと変わる。しっかりとしたグリップ感がはっきりとステアリングやシートに伝わり、車に何が起きているのかが分かりやすい。ある程度の腕がある人なら、そのタイヤ反力を使って、タイムの向上に結びつけていくことも可能だろう。

 一方、RE-11はやはり不思議と丸いタイヤインフォメーション。ヒーローしのいサーキットは縁石の高さがあり、そこを乗り越える際RE-01Rは硬い手応えがあるのに対し、RE-11は柔らかい手応えで、車が暴れてしまうことがない。スキール音の出るような限界域においても、RE-01Rがやや高めのスキール音を出すのに対し、RE-11のそれはやや低い音。どちらも突然グリップを失うことなくタイヤに無理をかけ続けることができるのだが、その感触は異なっているものだった。

 タイムはRE-11のほうがよい値となっているが、タイヤよりも前にSTI3のサスペンションのほうが力負けしており、高速コーナーでは両タイヤとも使い切ってはいない。縁石が両側から迫るS字コーナー、そしてヘアピンでの扱いの容易さが、RE-11のタイムに反映されていると言える。

 ただ、ミニサーキットを走って「今日は走ったなぁー」という充実感があったのはRE-01Rで、RE-11にはもう数段先があるような印象を受けた。

ミニサーキット走行後に撮影したRE-11(左)とRE-01R(右)両タイヤのタイヤショルダー部。この部分はサーキット走行において負荷のかかる部分だが、いずれのタイヤも極端に荒れるなどの状況になってはいない
RE-11RE-01R

高速道路&一般道(雨)
 ウェット路面は、ドライと同様100km/hで走行可能な高速道路と、神奈川近辺の一般道を走行した。雨が一定の量で降るのを待って試走を行ったのだが、そう都合よく降ってはくれず、RE-01での走行時に比べ、RE-11での走行時のほうが強い降りの雨となっていた。

●Car Watch編集部:瀬戸
 同ブランドのRE050と比べるとウェットグリップでは劣ると言うRE-01Rだが、普通に街中を走行するレベルであれば、雨の中でもまったく運転に不安を感じることはなかった。特に高速道路は水たまりができにくい高機能舗装が大半を占めるため、ほとんどドライ路面と変わった印象は受けない。水たまりがないので音も同様だ。

 一般道の水たまりがあるような路面をあえて走ると、たしかに水を跳ね上げるような音はするが、むしろ雨が屋根を叩く音のほうが気になるほどで、車種にもよるのだろうが、ハイグリップラジアルだからと言って、ウェットでの走行になにか問題を感じるようなことはなかった。

 RE-11に履き替え、まずは一般道でテスト。こちらも街中を走るレベルで、ドライに比べてのグリップの低下を実感することはできない。ただ、ロードノイズはRE-01Rに比べ格段に小さくなっているように感じた。特にRE-01Rのロードノイズが大きかったとは感じていなかったが、比較するとその差を感じる。ただし、RE-01Rを試乗した時点よりも雨脚が強くなっていて、雨がルーフやガラスを叩く音が大きくなっていたので、音量計では実際よりもその差は表れていないと思う。

 高速道路上もやはり雨が強くなっていて、部分的に高機能舗装の上にも水膜が見て取れるようになっていた。あえてこの水膜ができた路面を走ってみると、若干ステアリングが軽くなり、浮き上がるような印象を受ける。もちろん車速を落とせば問題ないのだが、この辺りはRE050ならばもっとよい印象だったのかもしれない。

 また、音に関しては、一般道で感じたほどRE-01Rとの差は感じることができなかった。雨が強くなっていて、路面上の水の量も増えていたので、厳密な比較にはならないだろう。

●Car Watch編集部:小林隆
 土砂降りの雨の中、同じコーナーに同じようなスピードで進入した際、より安定感を感じたのはRE-11で、RE-01Rのほうが滑り出すタイミングが早く感じられた。また、ブレーキング時に路面をつかんでくれたのもRE-11。RE-01Rと比べて、センター溝がワイド化されるなどの対策のおかげなのだろう。

 RE-11とRE-01Rの比較とは話が異なるが、このウェット路面でのグリップ力というのは、個人的にドライ路面以上に重要だと思う。以前使用していた某海外メーカーの激安タイヤは、ドライ路面でのグリップ力もさることながら、ウェット路面でのグリップ力の低さは危険と言えるレベルのものだった。読者の中にも、雨天時に急制動しなければならないシチュエーションに遭遇した人もいるはずだ。そうしたときに、「ちゃんと止まるタイヤを履いていてよかった」と思うか、はたまた「ちゃんと止まるタイヤを履いておけばよかった」と思うか。

 そういった意味で、万が一のときでもウェット路面でしっかり路面を咬んでくれるRE-11は、身を守る“最高の武器”とも言えよう。このウェット路面でのRE-11のスタビリティは、ドライバーの負担・不安を確実に軽減してくれるはずだ。かつては価格の安さに負けて激安タイヤを使っていたものの、やはりタイヤは路面との唯一の接点であり、それを軽視するのはあまりにも危険すぎる。自分にとってはそのことを改めて知る、よい機会だった。

雨の一般道の計測には神奈川県内の道路を使い、鶴見石油のニュータウン中央SSでタイヤ交換を行った空気圧も前後のタイヤで規定値にセット

●Car Watch編集部:谷川潔
 RE-01RとRE-11の差をはっきりと感じるのがウェット路面。完全ウェットの場合、どちらも気をつけて走らなければならないのは同じだが、RE-11のほうがより気を遣わなくてすむ。これはRE-11の持つ“いなし感”のため。強い剛性感を持ちつつグリップするRE-01Rではグリップが抜けたときを予想しつつ走る必要があるのに対して、RE-11では剛性感はあるものの、それがいきなり抜けるという感じがしない(もちろん、両タイヤとも実際に抜けてしまうことはない)。

 これは、コーナーを抜けたらいきなり水が流れていたりすることを予測しつつ走る必要がある夜の峠道などで大きな違いとなり、RE-01Rでは常に緊張感を伴うのに対し、RE-11では「何とかなるだろう」という気持ちを持てる。RE-11では、路面がいきなり悪化し、タイヤのグリップが抜けていくような状況において、その過渡特性がゆるやかなのだ。

 一般道や高速道路のウェット路面における絶対的なグリップ力にそれほど差はないのかもしれないが、路面変化や天候変化によって状況が悪化したとき、タイヤの手応えの変化する速度はRE-01Rのほうが明らかに速い。RE-11はゆっくりと変化する感じで、ステアリング修正で考える部分が少ない。

 ミニサーキットにおいては、RE-01Rの過渡特性の変化の速さがよい方向に出ていたのだが、ウェット路面においてはもう少し遅めの特性であったらなと感じた。もちろんこれはRE-11と比べての話で、一般的な標準装着のタイヤと比べた場合、そのグリップの高さから来る安心感はある。

 音に関しては、テストした際の雨が激しすぎ、タイヤが水を切る音ではなく雨の音だげが聞こえてくる状態。しかも、雨の強さが一定しておらず、音の比較テストには不向きな天候となっていた。

計測日当日の高速道路の天候。雨が激しく降っており、さらに強くなっていった雨の高速道路、雨の一般道それぞれ20秒間計測した。グラフ縦軸のレンジはドライ路面と同様65dB(A)~75dB(A)。高速道路では100km/hで、一般道は50km/hで走行した。高速道路、一般道とも雨の量の変化が大きかった

まとめ
 今回RE-11とRE-01Rを履き比べてみたのだが、3人のコメントに共通して読み取れるのが、両者ともグリップ力は十二分にあるが、その方向性については違いがあるというもの。とくにその違いがしなやかさや静音性に表れていて、興味深いものがある。前編で登場したPSタイヤ開発第1部 構造設計第3ユニットリーダーの西潟宏志氏と、PSタイヤ開発第1部の伊藤貴弘氏にその話をしてみたところ、タイヤノイズが低減したことについては、RE-01やRE-01Rなどと比べて横溝が減少したからだと言う。これはサーキットを前提とした、スポーツ走行時における剛性を高めるために行われたもので、決して静粛性を重視したからではないとのこと。

 また、乗り心地が柔らかく感じた部分については、限界域での路面追従性を改良するため、RE-01Rと比べサイドウォールを柔らかくしたからだと言う。サイドウォールを柔らかくすることでコーナーリング時にタイヤが粘り、「ステアリングをあと少し切り足したい」というときに、タイヤが反応してくれる重要な要素になるのだとのこと。また、左右非対称形状も影響しているようで、RE-11はイン側がしなやかに路面に接地することを目標とし、丸いラウンド形状となっている。これもまた、しなやかさの要因の1つなのだそうだ。

 いずれにしろ、グリップ力を第一に考えて作られたRE-11が、そのほかの特性を獲得しているというのは、最終的に路面と接するタイヤという製品のおもしろさだろう。これまでのブリヂストンのハイグリップタイヤとはやや異なるキャラクターを持つRE-11。グリップ力そのものは高いレベルにあるだけに、サーキットで、そして一般道や高速道路で履きこなしてみていただきたい。

(編集部:谷川 潔)
2009年 11月 27日