KONDOレーシングと日産自動車大学校、スーパー耐久シリーズに共同参戦 「レースを通じて若者にクルマの魅力を伝えたい」と近藤真彦監督 |
参戦車両はNISMO開発の「NISSAN GT-R(GT3仕様)」。タイヤは横浜ゴム製を採用する。車両は4月28日、29日の第2戦・ツインリンクもてぎでお披露目される予定 |
KONDOレーシングと日産自動車大学校は4月5日、共同プロジェクトを立ち上げ、2012年スーパー耐久シリーズのGT3クラスに「スリーボンド 日産自動車大学校 GT-R」で参戦すると発表した。
同日行われた記者発表会は、全国に5校ある日産自動車大学校のうち、唯一日産自動車が直接運営している日産横浜自動車大学校の入学式に併せて行われ、この日から晴れて同校の生徒となった184人の新入生や父兄が見守る中で、学生たちも参加することになる新プロジェクトについての説明が行われた。
日産自動車の執行役員であり、日産横浜自動車大学校の理事長を務める太田憲男氏は、「クルマが提供する楽しさやワクワク感を若者にアピールして近年の“若者のクルマ離れ”に歯止めをかけ、同時に生徒たちに組織力やチームワークの大切さと厳しさを学び取ってもらうことが、共同プロジェクトの目的である」と説明。レースの現場で生徒たちがベテランメカニックから技量と精神面で教えを受けるだけでなく、サーキットで同世代の生徒たちが活躍する姿を通じて若者の意識が変化するきっかけ作りにしたいとコメントしている。
具体的には、横浜校に在籍している学生の中から15人前後を選抜してレース間のメンテナンスメカニック体験を行うほか、レース開催日にはサーキットに同行して現場の車両整備やチーム運営などを見学させると言う。また、東日本のサーキットには栃木校、西日本のサーキットには愛知校、京都校、愛媛校から50人ほどの学生がチーム運営のサポートスタッフとして参加。整備補助やドライバーサポートなどを行う予定となっている。
「このプロジェクトは1年で終わるとは考えていません。何年続くかはわかりませんが、僕たちが熱くなればなるほど長く続いて大きなものになると思います」と力強く語る近藤監督 |
また、発表会にはKONDOレーシングの近藤真彦監督も同席し、「参戦するのはスーパー耐久です。フォーミュラ・ニッポンやSUPER GTのようなスプリントレースは始まればあっという間に終わりますが、耐久レースは長いレース時間の中で色々なことを学びます。技術的なことや上下関係について学び、ドライバーと話したり、ライバルチームのメカニックと競い合ったり、そんなドラマがたくさんあります。そんなレースを通じて、生徒の皆さんにプロ意識を高めたり、クルマを好きになってもらったりするのがプロジェクトの目的です」とコメント。この目的のためなら協力は惜しまないと宣言し、生徒たちの積極的な参加を求めた。
記者からの質疑応答では、この共同プロジェクトが「サーキットに来る若者が少なくなって、若い人にもっとクルマが好きになってもらいたいと思っていた」という近藤監督側からのアプローチでスタートしたことが明かされ、参戦初年度とは言え、レースに出場する以上は勝利を目標にしっかり戦うことなどが語られた。
質疑応答に臨む近藤監督と太田氏 |
会場となった日産横浜自動車大学校は、日産ディーラーで働くテクニカルスタッフ(整備士)を育成する整備専門学校で、横浜以外にも栃木、愛知、京都、愛媛で各地方のスタッフ育成を行っている。4年制で一級自動車整備士の資格取得を目的とした「一級自動車工学科」と、2年制で二級自動車整備士の資格取得を目的とした「自動車整備科」の2学科を設定。電気自動車(EV)「リーフ」を販売する日産直系の学校だけに、EVに関するノウハウの学習や整備実習などが充実していると言う。
また、テクニカルスタッフでも車両のオーナーとのコミュニケーションから車両の問題点を適切に判断し、ほかのスタッフとの円滑な協力も重要な能力であると位置づけており、新しくスタートする共同プロジェクトでは、緊張感の強いレースの現場で生徒1人1人が「人間力」を高めてほしいという願いが込められている。
(佐久間 秀)
2012年 4月 6日