スズキ、9月発売の新型「ワゴンR」に3つの低燃費化技術を採用し全車免税に JC08燃費は自然吸気エンジン搭載車が軽ワゴントップの28.8km/Lをマーク |
新型ワゴンRが搭載するターボエンジン。2WD車のJC08モード燃費は26.8km/L |
スズキは、9月6日に発売する新型軽自動車「ワゴンR」に、軽自動車で初となる3つの低燃費化技術を採用すると発表した。
新型ワゴンRは、今回発表された低燃費化技術とともに軽量化、走行抵抗の低減などを徹底的に行い、燃費は同じ自然吸気エンジン搭載車(2WD)の「MRワゴン エコ」の27.2km/L(JC08モード燃費)を抜き、軽ワゴントップとなる28.8km/Lを達成。ターボエンジン搭載車(2WD)も軽ワゴントップの26.8km/Lを実現しており、ターボ車を含め2WD/4WD車ともに全車エコカー減税の免税対象車となる。
今回の低燃費化技術は、減速時のエネルギーで発電・充電し、走行時の発電に使用する燃料を低減する「ENE-CHARGE(エネチャージ)」、停車前の減速時に13km/h以下でエンジンを停止し、燃料カット領域を拡大する「新アイドリングストップシステム」、蓄冷材を採用してエンジン停止中でも冷風を送ることで室内を快適に保つとともに、アイドリングストップ時間の拡大に貢献する「ECO-COOL(エコクール)」の3つからなる。
■高効率リチウムイオンバッテリーと高出力オルタネーターを併用するエネチャージ
エネチャージは、従来の鉛バッテリー(アイドリングストップ車専用)に加え、高効率リチウムイオンバッテリーと高出力オルタネーターを併用した、同社独自の減速エネルギー回生機構。
高効率リチウムイオンバッテリーは助手席下に配置される |
一般的なモデルでは、エンジンによって回るオルタネーターは、バッテリーやライト類などに電力を供給するため発電をし続けている(燃料を使っている)。一方、エネチャージでは軽量かつコンパクトな充電性能に優れるリチウムイオンバッテリーと、一般的な軽自動車と比べ約2倍の発電能力を持つ高出力オルタネーターを採用した。
具体的には、必要な電力の大部分を減速時のクルマの慣性を利用して発電することで、効率よくリチウムイオンバッテリーと鉛バッテリーに充電する。それぞれのバッテリーに電気を蓄えることで、アクセルON時の発電量を最小限に抑え、発電に使用する燃料を低減させる仕組みとなる。
バッテリー残量が少なくなった場合にのみ、オルタネーターは燃料を使用しながら発電を行うが、発電の必要がない場合はオルタネーターを作動させないため、燃料の使用を最小限に抑える。また、エネチャージの採用によって加速時にオルタネーターやエンジンの負担が減り、軽やかな加速を体感できると言う。
各バッテリーの役割については、リチウムイオンバッテリーはエンジン電装部品やオーディオ、メーター類などに、鉛バッテリーはヘッドライト、エアコン、スターターモーターなどに放電する。
エネチャージの仕組み。リチウムイオンバッテリーはエンジン電装部品やオーディオ、メーター類などに、鉛バッテリーはヘッドライト、エアコン、スターターモーターなどに放電する |
■13km/h以下でエンジンを停止する新アイドリングストップシステム
新型ワゴンRに搭載するアイドリングストップシステムは、アルト エコで採用した9km/h以下でエンジンが停止するシステムから、13km/h以下でエンジンを停止する新システムに進化した。
また、減速時アイドリングストップの作動直後など、エンジン回転が完全に停止する前でも再始動が行えるスターターモーターを採用。これにより、例えば赤信号で減速した際、アイドリングストップシステムが作動した直後に青信号に変わって加速するといった状況でも、素早くエンジンを再始動させてストレスなく加速できると言う。
なお、MRワゴン エコに搭載する、アイドリングストップ中にハンドルや専用スイッチを操作するとエンジンが再始動する機能や、アイドリングストップ可能な状態になると点灯するアイドリングストップランプなどを新型ワゴンRも採用。坂道で車両の後退を抑制するヒルホールドコントロールも装備する。
エバポレーターに蓄冷材を内蔵 |
■エンジン停止中でも冷風を送り室内を快適に保つエコクール
エコクールは、冷媒の気化によって冷却を行うエアコン部品のエバポレーターに、蓄冷材を内蔵したもの。
通常、アイドリングストップするとエンジンが停止するためコンプレッサーは作動せず、エアコンは送風になる。一方、エコクールでは、走行中にエアコンで車内の温度を快適に保ちつつ、エバポレーター内の蓄冷材を凍らせることにした。
これにより、空気は凍った蓄冷材を通ることで車内に冷風を送ることができ、エンジン停止中の車内温度の上昇を防ぎつつ、アイドリングストップ時間を拡大させることに成功した。温度や状況によって異なるものの、エコクールの採用によりアイドリングストップ時間は非採用と比べ約2倍に延長できると言う。
なお、蓄冷材は固体から液体になるまで、約1分程度としている。
エコクールでは、走行中にエアコンで車内の温度を快適に保ちつつ、エバポレーター内の蓄冷材を凍らせ、空気は凍った蓄冷材を通ることで車内に冷風を送ることが可能になった |
(編集部:小林 隆)
2012年 8月 10日