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三菱電機、車載用新型ディスプレイや新型EPSモーターなど展示
研究開発成果披露会
(2013/2/14 17:10)
三菱電機は2月13日、本社内において2012年度の研究開発成果披露会を開催した。研究開発成果披露会は、報道陣向けに同社の研究開発成果を公開するもので、今年度が30回目の開催となる。
披露会の冒頭、三菱電機 常務執行役 開発本部長 堤和彦氏が、同社の研究開発戦略について説明。三菱電機としては、強固な経営体質構築と持続可能な成長の実現が企業価値の向上につながると考えており、そのために技術基盤を徹底的に強化。グローバル展開を中心に取り組んでいる。
研究開発は、成長戦略を実現する要であり、「メリハリのある経営資源を投入していく」と語る。2012年度は1800億円ほどを研究開発費として投資し、2013年度も同程度の投資を行うものとした。
研究開発成果披露会では、同社の手がける多様な技術製品が展示されたが、本記事ではクルマと関連のある製品を紹介していく。
小型・高性能な新型EPSモーター
近年、乗用車にはEPS(電動パワーステアリング)が導入されているが、三菱電機はEPS用モーターも製造しており、新型EPSモーターが展示されていた。新型EPSモーターは、コントローラーの配置を工夫することで、従来品と比べて50%小型化し、30%軽量化した。展示されていた出力598Wのモーターは、主に2.0リッター~3.0リッタークラスの乗用車・商用車向けになると言う。
ハードウェア面では小型・軽量化が図られているが、ソフトウェア面では制御を高機能化。凸凹道を走行時には、タイヤから入る振動周波数を解析し、それを打ち消す方向でステアリングをアシスト。ステアリングの振動を軽減することができる。いわゆるフィードバック制御を行っており、ノイズキャンセリングヘッドホンのように、逆相のコントロールを行っている。
また、緊急時のステアリング操舵力を軽減するコントロールを実現。なんらかの障害物によりステアリングを急に切る必要が生じたとき、これまでのEPSに比べ2倍のアシスト力を加えることで、障害物回避の可能性を高めている。これは、ステアリングの角速度を見ながらコントロールを行っているとのこと。
新型車載ディスプレイ
2月7日に開発発表を行った新型車載ディスプレイの実物も展示。この新型車載ディスプレイは、リアプロジェクション方式を採用し、凹面、凸面混在スクリーンにさまざまな映像を表示できるもの。インストルメントパネルに搭載可能な奥行き、車載に必要な温度などの要件をクリアしている。
展示品では見栄えのためにグレア(光沢)スクリーンを採用しているため映り込みが強く見えるが、もちろんノングレア(非光沢)も可能。視野角についても投影スクリーン次第だと言う。
凹面・凸面に歪みなく投影できており、自動車用の表示装置としての標準採用を目指していく。
安価で美しいグラフィックスを実現
そのほか展示品で目立っていたのは、小型・高速 ベクトルグラフィックス描画回路のSesamicro(セサミクロ)を使った表示装置。2D画像を表示する技術で、3D画像を表示する回路に比べると安価にできるのが特徴。もちろん開発費も低く抑えられ、3Dでの表示を必要としない、システムを安価に抑えたい、などの用途に向いているとする。
応用例として、オートバイのメーターパネル、鉄道列車車内のインフォメーション表示、テレビのEPG表示、船舶のメーターパネル、エレベーターの操作パネルなどが展示されており、いずれも高速な2Dグラフィックス表示を実現。オートバイのメーターパネル展示では、リアカメラ表示や、スワイプ操作によるメーターパネル切り替えなどが行われていた。
このSesamicroによる表示システムは、すでに東京メトロの銀座線新型車両(1000系)で採用されているとのこと。興味がある方は確認してみていただきたい。