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日産、三菱自動車と英知を結集して作り上げた新型軽自動車「デイズ」発表会
「今後の軽自動車のスタンダードを提案するクルマに仕上がったと自負している」と志賀COO
(2013/6/7 00:00)
日産自動車は6月6日、新型軽自動車「DAYZ(デイズ)」シリーズの発表会を都内で開催した。
デイズの詳細は関連記事(http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20130606_602453.html)を参照されたいが、日産自動車と三菱自動車工業による合弁会社「NMKV」によって企画・開発された第一弾モデルとなっており、同日発売となった三菱自動車工業の「eKワゴン」「eKカスタム」とは姉妹車。ともに生産は三菱自動車の水島製作所で行われている。
29.2km/Lというクラストップの燃費性能
グレード体系は標準車のデイズ、内外装に存在感のあるカスタムを施したデイズ ハイウェイスターの2モデルを設定。
いずれも直列3気筒DOHC 0.66リッターの自然吸気エンジン「3B20」を搭載するが、2WD(FF)のアイドリングストップ非装着車と4WDのアイドリングストップ付きは圧縮比が10.9となり、最高出力は36kW(49PS)/6500rpm、最大トルクは59Nm(6.0kgm)/5000rpmとなる。また、2WDのアイドリングストップ付きは圧縮比が12.0で、最高出力は同じながら最大トルクは56Nm(5.7kgm)/5500rpmと若干スペックが異なる。
さらに、ハイウェイスターは直列3気筒DOHC 0.66リッターのターボエンジン「3B20」搭載車を設定し、こちらは最高出力は47kW(64PS)/6000rpm、最大トルクは98Nm(10.0kgm)/3000rpmとなっている。なおターボモデルは8月発売とアナウンスされている。
注目の燃費(JC08モード燃費)に関しては、ダイハツ工業の「ムーヴ」(自然吸気エンジン/2WD車が29.0km/L)、スズキの「ワゴンR」(自然吸気エンジン/2WD車が28.8km/L)、本田技研工業の「N BOX」(自然吸気エンジン/2WD車が24.2km/L)を超え、2WDのアイドリングストップ付きモデルが29.2km/Lを達成した。
これはEGR(排出ガス再循環)ガス温度を低減することで燃焼室内の混合気温度を下げる効果のあるEGRクーラーや、冷却水バルブの開度を強制的に増加させることでエンジンを低温に保つ電子制御サーモスタットの採用(ともに軽自動車初)などにより、12.0という高圧縮比を実現したこと、ピストンやバルブタペットにコーティングを追加したことなどでエンジンフリクションの低減を図ったこと、走行状況にあわせて燃料ポンプに与える電圧を最適制御して余分な電気負荷を低減したこと、車速が13km/h以下に下がるとエンジンを停止するアイドリングストップシステムや副変速機付エクストロニックCVTなどの採用によって実現したものとなる。
日産と三菱自動車の英知を結集して作り上げたクルマ
発表会にはリージョナル・プロダクト・マネージャーの安居理進氏がデイズの特長について紹介するとともに、志賀俊之COOが登壇。
志賀COOは、デイズは同社が初めて企画から関った初の軽自動車であることを説明するとともに、「日産が軽自動車市場に参入してから11年。参入当時は軽自動車が市場を占める割合が3割ほどだったが、今や4割に迫ろうとしている。軽自動車の需要が高まるにつれ、ご要望通りの供給を確保することが課題となり、これまでやってきたOEMビジネスのやり方を見直さざるを得なくなった」と、従来のOEMビジネスでは同社が思い描く軽自動車の提供が難しいと説明。
その方策となったのがNMKVであり、デイズが成果となる。デイズは「お互い(日産と三菱自動車)の英知を結集して作り上げてきたクルマ。2011年に同社を設立してからわずか2年だが、その間、プロジェクトに関わった社員は立ち上げに奔走した」とし、異なる会社が1つの商品を生み出すにはさまざまな困難や障壁があったと語る。
また、「健全なぶつかり合いを乗り越えて生まれてきたクルマだからこそ、ほかのクルマにはない協業の強みが詰まっている」と述べるとともに、「デイズが投入されるクラスはハイトワゴンという軽自動車のメインストリーム。強豪ひしめくこのクラスでライバルと伍して戦うには、一切の妥協ができない。そのため燃費性能は29.2km/Lを実現したほか、軽自動車初の採用となるアラウンドビューモニター、タッチパネル式オートエアコン、紫外線を99%カットするフロントドアのスーパーUVカット断熱グリーンガラス、躍動感あふれるエクステリアなど、お客様を魅了し、今後の軽自動車のスタンダードを提案するクルマに仕上がったと自負している」と、デイズの完成度に自信を覗かせた。
デイズの概要について解説した安居氏は、車名のデイズについて「毎日を、昨日までと違う楽しい日々に変えていく」という価値を、「DAYS」の「S」を反転した「Z」という表記に込めたと解説。デイズのポイントは「今までの軽にない躍動感溢れるエクステリアと上質なインテリア」「行動の幅を拡げる先進的で便利な装備」「クラスNo.1の低燃費、ハイトワゴンとして十分な車内空間」の3つと言う。
安居氏は「今までの軽とは違うデザインを実現するために、ワールドカーであるマーチ、ノートの次期型を開発する意気込みで取り組んできた」とし、デイズとデイズ ハイウェイスターで異なるフロントマスクとしたことや、ボディーサイドでは立体感のあるキャラクターラインを交差させることでボディーに動きを与えたこと、インテリアではセンターにタブレット型のパネルを配置するとともに、インストルメントパネルを弓型にしたことで広々感を演出したこと、後席ではクッション前部をオットマン風に傾斜させ、全体的にゆったりとした空間を演出したことなどを紹介した。
発売前のリコールは「残念」
なお、記者との質疑応答で、デイズシリーズがコンパクトカーと競合してしまうのではないかと聞かれた志賀COOは、「実際に販売店で務める知り合いに聞いたところ、登録車と軽自動車は『ほとんど食い合わない』と聞いた。(軽自動車を買う)お客様は軽自動車の使い方、利便性、維持費の安さといったところに魅力を持たれ、軽自動車をお買いになられているので、我々としては登録車にそれほど大きく影響するとは見ていない」と説明。
また、6月4日に三菱自動車は「eKワゴン」および「デイズ」のリコールを国土交通省に届け出た。これはテールゲートに固定するハイマウントストップランプに塗布した滑り剤の影響により、ハイマウントストップランプのツメ部に亀裂が発生し、ハイマウントストップランプがテールゲートからずれるおそれがあるというもの。eKワゴンは1449台、デイズは7台がリコール対象となっている。
このことについて聞かれた志賀COOは、「発売前のリコールということで、大変異例な措置でありますし、私自身も残念に思っておりますが、日産と三菱自動車さんとで色々な品質への取り組みを行っている。我々としては最善のプロセスにできたと思っております。まだお客様にご迷惑がかからない段階で必要な措置を取っていく。こういうことを早めにやっていくことが大事であります。デイズの対象は7台で、すべて日産所有の広報用のクルマで一切お客様にご迷惑をおかけしていないわけでありますが、タイムリーにお客様にご迷惑のかからない措置を取っていく。そういう姿勢の現れとご理解いただき、今後とも品質については引き続き努力していきたいと思っている」と述べた。