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トヨタ、「シャア専用オーリス」市販モデルを10月1日発売
“パーソナルカスタマイズ”で自分だけのクルマをデザイン
(2013/8/27 13:27)
トヨタマーケティングジャパンは、オーリスをベースに「機動戦士ガンダム」とコラボレーションした製品「シャア専用オーリス」の市販モデルを10月1日に発売。8月26日から先行予約の受け付けを開始している。デザイン、製造はトヨタモデリスタインターナショナルが行う。
このクルマは、2012年8月に開催された「キャラホビ2012」で展示されて話題となった車両「シャア専用オーリス CONCEPT」の市販モデル。2013年1月にはバーチャルカンパニー「ジオニックトヨタ」を設立して社員を公募したところ、現在までに2万6000人が登録しているという。市販モデルにはジオニックトヨタ社員から集められた意見やアイデアが活かされている。
車両型式は「MS-186H-CA」。コンセプトモデルではボディーカラーが「サザビー」をイメージしたマット調のカラーになっていたが、市販モデルは通常ラインアップの純正色で用意されているレッドマイカメタリックとなった。
シャア専用オーリスを構成する全てのパーツを組み込んだ「シャア専用カスタマイズ フル装着車」の価格は273万2175円(150X“C Package”/2WD/CVT)~330万6825円(RS“S Package”/MT)。価格の中で、カスタマイズパーツの金額は80万9550円。カスタマイズパーツの種類は全部で19種類用意され、「パーソナルカスタマイズ」というコンセプトに基づいたこの車両では、購入者が好きなパーツを選んで組み合わせることが可能。例えば指揮官用アンテナ「ZT指揮官用ブレードアンテナ」だけを装着したい場合は2万9400円(+工賃)となる。
発表会にはトヨタ自動車 ネッツ店営業部 グループマネージャーの嶋津晴之氏とトヨタモデリスタインターナショナル 商品部デザイングループ主任の松本雅治氏が参加。今回の製品開発に関して説明した。
嶋津氏は、ジオニックトヨタの社員からヒアリングしていく中で、「シャア専用」というイメージは千差万別だということに気がついたという。「赤い」というイメージは共通だが、「3倍速い」という性能面の要望から「シャアはおしゃれなイメージがある」というものまでさまざまだったそうだ。それらに答えるのにはどうするのか悩んだという。そこで最終的に行き着いたのが「パーソナルカスタマイズ」というコンセプトだそうだ。
今回、19種類のカスタマイズパーツが用意されるが、それぞれ自分なりのシャア専用車両をイメージし、好きな組み合わせでパーツを装着できるようにしたという。また、ジオニックトヨタの社員の中で、2割ほどの人が自動車を所有していなかったそうだ。そんな人が、このプロジェクトをきっかけにクルマに興味を持ってくれたことは今回のプロジェクトの成果でもある。
嶋津氏は「アフターパーツは、既存のクルマファンにとってはクルマの購入後に組み合わせるイメージですが、今回は欲しいパーツがあるからこのクルマを買う、いわばビフォアパーツとも言える」とし、新しいユーザー層の開拓に期待しているそうだ。
デザインに関しては松本氏が解説。今回のデザインはフルコンプリートだけではなく、パーツ1つだけでもシャアのオーラを感じられるクールなデザインにしたという。特に自信があるのがフロントからサイド、リアに続くエアロパーツのライン。ボディーの赤よりも1段階暗めのつや消しにすることでジオンのモビルスーツのツートンカラーを再現しているそうだ。マフラーはスラスターをイメージし、エースパイロットが乗るクルマにふさわしいスピード感を表現したという。
アンテナは市販化に伴いデザインを変更。コンセプトカーのイメージを活かしながら、折りたたみ機構などを組み込んだデザインにすることで製品化を可能にした。また、バンダイの“ガンプラ”に付属しするデカールを参考に開発したという「ZTコーションラベル&マーキングデカールセット」も用意。松本氏は「1/1の“ガンプラ”を作る感覚でデカールで遊んでほしい」そうだ。
内装はインテリアパネル、ステアリング、シフトグリップ、スタータースイッチなどをシャア専用仕様として用意している。
また、このクルマの発売に合わせて「シャア専用オーリスフロアマット」「シャア専用オーリスナビ」が、それぞれ900個限定発売される。価格はシャア専用オーリスフロアマットが3万7800円、シャア専用オーリスナビは2種類あり、「G-BOOK mX Proモデル」が25万3575円、「G-BOOK mXモデル」が20万9475円となる。
シャア専用オーリスナビは、シャアの声優である池田秀一氏がこのナビのために音声を収録した製品。シャア・アズナブルの名台詞やオリジナルボイスなど約500語を収録している。
ナビ機能の音声案内自体は通常モデルと同じ女性のボイスで行われ、シャアのボイスはエンジンスタートなど、走行状態に応じてさまざまなタイミングで流れるようになっている。これは「シャアが乗っているクルマなのにシャアが案内をしていたらおかしい」というこだわりを表現しているそうだ。例えば、エンジンスタート時のボイスは366種類あり、エンジンを始動させるたびに毎日違ったセリフを聞くことができる。うるう日となる2月29日のボイスは4年に1回しか聞けないそうだ。このほかにも、エコドライブ中や県境を越えたときなどにもさまざまなボイスが楽しめる。また、ボイスだけではなく、デザイン面でもジオニックトヨタのマーク入りボタンを採用するなど凝った作りとなっており、ナビ画面の自車位置アイコンは「シャアザクヘッド」になっている。
このほか、発表会にはガンダム好きを自認する平 将明衆議院議員もジオニックトヨタ特別サポーターとして駆けつけた。平氏はコンセプトカーのころからシャア専用オーリスに注目していたと話し「ツノがちゃんと残るか心配だった」とコメント。コンセプトカーが発表されたころはブレードアンテナのままでは製品化できないと言われていたからだ。
「こういう企画が通るようになって、トヨタは一昔前にくらべて柔らかくなった。経産省もそうならないといけない。現代では工業製品が価格と品質だけでは売れなくなってきたが、ガンダムとトヨタのコラボレーションのような事例によって新しい価値が生まれる。ガンダムという付加価値は興味のない人間にとってはなんの価値もないが、好きな人にとってはとても訴求力がある。これをきっかけにしていろいろな事が起きればいいと思う」と語った。
今後、このクルマにどんなことを期待するかを問われると「このクルマが街に出るようになれば必ず話題になる。追い越し車線で後方に見かければ“シャアが来た!”と言ってしまうと思う。そういう遊び心をくすぐるところに期待したい」と答え、最後に「ナビの音声案内はララァの声を入れて優しく導いてほしい」とさりげなく要望も付け加えた。
シャア専用オーリスは今後、8月31日から開催される「キャラホビ2013」、9月7日から開催される「京都国際マンガ・アニメフェア」、9月14日から開催される「大ぽぷかる展」で展示される予定となっている。