ニュース

ブリヂストン、「安全性」「ライフ」「低燃費」性能に加え車種別設計の新エコスタンダードタイヤ「ECOPIA EX20」シリーズ

新タイヤ開発技術「ULTIMAT EYE(アルティメット アイ)」によりウェット/耐摩耗性能が向上

2014年3月1日から順次発売

オープンプライス

EX20シリーズのアンベールの様子

 ブリヂストンは、低燃費タイヤ「ECOPIA(エコピア)」ブランドの新製品「ECOPIA EX20(イーエックス ニーマル)シリーズ」を3月1日から順次発売する。サイズラインアップはセダン・クーペ専用の「ECOPIA EX20」が19サイズ、軽・コンパクトカー専用の「ECOPIA EX20C」が17サイズ、ミニバン専用の「ECOPIA EX20RV」が10サイズの展開となっている。価格はすべてオープンプライス。

 ラベリング制度における転がり抵抗性能は、EX20では205/65 R16 95H、205/65 R15 94H、195/65 R15 91Hの3サイズがAAを達成し、それ以外はA。ウェットグリップ性能は185/70 R14 88Sのみbで、それ以外はすべて最高グレードであるaを達成。EX20C、EX20RVはすべてA/bとなっている。

 1月9日、そのEX20シリーズの発表会を都内で開催し、ブリヂストン 常務執行役員およびブリヂストンタイヤジャパン 代表取締役社長の清水実氏、ブリヂストン 執行役員 タイヤ製品開発・モータースポーツ技術担当の市川良彦氏、ブリヂストン タイヤ研究部長の平郡久司氏が技術解説などを行った。

ブリヂストン 常務執行役員/ブリヂストンタイヤジャパン 代表取締役社長の清水実氏
ブリヂストン 執行役員 タイヤ製品開発・モータースポーツ技術担当の市川良彦氏
ブリヂストン タイヤ研究部長の平郡久司氏
セダン・クーペ専用の「ECOPIA EX20」
軽・コンパクトカー専用の「ECOPIA EX20C」
ミニバン専用の「ECOPIA EX20RV」

コンセプトは「“雨に強く”“長持ち”かつ車種別専用チューン低燃費タイヤ」

EX20のレーダーチャート

 今回発売されるEX20シリーズで車種別設計を採用したことについて、清水氏は昨年に行った調査結果を紹介。この調査は、国内で市販用タイヤを購入したユーザーがどのような車種に乗っているかを調べたもので、2013年は38%が軽・コンパクトカー、30%がミニバン、12%がセダン、20%がその他となっており、近年はミニバンが高い構成比で推移するとともに、軽・コンパクトカーの増加が目立つ結果になっているという。

 そしてタイヤ購入時に何を重視するのかをセダン、軽・コンパクトカー、ミニバンユーザーそれぞれに聞いたところ、1位から順にセダンでは「ウェットグリップ」「高速直進安定性」「静粛性」、軽・コンパクトカーでは「ウェットグリップ」「燃費」「ライフ」、ミニバンでは「ウェットグリップ」「高速直進安定性」「燃費」と、すべてのタイプで「ウェットグリップ」が1位となった。

 この結果について、清水氏は「日本は統計的に3日に1日は雨ということで、ウェットグリップを重視される方が多いが、そのほかの要求性能は車種によって違う」とし、EX20シリーズでは「高い燃費性能の維持」「安全性(ウェット)性能の向上」「ライフ性能の向上」を目標に掲げ、「“雨に強く”“長持ち”かつ車種別専用チューン低燃費タイヤ」をコンセプトに製品開発を行ったことを紹介した。

国内で市販用タイヤを購入したユーザーがどのような車種に乗っているかを調査。38%が軽・コンパクトカー、30%がミニバン、12%がセダン、20%がその他という結果となっている
タイヤ購入時に求める性能。すべてのタイプで「ウェットグリップ」が1位となっている
EX20シリーズのコンセプトと概要

新開発技術「ULTIMAT EYE」で設計

 製品については、市川氏から具体的な内容が紹介された。

 「安全性、ライフ、低燃費の3軸バランスを高次元で両立したエコスタンダードタイヤ」(市川氏)となるEX20では、独自の材料技術「NanoPro-Tech(ナノプロ・テック)」の採用により、相反する性能である低燃費性能とウェット性能、耐摩耗性を高次元で達成する新コンパウンドを搭載したこと、そして新しいタイヤ開発技術となる「ULTIMAT EYE(アルティメット アイ)」を用いて設計した、踏面部のブロック剛性と排水性を最適化した新パターンを組み合わせたことが特長となっている。

 従来のEX10でもタイヤのコンパウンドに使われているシリカとポリマーを結合させ、シリカを最適配置するNanoPro-Tech技術を採用していたが、「EX20では新たに『ウェット向上ポリマー』を採用するとともに、使われるシリカの量を増量した。シリカの量を増すためにはシリカの分散性を高める必要があるが、そのシリカ分散性向上剤に初めてサステナブルな材料を使用した。このコンパウンドを使うことで、トレッドゴムがよりしなやかになって路面に接地し、新パターンとのマッチングにより高いウェット性能を発揮する」(市川氏)とした。

 ULTIMAT EYEは最先端のシミュレーション技術と独自のタイヤ計測技術を組み合わせたもので、今回はEX20のタイヤパターンおよび接地形状の開発に使われたという。

ULTIMAT EYEの基本概念
タイヤ計測技術について
タイヤ計測技術では高速走行時のトレッドパターン接地挙動可視化に世界で初めて成功
シミュレーション技術と独自のタイヤ計測技術により飛躍的な性能向上に成功したという
ウェット性能、耐偏摩耗性能がそれぞれ向上していることが伺える

 パターンに関しては、ラベリング制度でAAA/aを達成した「ECOPIA EP001S」のパターン基調をさらに進化させ、ゴムのグリップ力を最大限に発揮する車種ごとの設計とした。パターンはセダン・クーペ用となるEX20のデザイン(操縦安定性の向上に主眼を置いている)をベースにしており、3本のストレートグループによって耐ハイドロプレーニング性を確保する「GUTT IIシミュレーション・ストレートグループ」をいずれも採用。

 ミニバン専用のEX20RVではIN側のショルダーブロックにリーフスロットを採用するなどして高剛性化し、ふらつきを抑制。軽・コンパクトカー専用のEX20Cでは、市街地での据え切りなどによる偏摩耗に配慮し、IN/OUT側ともに高剛性のショルダーブロックを採用するとともにブロックのラグ溝を千鳥配置して剛性を高めている。

 また、EX10でも採用していた水平接地形状に改良を加え、コーナリング時や高荷重時のショルダーブロックへの負担を緩和することに成功し、「この新しい形状により、直進時の偏摩耗性能を維持しながらコーナリング時の偏摩耗性能も向上させることができた」と、市川氏はEX20の完成度に自信を覗かせた。

 これらにより、EX20はEX10比で転がり抵抗性能は同等、ウェットブレーキ性能は12%短縮。EX20CはEX10比で転がり抵抗性能は同等、ウェットブレーキ性能は11%短縮、摩耗寿命は11%向上。EX20RVは「Playz RV」比で転がり抵抗性能は8%低減、ウェットブレーキ性能は10%短縮したとしている。

EX20のコンセプト
EX20はEX10比でウェットブレーキ性能を12%短縮
EX10のウェットグリップ性能がラベリング制度でbだったのに対し、EX20シリーズでは18サイズがaに進化
EX20では新たにウェット向上ポリマーを採用するとともに、使われるシリカの量を増量
ULTIMAT EYEで開発した新パターンでウェット性能が向上
ウェット路面での旋回性能も向上した
EX10でも採用していた水平接地形状に改良を加え、高い耐変摩耗性能を実現
EX20Cの摩耗寿命はEX10比で11%向上
車種の特性にあわせたトレッドパターンを採用する

EX20サイズ一覧

タイヤサイズ転がり抵抗係数(RRC)ウェットグリップ性能発売予定
245/45 R18 96WAa6月
225/45 R18 91WAa
215/45 R18 89WAa
225/50 R18 95WAa
225/55 R18 98VAa
225/45 R17 91WAa
215/45 R17 87WAa
215/50 R17 91VAa
205/50 R17 89VAa
215/55 R17 94VAa
205/55 R16 91VAa
195/55 R16 87VAa
215/60 R16 95HAa
205/60 R16 92HAa
205/65 R16 95HAAa
195/60 R15 88HAa
205/65 R15 94HAAa
195/65 R15 91HAAa3月
185/70 R14 88SAb6月

EX20Cサイズ一覧

タイヤサイズ転がり抵抗係数(RRC)ウェットグリップ性能発売予定
185/55 R16 83VAb3月
175/60 R16 82HAb
185/55 R15 82VAb
165/55 R15 75VAb
185/60 R15 84HAb
175/60 R15 81HAb
185/65 R15 88SAb
175/65 R15 84SAb
165/55 R14 72VAb
165/60 R14 75HAb
175/65 R14 82SAb
155/65 R14 75SAb
175/70 R14 84SAb
165/70 R14 81SAb
155/65 R13 73SAb
155/80 R13 79SAb
145/80 R13 75SAb

EX20RVサイズ一覧

タイヤサイズ転がり抵抗係数(RRC)ウェットグリップ性能発売予定
235/50 R18 97WAb4月
225/55 R17 97WAb5月
215/55 R17 94VAb
215/60 R17 96HAb4月
215/60 R16 95HAb
205/60 R16 92HAb
195/60 R16 89HAb
215/65 R16 98HAb
205/65 R15 94HAb
195/65 R15 91HAb3月

(編集部:小林 隆)