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ANA、同社で最も小さな旅客機「DHC8-Q300」を退役へ
羽田~三宅島路線ラストフライトは火山性ガスの影響で着陸できず
(2014/4/4 12:58)
ANA(全日本空輸)は3月31日、羽田~三宅島路線の運航を休止することに伴い、同路線で運航に使用されてきたDHC8-Q300型機の引退セレモニーを羽田空港(東京国際空港)で開催した。
カナダ ボンバルディア・エアロスペース社のDHC8-Q300は、56人乗りの小型双発ターボプロップ旅客機。全長25.7m、全幅27.4mで、ANAで最も小型の旅客機となる。当日はANAで最も大きな機体であるボーイング・747-400型機も引退(http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20140403_642630.html)し、同社で運用する最大の機体と最小の機体が同時に引退する1日となった。
DHC8-Q300は滑走距離が1200mと短いことから、初の国産旅客機である「YS-11」の後継機として2001年7月1日に羽田~大島路線で1号機が導入。その後、三宅島や札幌・丘珠空港などに就航していたが、路線の休止に伴って順次引退。本機が最後の1機となっていた。Q300の「Q」は「Quiet」の頭文字。防音機構を備えて機内の静粛性に優れることからこの名が与えられた。また、翼が胴体の上部に付く高翼配置のため客席からの視界がよく、かつ低空を飛ぶことから、窓からの眺めが良好であることも特徴の1つとして知られている。
ANAの羽田~三宅島路線は1966年3月に就航し、48年間に渡り本土と三宅島を結んできた路線。当初はフォッカー F27 フレンドシップを使用していたが、1973年8月からはエアーニッポンが日本初の国産旅客機であるYS-11型機を導入して同路線を運航した。しかし、2000年に発生した三宅島の噴火によって路線は休止。2008年から運航を再開するタイミングからDHC8-Q300を導入し、今日に至った。
開催されたセレモニーには、全日本空輸 代表取締役副社長の洞駿氏、三宅村副村長の内田峰夫氏などが出席。三宅村からはこれまでの功績をたたえ、感謝状や就航当時の写真パネルなどが送られ、ANAからはDHC8-Q300の模型が三宅村に贈られた。
最終便となるNH1849便 羽田発三宅島行きは11時45分に羽田空港を離陸したが、三宅島の火山性ガスの影響で三宅島空港には着陸できず、残念ながらそのまま羽田空港に引き返すことになった。15時29分に羽田空港に着陸し、最後のフライトを終えている。