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ANA、虹をバックに最後の勇姿をみせた“ジャンボジェット”「ボーイング747」ラストフライトセレモニー

藤村機長が篠辺社長に「飛行記録」を手渡し最終フライトを報告

2014年3月31日最終フライト

放水車が作り出した虹をくぐりぬけるボーイング747

 ANA(全日本空輸)は3月31日、“ジャンボジェット”の愛称で親しまれたボーイング747型機の運航を終了した。羽田空港(東京国際空港)からの最後の便となるNH127便(羽田発那覇行き)については既報のとおりだが、ここでは同機のラストフライトとなったNH126便(那覇発羽田行き)の引退セレモニーの様子をリポートする。

●ANA、“ジャンボ”こと「ボーイング747」の運航を3月31日で終了
http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20140331_642054.html

午前中のNH127便(羽田発那覇行き)出発時の様子

 退役するのは登録番号JA8961のボーイング747-400D型機。1993年4月製造で機齢は21年。総飛行時間は4万6160時間となり、同型機のなかでANAが運航する最後の1機となっていた。

 最後の出発地となる沖縄 那覇空港を搭乗率100%で離陸したNH126便は、羽田空港に15分ほど遅れて着陸。まずは多数の航空ファンたちに挨拶するため第2ターミナルへ向けてタキシングした後、セレモニー会場となる羽田空港408番スポットに到着。国土交通省航空局所属の消防車による放水で発生した虹の中をくぐるようにして花道を飾った。

 スポットに到着した同機にはタラップが取り付けられ、最後のフライトを堪能した乗客らが降機。通常のフライトでは機体から降りたあとはすぐにターミナルへ移動することになるが、今回は特別なフライトであり、乗客らは20分ほどの時間をかけて機体のまわりで記念撮影をできた。

沖縄から最後のフライトを終え、放水車が作り出した虹の中をくぐり抜けるボーイング747
放水を行った消防車
思い思いに記念撮影を楽しむ乗客ら
ANA最後のボーイング747-400Dの登録番号は「JA8961」

 16時から始まった引退セレモニーでは、最終便の機長を務めた藤村弘氏が全日本空輸 代表取締役社長の篠辺修氏に最終フライトの報告をした。藤村機長が「747-400、JA8961ジャンボジェットのラストフライトを無事終えたことを報告いたします」と述べ、同機の歴史が刻まれた航空日誌を手渡すと、篠辺社長はそれを受け取りながら「ありがとうございます。お疲れ様でした」とねぎらいの言葉をかけた。

 篠辺社長は、「無事に747型機最後のフライトが終了し、これによってANAが所有するすべての747型機のフライトが終了しました。これまで沢山のお客様に利用いただき、ありがとうございます。747型機は世界で初めてとなる2階建ての飛行機で、遠くから見てもすぐに存在が分かるとても印象深い飛行機でした。前身となるSR型機から35年ほど運航してきましたが、その間大過もなく運航できました。また長年にわたって安全運航をしてきた社員や協力会社に感謝します。今後もこの経験を活かして快適なフライトをお届けできるよう頑張っていきます」とコメントし、惜しまれつつ引退する同機への手向けとした。

 ラストフライトの責任者を務めた藤村機長は、「ラストセレモニーにお集まりいただきありがとうございます。本日は晴天に恵まれ、多くのスタッフらの支援をうけて無事ラストフライトを終えることができました。時代の流れとはいえ、大好きなジャンボジェットが退役するのは非常に残念ですが、この熱い思いを次世代の翼に託し、引き続き多くの皆様に安全で夢のある空間を提供できるよう社員一同一層努力していきます」と述べ、挨拶とした。

飛行記録を受け取った全日本空輸 代表取締役社長 篠辺修氏(左)と、藤村弘機長(右)
藤村機長と共に最後の運航を担当した神田丈司機長(右)。神田機長は自身もパイロットとしての最後のフライトだったという
CAらは747-400が1990年に就航した当時の制服で客室業務を行った
ボーイング747をバックに記念撮影

 式典が終わると同機は再び第2ターミナルの64番デッキへ移動。ターミナルの屋上ではANAのボーイング747最後の姿を見届けようと、午前中から多くのファン達が待機しており、パイロットやCA、地上スタッフらが総出で最後の挨拶を行った。

コクピット上部のハッチから上体を乗り出して第2ターミナルに手を振る藤村機長
駐機場に着くとクルー総出で第2ターミナルに挨拶を行った
皆に見守られながら64番デッキを後にするボーイング747

(清宮信志)