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ANA、3月30日の羽田空港 国際線ターミナルの拡張にあわせてラウンジ拡張・増設などサービスを拡充
国内線・国際線乗り継ぎ専用バス「ANA HANEDA CONNECTION」も運行
(2014/3/19 00:00)
ANA(全日本空輸)は3月17日、3月30日に行われる東京国際空港(羽田空港)の国際線ターミナル拡張および国際線ネットワークの拡大にあわせて、各種サービスの拡充施策を明らかにした。
ANAが羽田から運航する国際線は現在の10路線13便から、3月30日以降は17路線23便へと大幅に増える。同社は羽田空港をハブにして、地方空港から羽田国際線への乗り継ぎの快適さを訴求していく。そのための新しいサービスの1つが、国際線と国内線のターミナル間を結ぶ乗り継ぎ専用バス「ANA HANEDA CONNECTION」の運行だ。
羽田空港では、国際線ターミナルと国内線ターミナルが分かれているため、国内線から国際線、あるいは国際線から国内線へと乗り継ぐ場合、ANAであれば第二ターミナルである第二空港ビルから国際線ターミナルまでをモノレールあるいは京浜急行で電車移動するか、ターミナル間循環バスを利用する必要があった。
3月30日以降は、乗り継ぎ専用バス「ANA HANEDA CONNECTION」を利用することで、制限区域を出ることなく、第二ターミナルと国際線ターミナル間の移動が可能になる。空港外周部をまわる循環バスに対して、空港内を移動する「ANA HANEDA CONNECTION」は乗車時間も短くなり、ANAによると約15分程でターミナル間の移動が可能になる。なお乗り継ぎにともなう移動想定時間は短くなるが、乗り継ぎに必要とされる時間は従来どおりの70分間が維持される。時短ではなく、余裕を持った移動と制限区域内でのスムーズな乗り継ぎという視点だ。「ANA HANEDA CONNECTION」の運行間隔は10~15分程で、国内線、国際線ターミナルのゲート付近からそれぞれ発着する。
これに関連して、制限区域内に「国内線乗り継ぎカウンター」も設置される。海外から到着して国内の最終目的地へ乗り継ぐ場合に、一旦荷物をピックアップして税関手続きを経て再度預け入れることができる。到着客用のターンテーブルとは別に設置されるため、これもまたスムーズな乗り継ぎに寄与することになる。
ANAの篠辺修代表取締役は、羽田では最大の国内線ネットワークである41路線(※コードシェア4路線を含む)と増便される国際線の連携で、より快適に海外へ行き来できる点に加えて、2020年に開催される東京オリンピックを契機に、増加が予想される海外からの観光客をよりスムーズに国内各地域へと迎え入れる体制の1つとした。予想値では年間約1000万人の外国人観光客が、約2000万人へと増加することを見込む。
ANAの国際線増便では従来の深夜帯に加えて、昼時間帯にフランクフルト、ミュンヘン、バンクーバー、シンガポール、バンコクの5都市に就航する。いずれもスターアライアンスで提携する航空各社のハブ空港であり、ヨーロッパ、カナダそして東南アジア全域への渡航を容易にする。
国際線ターミナルの拡張にあわせてラウンジを拡張・新設
国際線ターミナルの拡張にあわせて、ラウンジも拡張・新設される。これまでANAは、国際線ターミナルに「ANA SUITE LOUNGE」、「ANA LOUNGE」を設けていたが、拡張エリアにも、同様の「ANA SUITE LOUNGE」、「ANA LOUNGE」を新設した。加えて、1月から閉鎖して改修を行っていた従来エリアの「ANA SUITE LOUNGE」が、3月30日から新装、拡張してオープンする。
従来エリアのANA LOUNGEも拡張を行い、新設されるラウンジとあわせると、総座席数は約2.5倍にまでひろがることになる。なおANA SUITE LOUNGEは、国際線ファーストクラスの搭乗客および、同社のマイレージサービスであるANA MILEAGE CLUBにおいてダイヤモンドサービスの会員資格をもつ搭乗客が利用できる。一方ANA LOUNGEは、ビジネスクラスの搭乗客および、同プラチナサービスあるいはSuper Flyers Card会員などが利用可能となっている。
このANA SUITE LOUNGEでは、新たなサービスも開始される。ANAとしては初めてとなるレストラン式のサービスで、名称は「DINING h」(hは羽田空港を表す)。シェフとホールスタッフが常駐し、オーダーに応じてフルコースメニューを提供する。これまでのラウンジサービスでは、ビュッフェ形式で食事の提供が行われてきたが、注文後に調理するメニューを上級ラウンジに加える。前菜はビュッフェメニューから、メインは和食、洋食ともに3種類ずつのなかから注文ができる。メニューは、機内食と同様に基本的には3カ月ごとに見直して季節に応じた新メニューとなる見通しだ。
DINING hは、深夜便の搭乗客を対象に19時30分から0時30分まで、従来エリアのANA SUITE LOUNGEにおいて提供される。DINING hの座席数は24席で、ANA SUITE LOUNGE内に、独立したゾーンが設けられる。深夜便は、機内でゆっくり睡眠をとることを前提にしており、あらかじめラウンジ内で食事を提供することで、機内ではよりくつろいでもらいたいとANA関係者は述べている。
また、同じくANA SUITE LOUNGE内に「THE CONNOISSEURS(ザ・コノシュアーズ)」プロデュースによるコラボレーションメニューが登場する。「THE CONNOISSEURS」は、2013年9月から国際線のビジネスクラス以上と国内線のプレミアムクラスで提供している上質な飲食メニュー。3月30日からは「ピエール・エルメ・パリ」監修のクロワッサン、「レストランWakiya」監修のWAKIYA特製ピリッと辛い担々麺がANA SUITE LOUNGE内でも提供される。同メニューは3月30日から5月31日までの期間限定。6月1日以降は、新しいコラボレーションメニューが投入される見通しだ。
ラウンジ内のビジネスサービスとしては、これまでは一部座席に限定されていた電源コンセントが、従来エリアのANA SUITE LOUNGEと拡張エリアのANA SUITE LOUNGE、およびANA LOUNGEのソファー席にも各2口ずつ用意されるなど、出張族にありがたい工夫がなされている。Wi-Fiを使ったインターネットサービスも従来どおり継続される。
ANAは、航空業界の調査および格付け会社の英SKYTRAX(スカイトラックス)社による格付けで、2年連続の5つ星(最高評価)を獲得。2013年に続いて、2年連続の5つ星となる。ちなみに5つ星を獲得したエアラインは世界で7社で、うち6社がアジア内、残り1社は中東で、欧米のエアラインで5つ星を獲得しているところはないという。英SKYTRAXは25年前から航空会社の調査を行い、15年前からホテルやレストランの格付けと同じように、星をつける形での格付けを行っている。
同日は、英SKYTRAXのエドワード・ブレイステッドCEOが来日し、ANAの篠辺修代表取締役社長に記念の盾を手渡した。篠辺社長は「5つ星を得ることがサービスの目的ではなく、お客様の満足に(2013年の)受賞がつながるようにした。一度得ることよりも、それを失わずに継続していくことの重要性をあらためて感じている」と、今後のサービス向上への抱負を述べている。