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H.I.S.とANAセールス、訪日外国人向け国内旅行を企画する新会社

ANAの国内線と日本国内のホテルなどを組み合わせた個人型の国内旅行を、H.I.S.の海外店舗網で販売

左から、H.I.S.社長の平林朗氏、新会社社長に就任予定の深木重和氏、新会社副社長に就任予定の廣岡伸雄氏、ANAセールス社長の白水政治氏
2014年9月1日発表

 エイチ・アイ・エス(H.I.S.)とANAセールスは9月1日、訪日外国人向けにANA国内線を利用した個人旅行の企画、造成、手配を行う新会社を両社で設立すると発表。同日、都内で設立に関する基本合意書の調印を行った。新会社では、企画したパッケージツアーをH.I.S.の海外拠点の店頭とH.I.S.の多言語対応のWebサイトで販売を展開する。

 ANAは、国際線ネットワークからの接続需要を取り込むため、訪日外国人向けの国内線運賃の設定や、日本の魅力を伝える情報発信をすでに行っている。一方でH.I.S.は、海外店舗網とサポート体制を活用して訪日外国人の需要の掘り起こしを行っている。新会社では両社の強みを活かすことで、ANAの国内線と日本国内のホテルやレンタカーを組み合わせた個人型の国内旅行を企画し、H.I.S.の海外店舗網で販売していく。

 新会社は2014年11月の設立予定。名称は現在のところ未定で設立までに決定する。新会社の規模は7~8名程度で、パッケージツアーの旅行商品の企画・造成・手配を行う。営業目標は2020年に売上100億円、取り扱い人数は20万人を目指す。

 新会社はH.I.S.出身の深木重和氏が代表取締役社長に就任予定。代表取締役副社長にはANAセールスから廣岡伸雄氏が就任する予定になっている。

記者会見に出席した新会社社長に就任予定の深木重和氏(写真左)と、新会社副社長に就任予定の廣岡伸雄氏(写真右)
H.I.S.代表取締役社長の平林朗氏(写真左)、ANAセールス代表取締役社長の白水政治氏(写真右)も出席
基本合意書にH.I.S.およびANAセールスの両社社長がサインした

 深木氏は「海外でも訪日旅行は個人旅行にシフトしていく。こういったお客様のニーズに合わせた商品を双方の会社が力を合わせて作って訪日需要を伸ばし、地方都市を含めて日本を元気にしていきたい。ANAの国内線、観光素材、H.I.S.が持っている宿泊予約サイト『スマ宿』のホテル、観光素材と、例えばハウステンボス、ラグーナ蒲郡をはじめその他の観光都市、観光施設を新会社が商品造成して海外のH.I.S.で販売する。特に今回は店舗販売を重視している」と方針を述べるともに、H.I.S.の旅行会社では進出国数で世界一と言う海外58カ国122都市177拠点の海外店舗規模を示し、「日本の大型店同様、現地のお客様から支持をいただいて、日々、たくさんのお客様の来店がある」として海外拠点の実力をアピールした。

 主な販売国は特に決めていないとするものの、アジア地域で訪日需要が伸びているとし、発表会場でタイで放映している日本への旅行を紹介するTV-CMを披露。当面はアジア諸国での販売が多くなることを伺わせた。なお、日本に来るまでの経路はANAに限らず、H.I.S.が扱う他社の国際線や航路を組み合わせることもあるという。

 副社長に就任予定の廣岡氏は「ANAの国内線は現在51都市、115路線、117便の運行をしている。これまでは訪日の旅行はおそらく大都市間の移動だったが、これからの訪日旅行では各地の拠点を結んだ旅行をもっと作ることで、たくさんの方々に各地を回ってもらえる」と抱負を語り、これまでは国内向けだった各地域、宿泊施設、観光施設のキャンペーンを海外拠点で紹介できるとした。

 また、H.I.S.代表取締役社長の平林朗氏は「訪日旅行は10年、20年先の旅行業界を見越すにあたって非常に重要なセグメント。最近の訪日旅行は、国際線が就航している東京や大阪から入り、ここから出て行くという旅行形態がほとんどだが、新会社では比較的脚光が浴びづらかった地方都市、地方空港を活用して、新たな訪日旅行として日本の魅力を伝えていきたい」と語るとともに、ANAセールス代表取締役社長の白水政治氏は「ANAは多くの国内線ネットワークを持っているので、日本に来ていただいたお客様に首都圏だけでなく、または富士山などのゴールデンルートだけでなく、日本の隅々まで行っていただける」と述べ、訪日旅行者には未開発の観光素材の開発が進むとの期待を示した。

事業コンセプト
ビジネスフロー
顧客の訪日フロー
H.I.S.の海外拠点
ANAの国内線ネットワーク
ANAの就航している各地の空港

(正田拓也)