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8年目を迎えた「トヨタ博物館 クラシックカー・フェスティバルin神宮外苑」リポート
「1930年代、日本の自動車産業夜明け前」をテーマに、戦前から1980年代のモデルまで総勢約100台が集結
(2014/12/15 17:50)
- 2014年11月29日開催
2014年で8年目を迎えた「トヨタ博物館 クラシックカー・フェスティバルin神宮外苑」が、東京の明治神宮外苑 聖徳記念絵画館前で11月29日に開催された。今年トヨタ博物館は開館25周年を迎えたことを機にロゴを一新。会場内にはスタジオブースが設置されるとともに、フェスティバルの模様や集まったクラシックカーの紹介を行うなど新たな試みも加わり、例年以上に充実したプログラムとなった。
今年のテーマ「1930年代、日本の自動車産業夜明け前」を象徴する1台としてイスパノ・スイザK6(1935年 フランス)が登場。トヨタ博物館館長 布垣直昭氏が乗車し敷地内を走行した後、オープニングセレモニーが行われ全参加車両が1台1台紹介されながらいちょう並木を通り、銀座方面をぐるりと周回する約11kmのパレードランに出発した。
なお、このイスパノ・スイザK6は旧佐賀藩主 鍋島家の13代当主にして自動車マニアとしても知られる鍋島直泰候が、当時高級車として知られたイスパノ・スイザK6のベアシャシーのみを輸入し、自らがデザインして日本人職人に製作させたという貴重かつ意欲的なクルマ。まさに今年のテーマにふさわしい1台だ。
バリエーション豊富な参加車両
このイベントの特徴は同じモデルでも前期型と後期型、2ドアと4ドアといった具合に参加車両に重複がなく、見学者がさまざまなタイプを楽しめる点だ。また貴重な戦前モデルからちょっと懐かしい1984年(昭和59年)のモデルまで年式も幅広い。ややもすれば敷居が高くなりがちなクラシックカーイベントだが、都心で楽しめる昭和の風景は近隣で行われている「神宮外苑いちょう祭り」から流れてくる、クルマに興味のない観光客にとっても十分に楽しめる構成になっているのだ。
フェスティバル初の雨天
今まで運営に支障のない程度の小雨はあったものの、プログラムの変更を余儀なくされる程の降雨は8年間で初めて。会場内の走行など一部のプログラムは中止となったのは残念であり、貴重なクルマで参加した方々には申し訳ないが、今までにはない雨上がりの空気の中で見る重厚な絵画館と名車のマッチングはなかなか魅力的であった。
欧州で生まれた自動車の歴史を後追いする形で欧米から学び、発展してきた日本の自動車産業。その先人達の作品の先進性や美しさを堪能すると同時に、日本の自動車の発展の歴史にも触れられる大きなイベントが都心で行われる意義は大きいと感じる。先人の偉大さを感じると同時に日本人が学び、そして挑戦してきた歴史を見ると我が国の自動車ならではのオリジナリティも多々感じられる。
また、最新モデルとして1984年製と比較的新しい車種も取り入れることで、年配の方はもとより比較的若い方でも懐かしさを感じられるだろう。今後ともこの地で開催し続けて欲しいと思える貴重で楽しいフェスティバルであった。