約100台のクラシックカーが大集合「トヨタ博物館 クラシックカーフェスタin神宮外苑」 薪トラックのデモ走行も |
トヨタ博物館は11月26日、「トヨタ博物館 クラシックカーフェスタin神宮外苑」を、東京の明治神宮外苑 聖徳記念絵画館前で開催した。同イベントは、自動車文化の継承・発展と、クルマファンの交流を目的に2007年から東京で開催されているクラシックカーイベントで、今年で5回目の開催となる。トヨタ博物館では、クラシックカーを実働状態で保存しており、イベントでは博物館収蔵車両のほか、個人所有のクラシックカーの展示および、一般道でのパレード走行も行われた。
また、「100年前のクルマたち」をテーマに企画展示も実施。トヨタ博物館が所有するクラシックカーが展示されたほか、戦中や戦後にガソリンの替わりに薪を燃料として走行できる薪トラックの「トヨタ BM型トラック」の走行デモも行われた。
さらに、「パッカード ツインシックス」と「シボレー インパラ」に乗って記念撮影ができるコーナーや、反射材やシートベルト、飲酒疑似体験ができる交通安全コーナー、白バイにまたがって記念撮影できるコーナー、トヨタ博物館ミュージアムショップなども併設された。
また、東日本大震災支援ブースをトヨタの被災地支援プロジェクト「ココロハコブプロジェクト」(http://www.toyota.co.jp/jpn/kokorohakobu/)の一環として設置。関連グッズを販売するチャリティーマーケットや、ピンバッヂ募金なども行われた。
子ども向けの白バイにまたがって撮影できるコーナー。制服やヘルメットも用意されていた |
シートベルト効果体験コーナー | 飲酒疑似体験コーナー | チャリティーマーケットは盛況だった |
■薪で走行する薪トラック「トヨタBM型トラック」を走行デモ
走行した薪トラックは、トヨタBM型トラックをベースに、ガソリンだけでなく薪を燃料に走れるように改良したもの。当時はガソリンが配給制になり、入手が困難になってしまったため、開発されたという。デモに使用されたのは、燃費や出力などを検証するために、当時の薪トラックを再現したもの。
薪だけでなくガソリンでも走行が可能で、走行中に燃料を切り替えることも可能だという。薪が燃料というと蒸気機関を想像するが、水を沸かすわけではなく、薪を燃やしたガスを直接エンジンに送って、燃料とする。ただし、一酸化炭素が発生するために、狭い場所では一酸化炭素中毒になる恐れがあったほか、燃焼時に発生する酸っぱい匂いが嫌われ、ガソリンの供給が安定した1950年代には徐々に姿を消していったという。
なお、薪は柔らかいものだとすぐに燃えてしまうので、クヌギやカシなどの堅い木を使用する。車体中央に備えたガス釜に、燃料となる木片をなるべく隙間なく詰め込んだ後、釜下部の着火口にガソリンなどを浸した布を押し込み、手回し式のエアポンプで空気を送り込んで燃焼させた後で、釜に蓋をしてエンジンを始動する。なお、ガソリンおよび薪ガスでの使用時にも、エンジンスタートにはセルモーターが使用される。
薪トラック全景。車体中央にある銀色の大きな筒が釜 | 手前に置かれた燃料の薪など。パイプで繋がったタンク状のものは水蒸気やタールを除去するためのもの |
木が多く使われた内装。とても暖かい雰囲気だ。シートはベンチシートになっている |
エンジンは直列6気筒。着火にはプラグが使われている | シルバーのパイプ類が薪ガスの供給部分。外に突き出ているのはガスの燃焼テストをするためのもので、走行時には取り外す |
まずは釜になるべく隙間なく燃料の薪を詰める | 空気取り入れ口の横に燃焼停止用板を抜いてから、着火口のカバーを外す | 右側のハンドルのついた部分が着火用の送風ポンプ。ポンプ裏側のカバーを外して送風準備が完了 |
ガソリンを浸した布に火をつけて燃焼口に押し込み、ポンプを回すと燃焼が始まる。水蒸気がなくなるまで約5分間ハンドルを回し続ける | エンジンが始動し、走る薪トラック。音はガソリンとほとんど変わらない印象だ |
薪の燃焼からエンジン始動、走行のようす |
■企画展では100年前のクルマを展示。乗車できる車両も
「100年前のクルマたち」をテーマにトヨタ博物館所蔵車両の展示も行われた。イギリス初のガソリン自動車「ランチェスター」(イギリス、1904年)や、GMの母体になったビュイック初期の「ビュイック モデル F」(アメリカ、1908年)、フランスのロールスロイスといわれた「ドゥローニー ベルビュタイプ HB6L」(フランス、1911年)、ガソリン車の歴史を刻む高級車「ベンツ 14/30HP」(ドイツ、1912年)など、歴史を感じさせるクラシックカーが展示された。また、量産車初の12気筒エンジンを搭載した「パッカード ツインシックス」(アメリカ、1959年)、これぞアメ車というデザインの「シボレー インパラ」(アメリカ、1920年)は、乗車して記念撮影もできるようになっていた。
■一般参加車両による11kmのパレード走行を実施
最後に公道パレード走行に参加した一般車両を紹介する。パレードは神宮外苑絵画館前をスタートし、イチョウ並木、青山2丁目交差点などを通って銀座を通ってまた神宮外苑に戻るルート。パレードの先頭は、トヨタ博物館所蔵で、本格的な国産乗用車の原点ともいえる初代クラウンの改良型「クラウン RS21型」(日本、1960年)で、計100台が参加した。
(平 雅彦)
2011年 11月 28日