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「トヨタ博物館クラシックカーフェスタin神宮外苑」が2013年も開催
晴天の東京・神宮外苑に貴重なクラシックカーが集結
(2013/12/4 15:19)
晴れ渡った秋空の下、「トヨタ博物館クラシックカーフェスタin神宮外苑」が東京の明治神宮外苑 聖徳記念絵画館前で11月30日に開催された。
7回目の開催となる今年は、2020年の東京オリンピック開催が決定し、前回の東京オリンピックから2014年で50年を迎えることを受けて「日米欧の名車と50年前のショーカーの競演」をテーマに掲げ、今から50年前のモーターショーとその頃のクルマにスポットを当てた企画展示が行われた。
開会式ではトヨタ博物館の杉浦孝彦館長のほか、AE86 スプリンタートレノで参加したオーナー代表の岡本律哉氏が挨拶。同イベントの参加資格は「30年以上前の車両」であり、今年は新たに1983年以前に生産されたクルマが参加資格を得た。漫画の影響もあり、今でも高い人気を誇って現役の車両も数多く存在するAE86 カローラレビン/スプリンタートレノのデビューも1983年ということで、今回からこのクラシックカーイベントの参加資格を得ている。
開会式を終えたあと、100台近い参加車両は1台1台紹介されながらスタートゲートをくぐり、いちょう並木を通って銀座方面までの約11kmの公道パレードに出発した。
全車両がパレードを終えて再び絵画館前に集結してからは、今回のテーマ「50年前のショーカー」にちなんだトークショーが行われた。3台のショーカーが登場し、1台は日産自動車が所蔵する「スカイライン スポーツ」。1960年に行われたイタリアのトリノショーに参考出品された実際の車両で、その貴重な1台についてニッサン・ビンテージ・エンスージアスト・クラブの清水榮一氏がその想いを語った。2台目は日野自動車所蔵の「日野 コンテッサ900スプリント」。こちらは1962年のトリノショーに出展されたモデルだ。このクルマの想いを語ったのは日野自動車で日野オートプラザを担当する大森重美氏。以上の2台はトヨタ博物館がこのイベントで初めて他メーカーに参加協力を仰いだ車両で、メーカーの垣根を越え、貴重なモデルを所有するメーカー同士の連携に向けた今後の発展が期待できる第一歩となった。
そして残る1台は、1962年の全日本自動車ショーに出展されたパブリカスポーツの復元車。航空機にも似たキャノピーを持つこのクルマが、のちのトヨタ スポーツ800につながった実験車だ。復元では元トヨタのデザイン部長 諸星和夫氏がプロジェクトリーダーとして指揮を執り、残っていた図面を元に完成させている。
以上3台にまつわる関係者のトークショーのほか、会場ではトヨタ博物館が所有する60年代の国内外のクラシックカー6台が展示された。展示車はトヨタ博物館の浜田学芸員による車両紹介が行われたあと、集まったファンの前で走行を披露した。
会場は和気あいあいムードで、極めて敷居の低いクラシックカーイベント
会場に集まった100台近くのクラシックカーは、戦前の貴重なモデルから身近さのある70~80年代のモデルまでバラエティにあふれたもの。どのクルマもこのイベントを目当てに集まった観客に加え、通りすがりの人の目も惹き付ける魅力的なモデルばかりだった。また、会場に流れるジャズは心地よく、MCの中島秀之氏のクラシックカー解説も非常に素晴らしい内容で居心地のよい空間が演出されていた。クラシックカーに詳しいといった雰囲気ではない親子連れやカップルも多く、貴重なクラシックカーのオーナーたちも来場者と気さくに交流している光景が見えた。誰でも足を運びやすい都市部のパブリックスペースを会場とする敷居の低さがこのイベント最大の持ち味だろう。
「トヨタ博物館クラシックカーフェスタin神宮外苑」のこれから
前述したように、このイベント極めて敷居が低く、誰でも自動車趣味の一端に触れられる貴重な場になっているが、開催には主催者はもちろん、日ごろから大変な苦労を重ねながら貴重な名車を維持し、このようなイベントに自主的に参加するオーナーの存在に依るところも大きい。戦前の名車を子供たちにも気軽に触れさせるオーナーも少なくない。そして主催者側でも、今回からメーカーの垣根を越えて開催の輪を広げる一歩を踏み出し、これからの発展を期待できる雰囲気が漂っていた。来場者にとっても、クラシックカーの世界をこれまでより一歩身近に感じる1日になっただろう。
【お詫びと訂正】記事初出時、日野オートプラザの大森重美氏の名前が大森成美氏となっておりました。お詫びして訂正させていただきます。