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9年目を迎えた「トヨタ博物館 クラシックカー・フェスティバル in 神宮外苑」レポート

「フランクリン シリーズ9」など100台以上が神宮外苑に集結

2015年11月28日開催

 2015年で9年目を迎えた「トヨタ博物館 クラシックカー・フェスティバル in 神宮外苑」が11月28日、晴天の東京・明治神宮外苑 聖徳記念絵画館前 特設会場で開催された。今年からイベントのスローガンを「時を超え、愉しむ」とし、参加者はもとより来場者も一層楽しめるよう様々なプログラムが用意され、世代を超えた様々な来場者が思い思いの楽しみ方で澄み渡った青空のもと過ごしたようだ。

オープニングセレモニー

オープニングセレモニーには多くのメディア、来場者が集まった

 会場の絵画館前をスタートし二重橋~銀座~日比谷をパレードし再び会場入りする一般参加車両約100台によるクラシックカーパレードにさきがけて行なわれたオープニングセレモニーでは、トヨタ博物館 館長の布垣直昭氏が“クラシックカー”という言葉について触れ「日本ではクラシック=古典と訳されることから“古いもの”ととらえられがちだが、欧米では時代を超えた一流の芸術などに使われる最高級の褒め言葉です。古いからクラシックカーなのではなく長い間オーナーの方に愛されているからクラシックカーだと考えています」と語り、クラシックカーに対する想いを語った。布垣氏に続き自動車史研究家 高島鎮雄氏、参加者代表 田中弘伶氏による挨拶を行ないイベントは開幕した。

トヨタ博物館 館長 布垣直昭氏
自動車史研究家 高島鎮雄氏
参加者代表 田中弘伶氏

 なお、今年の企画展示のテーマは「引き算で合理性を求めたクルマたち」。まだ庶民にはクルマなど手が届かない大型車輌が一般的だった時代に軽量化や高効率化など「引き算」して新たな価値を求めることに挑戦した国内外の6台を展示、走行披露を行なった。

企画展示車両

フランクリン シリーズ9(1918年 アメリカ)
フライング フェザー(1955年 日本)
DAF 600(1959年 オランダ)
シボレー コルベア(1960年 アメリカ)
トヨタ スポーツ800(1965年 日本)
ホンダ1300 クーペ9(1970年 日本)
ホンダコレクションホールの野尻氏とトヨタ博物館の浜田氏。後ろに見えるのはホンダDDACエンジン

 6台の企画展示車両は1918年のフランクリン シリーズ9(アメリカ)から1970年のホンダ1300クーペ9まで全て空冷エンジン車の小型車だ。なお今回出展されたホンダ1300クーペ9はホンダコレクションホール所蔵のもので、過去にも日野オートプラザなど様々な博物館との連携のもと展示がなされている。

記念乗車撮影車両

 会場には運転席や助手席に乗り込み記念写真を撮影できる車両が用意された。非常に人気が高く多くのの来場者が外観だけではなく実際にシートに座りその雰囲気を楽しみながら記念写真を撮っていた。

BMWイセッタ(1959年 ドイツ)
ジャガーXK150S(1961年 イギリス)
シボレーコルベットスティングレイ(1963年 アメリカ)

一般参加オーナー車両

 会場の規模を考慮し毎年100台が参加しているこのイベントだが、今年は初応募の人だけで100台の応募があったという。会場の参加車両のナンバープレートを見ると、まだ地域(陸運支局等)の名もなく1桁の分類番号のみの古いナンバープレートや地域+1桁の分類番号(例:品5、神5)など貴重なナンバーとともに、地域+3桁の分類番号(例:湘南531、春日部500)など比較的登録の新しい参加車両も多い。主催者によると最近の傾向として30~40代の応募者が多く、かつては一部のマニアであったクラシックカーの世界も今はその裾野が大きく広がっているとのことだが、会場でそのナンバープレートや参加者の顔ぶれを見ると確かにそのような傾向が見えるようであった。また、中にはトライク(3輪バイク)を探していたら1930年代のモーガンスリーホイラーにたどり着いたという参加者もいて、クラシックカーの世界との出会いも様々なようだ。

パレードを先導したのはトヨペットクラウンRS21型
ゼッケンNo.1はロールスロイス ファンタムⅠ(1925年 イギリス)
トラブルのため展示のみとなってしまったのはフォード モデルA(1929年 アメリカ)
慶応大学体育会自動車部のフォード モデルAフェートン(1931年 アメリカ)は日本でノックダウン生産された1台
トライクを探していたら辿り着いたという モーガン スリーホイラー(1937年 イギリス)
53年間ワンファミリーカーとして使われているボルボPV544(1959年 スウェーデン)
シトロエンGS1220パラス(1978年 フランス)。リアに展示されているオブジェは固定されていないがハイドロニューマチックの穏やかな動きのおかげで乱れることはなかったとはオーナーの弁
アルピーヌ ルノーA110SX(1976年 フランス)
フォード マスタング コンバーチブル(1966年 アメリカ)
最初期型の フィアットX1/9(1974年 イタリア)
最初期型のフィアット500ヌォーヴァ(1960年 イタリア)
当時からのナンバーがついたワンオーナーのアルファロメオ ジュリア スプリントGT(1963年 イタリア)
最初のマセラティ クアトロポルテ (1966年 イタリア)
BMW600(1959年 ドイツ)は希少な後席のある2ドア
メルセデスベンツ170S(1953年 ドイツ)は22歳から55年間ワンオーナー
メルセデスベンツ230TE(1983年 ドイツ)ディーゼルしかなかったディーラー車にガソリンエンジンを載せ替え32年間ワンオーナー
ワクイミュージアム所蔵の ベントレーRタイプ ドロップヘッド クーペ グラバー(1953年 イギリス)
高い人気で見学者が絶えなかったフェラーリ365GT4/BB(1974年 イタリア)
三菱ジープ(1958年 日本)はJ3Aと呼ばれる50年代の稀少なジープ
日野コンテッサ1300(1971年 日本 ※輸出仕様 左ハンドル)
マツダ コスモスポーツ(1971年 日本)
新車で購入し今に至るという ホンダNⅢ360
ダイハツ ミゼット(1959年 日本)はバーハンドルの初期型
オースチンA50ケンブリッジ(1959年 日本)は日産がノックダウン生産していたモデル
ニッサン セドリックバン(1959年 日本)
プリンスグロリア(1962年 日本)は親子2代で引き継ぐワンオーナーカー
トヨペットクラウン(1957年 日本)は観音開き_。三丁目の夕日に出演したクルマだ
トヨペットコロナ1500でラックス(1964年 日本)も三丁目の夕日に出演したクルマだ
トヨタパブリカ(1971年 日本)は母親が乗っていた形見のクルマでネッツ富山がフルレストアしたそうだ
非常に珍しいシングルキャブのトラック トヨタマスターライン(1957年 日本)
ソアラ2800GTエクストラは最初期型のトップグレード(1981年 日本)
トヨタMR2(1984年 日本)
スプリンタートレノ(1985年 日本)はシティカブリオレ(1985年 日本)とともに最も新しい参加車両
トヨタ2000GT(1967年 日本)
今年発売50周年を迎えたトヨタスポーツ800(1965年 日本)
トヨタスポーツ800(1966年 日本)

一般参加オーナー車両の参加資格は1985年以前に生産された車両で、戦前の1925年のロールスロイス ファンタムⅠから1985年のスプリンタートレノまで幅広く集まり、スーパーカー世代には懐かしいフェラーリBBやマセラティメラク、親子代々大切に乗り継いでいる車、稀少なトラックなどバラエティに富んだ100台近いクラシックカーが来場者を楽しませた。

大会エンディングには特別賞と来場者の投票による人気投票の投票結果が発表されイベントの幕を閉じた。

特別賞 トヨタ博物館館長賞 シボレー フリートライン エアロセダン(1948年 アメリカ)オーナー 馬場了氏
特別賞 オーナーズセレクト賞 スバル360(1968年 日本)オーナー HEGEDUS IMRE氏
特別賞 ベストコーディネート賞 ベントレー マークVIマラニュウ(1950年 イギリス)オーナー 飯島位夫氏 34
特別賞 レディース賞 ニッサン スカイラインGT-R(1971年 日本)オーナー 香取聖子_さん 78
特別賞 ロングディスタンス賞 トヨペットクラウン(1962年 日本)オーナー 平光仁氏 82
特別賞 オーナーヒストリー賞 メルセデスベンツ170S(1953年 ドイツ)オーナー 飯田嬉好氏 29
特別賞 ルーキー賞 ホンダ シティ カブリオレ(1985年 日本)オーナー 大嶋雄司氏 82
人気投票第3位 BMW600(1959年 ドイツ)オーナー 入佐俊英氏
人気投票第2位 モーガンスリーホイラー(1937年 イギリス)オーナー 山澤功氏
人気投票第1位 トヨタ2000GT(1969年 日本)オーナー 山本秀哉氏 100

(高橋 学)