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“中小企業の親父”への依存体質から脱却、鈴木俊宏新社長「チームスズキで取り組む」

鈴木修会長「フォルクスワーゲンとの問題の始末は、責任を持ってやっていきたい」

2015年6月30日発表

新しく代表取締役社長(COO)に就任する鈴木俊宏氏と代表取締役会長(CEO)の鈴木修氏

 スズキは6月30日、代表取締役の異動と新しい役員体制を発表。同日都内で、代表取締役社長(COO)に就任した鈴木俊宏氏と、代表取締役会長(CEO)の鈴木修氏が出席する会見が開催され、新中期経営計画を発表するとともに、新体制に関する質問に応えた。

 会見の冒頭、このタイミングでの新体制発表について、鈴木修会長が「役員人事や組織改編は、例年でありますと4月1日付でやるのが慣例であったが、今年は、みなさんから見てもちぐはぐになっておりました。その1つの理由はフォルクスワーゲンとの問題でした」と、独フォルクスワーゲンとの資本・業務提携の解消を巡る問題の長期化が影響していることを明かした。

 鈴木修会長は「私も会長兼社長として方針を決め、実行した立場ですので、この問題の解決となる判決が出るまで、自分の責任でやっていきたいと思っていたが、ここまで長びくと”もう待ちきれない”。6月の末までに解決する希望もあったが叶えられなく、これ以上待っていると事業計画も遅れ、5月に皆様に申し上げたように(経営の)若返りも図りたいということで、今回6月30日に決断した」と話した。

 その後、鈴木俊宏新社長、原山保人新副会長ら、新役員を紹介した鈴木修会長は「本田治副社長が技術全般を統括し、リコールや品質保証の分野など横断して対応してもらう。長尾正彦経営企画室長には、新社長の事務局として動いてもらう。私自身がCEOとして残ることになるが、この体制でとりあえずいきたい」と、挨拶した。

代表取締役社長(COO)の鈴木俊宏氏
原山保人 代表取締役副会長 会長補佐
本田治 代表取締役副社長 技術統括
長尾正彦 取締役 常務役員 経営企画室長

 新しく社長に就任した鈴木俊宏社長は、「急な社長への指名で、戸惑っているのが正直なところ」と挨拶しつつ「本日発表する新中期経営計画は私が中心となり、他の役員と一緒に作り上げてきたもの。社員一丸となって”チームスズキ”で計画を達成できるよう取り組んでいきたい。社員全員の力を借りて、創立100年、さらに次の100年に向けて土台作りをしていきます」と、意気込みを語った。

 ”チームスズキ”とスローガンを掲げたことに、鈴木俊宏社長は「中小企業の親父に依存してきた体質から脱却することは、1人の力ではできないと考えるから」と語り、「若返った役員、経営幹部が、使命感を持ち議論を重ねる中でベクトル合わせをして業務を推進していく。社員1人ひとりがお客様の立場になって考える、社員1人ひとりが自主的に行動することができる人材育成、環境づくりに力を入れていく。チームスズキで活動できるよう努力していきたい」と述べた。

 この後、鈴木俊宏社長から新中期経営計画「SUZUKI NEXT 100 -創立100周年・次の100年に向けた経営基盤の強化-」を発表。4輪事業においては、5年間で20モデルの新型車を全世界に投入し、軽乗用車では毎年1モデルを継続投入し5年間で5モデル、Aセグメントでは5年間で6モデル、B、Cセグメント、SUVにはそれぞれ3モデル計9モデルを投入する計画を明かした。

 2019年度の数値目標として、連結売上高3兆7000億円、営業利益率を7.0%とし、4輪車の世界販売台数を340万台、2輪車で200万台とする目標を掲げ、鈴木俊宏社長は「4輪の販売台数はアジアを中心に販売を伸ばし340万台とし、2輪車は選択と集中を進め、量より質を重視して200万台とした」と数値目標についての説明を付け加えた。

 その後の質疑応答で出された新体制に関する質問に、鈴木修会長は「今のスズキの企業規模からすると、ワンマン(経営)の限界を超えているのは理解しているので、組織的に仕事をやっていただくことを考えている。社長と会長の役割分担に関しては、基本方針は取締役会で私が議長を務めて基本方針は決めさせていただく。業務執行の方は新社長を中心に進めていただく、と考えている」と明かした。

 加えて「フォルクスワーゲンとの問題については、これまでも、私と原山が担当してやってきたので、問題の始末はきちんと私が責任を持ってやっていきたい」との考えを示した。

 一方、「ワンマン体制から脱却するには?」との質問に、鈴木俊宏社長は「確かに37年間、中小企業の親父が会社を引っ張ってきたことに社員も慣れきっていたが、それでもいつかはやらなければならないような状況があり、やはりコミュニケーションが大切になる。なるべく多く私から語りかけ、意見を吸い上げる機会をとっていきたい」との考えを示した。

 加えて、「まずは”お客様第一”があり、スズキらしい商品、スズキでよかったという商品を作っていくことが必要となる。“お客様第一”を考えて、スズキがどうあるべきか考えた商品づくりを”チームスズキ”でできるよう取り組んでいきたい」と話した。

新中期計画「SUZUKI NEXT 100」を紹介するスライド

(編集部:椿山和雄)