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ホンダ、新型「シビック TYPE R」を12月7日に正式発売。428万円
歴代TYPE R最高の310PS/400Nmを発生。ニュル北コースのラップタイムにちなみ750台を設定
(2015/10/28 11:30)
- 2015年12月7日発売
- 428万円
本田技研工業は、新型「シビック TYPE R」を12月7日に正式発売する。新開発の直列4気筒2.0リッター直噴ガソリンVTECターボエンジンに6速MTを組み合わせる1グレードのみの設定で、価格は428万円。ドイツ ニュルブルクリンク北コースで7分50秒63というラップタイムを記録したことにちなみ、限定750台を用意する。
すでに発表されているが、シビック TYPE Rの購入に際しては特設サイトで2015年10月29日0時~11月23日23時59分の期間限定で商談の申し込みを受け付け、台数を上まわる申し込みがあった場合は抽選になる。
モデル | エンジン | 変速機 | 駆動方式 | 価格 |
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シビック TYPE R | 直列4気筒2.0リッター直噴ガソリンVTECターボ | 6速MT | 2WD(FF) | 4,280,000円 |
1997年に初代が登場以降、今回で5世代目となるシビック TYPE Rでは、走る・曲がる・止まるというクルマの基本性能を徹底的にブラッシュアップし、サーキットから一般道まで異次元のドライビングを堪能できる走行性能を目指して開発が行われた。
開発目標に掲げられたのはニュルブルクリンク北コースでの「FF量産車最速」。全長20kmオーバー、荒れた路面や低μ路、長く続くアップダウンや連続するカーブなど、過酷な状況で必要だったのは絶対的なエンジンパワーをはじめ、どのような状況下でも挙動を安定化させてタイヤと路面をコンタクトさせるダイナミック性能、コントロール性に優れたハンドリング性能だったという。
まずエンジンでは、当初280PSを達成目標に開発が進められてきたが、圧倒的な速さを追求するべく吸気と排気バルブタイミングの位相を連続可変させるVTC(バリアブルタイミングカム)、排気バルブのリフト量も可変させるVTEC、低慣性かつ高出力化を図れるモノスクロール・ターボチャージャー、空気だけを吸入してシリンダー内に直接燃料を噴射させ、吸気ポートへの燃料付着を防ぐといった燃焼効率の高い直噴システムなどを組み合わせ、ターボラグの極小化と高出力化を追求。これにより、FF車トップ値となる最高出力228kW(310PS)/6500rpm、最大トルク400Nm(40.8kgm)/2500-4500rpmを実現した。
同時に7000rpmまで回る高回転型のターボエンジンとするため、クーリングチャンネルを備えた軽量アルミ製ピストン、熱間鍛造に加えて棹部を冷間鍛造して高強度化したコンロッドなど、エンジン内部の回転・往復運動部品の慣性重量低減を追求。加えてアルミブロックやエキマニレス構造などの採用により、1.6リッターターボエンジン並みの“2.0リッターターボ最軽量”を実現している。
このエンジンに組み合わせられる6速MTは、ドライバーの意のままに操れること、軽量であることを重視した上で選択されたものといい、エンジンの特性にマッチさせたクロスレシオに設定。ピークパワー回転数で最高速の270km/hに到達する6速など、どのギヤでもどの回転域からでも圧倒的な加速性能を引き出すと説明されている。また、シフトストロークは「NSX-R」と同等の40mmに設定され、さらに2~3速間、4~5速間の斜めシフトの操作性とともに各部の剛性を高めることで、素早くカチッと決まるホンダ最高のシフトフィールを獲得したという。これに加え、トランスミッション下部にオイルクーラーを装着したうえでアンダーカバーに導風形状を設け、走行風を当てることで効果的に冷却することが可能になっている。
一方で、310PSという大パワーを確実に路面に伝えるため、フロントサスペンションでは従来のストラット式で一体だったナックルとストラットを分離し、ナックルは転舵を、ストラットは路面からの入力を受け持つ「デュアルアクシス・ストラット」を採用。同時にキャスター角を8°に設定したことなどにより、高速域でも高い直進安定性を実現するとともに、転舵時のタイヤ接地性に優れたキャンバー特性でコーナリングの限界性能を高めているという。
リアサスペンションは対地キャンバ―特性に優れたH型トーションビーム式とし、そのうえでパイプをつぶして成形するクラッシュドパイプをトーションビームに採用。これにより、リアのロール剛性を従来構造比で177%向上させるとともに、スタビライザーを不要としたことで軽量化にもひと役買っている。
ダンパーには加速度センサーやストロークセンサーなどからミリ秒単位でドライバー操作や車両状態を検知し、リアルタイムかつ連続的に4輪のダンパー減衰力を独立制御する「アダプティブ・ダンパー・システム」(ZF ザックス製)を搭載。これらにより大パワーのFF車で発生しがちなトルクステアを最小化するとともに、キレのあるハンドリング、アウトバーンやサーキットなどでの高速域でも安心してドライビングを楽しめる走行安定性を獲得している。
また、シビック TYPE Rのボディーでは運動性能に影響をおよぼす重量増を避けつつ剛性を高めるため、主要骨格の接合に構造用接着剤を広範囲に採用するとともに、フロントバルクヘッドやフロントアッパーメンバー、フロントダッシュアッパー、フロントサブフレーム取付部、インタークーラー取付部などの形状変更や補強材追加を実施。これにより、ベース車の欧州シビック(5ドア)から接地点横剛性を18%向上させることに成功している。
そのほか、ブレーキシステムにはフロントにブレンボ製モノブロック4ピストンアルミキャリパーと、同じくブレンボ製のφ350×32mm厚のドリルド&ピラーフィンディスクを組み合わせ、リアにはφ296mm×11mm厚の大容量ディスクを採用。また、タイヤとホイールに関しては独コンチネンタルが開発した新スポーツタイヤ「ContiSportContact 6(コンチ・スポーツ・コンタクト・シックス)」にシビック TYPE R向けに専用開発された軽量19インチアルミホイールを組み合わせる。この19インチホイールは従来の鍛造を上まわる材料強度が確保できたことから鋳造製法を選択。従来製法の鋳造ホイールに対して約10%の軽量化を実現しているという。
インテリアでは、ブラックを基調にTYPE Rを象徴するレッドを効果的に配するとともに、走行性能の視認性や運転操作性などを考慮してシート、ステアリング、メーターユニットを専用設計。加えてカーボン調×アルマイト調加飾ダッシュボードパネル、チタン調のシフトノブ、ステンレス製のスポーツペダル、TYPE Rシリアルナンバープレートといったスポーツマインドを高める装備も与えられている。
さらに、シビック TYPE Rでは3眼メーター横に「+Rモード」のスイッチが設けられたのが新しい。同スイッチを押すとエンジン、VSA(車両挙動安定化制御システム)、アダプティブ・ダンパー・システム、EPS(電動パワーステアリング)の各種特性がスポーツ走行向けに変更されるという。また、スイッチを押すことでメーターまわりのライトが赤く発光(BASEモード時は白く発光)するギミックを備えるほか、マルチインフォメーションディスプレイを搭載して燃費や時計表示に加え、ターボ過給圧、水温、油圧、油温、旋回時などのG変化、ブレーキ踏力、アクセル開度という7つの車両情報や、ラップタイム、0-400m、0-100km/hの計測結果を表示させることも可能になっている。
●モード切り替えの考え方
項目 | +Rモード | BASEモード |
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加速感(エンジン特性) | ハイレスポンスな加速性能 | 扱いやすいコントロール性 |
操安・乗り心地(アダプティブ・ダンパー・システム) | サーキットベストセッティング。タイヤ性能を使い切る接地性 | 一般路ベストセッティング |
ハンドリング(EPS) | サーキットを攻めるためのリニアリティとしっかり感 | 軽快でキレのあるハンドリング |
VSA(TCS) | 運動性能重視で非介入領域拡大 | 舵の軽快感。ハイパワーに耐える安心感 |
●シビック TYPE R主要諸元(抜粋)
シビック TYPE R | |
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車名・形式 | ホンダオブザユーケー・DBA-FK2 |
定員[名] | 4 |
駆動方式 | 2WD(FF) |
全長×全幅×全高[mm] | 4390×1880×1460 |
ホイールベース[mm] | 2600 |
前/後トレッド[mm] | 1605/1530 |
重量[kg] | 1380 |
エンジン | 直列4気筒2.0リッター直噴ガソリンVTECターボ |
最高出力[kW(PS)/rpm] | 228(310)/6500 |
最大トルク[Nm(kgm)/rpm] | 400(40.8)/2500-4500 |
トランスミッション | 6速MT |
JC08モード燃費[km/L] | 13.0 |
燃料/タンク容量[L] | 無鉛プレミアムガソリン/50 |
前/後サスペンション | マクファーソン/車軸式 |
前/後ブレーキ | 油圧式ベンチレーテッドディスク/油圧式ディスク |
前/後タイヤ | 235/35 ZR19 91Y |
前/後ホイール | 19×8.5J |