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ZF、トルクコンバーターを廃止したモータースポーツ向け新型8速AT「8P45R」

2016年第2四半期に市場投入予定

2015年11月10日(現地時間)発表

 独ZFは、モータースポーツ向けトランスミッションとしてトルクコンバーターを廃止した新型8速AT「8P45R」を発表した。

「8P45R」は2014年シーズン以降、ワンメイクレース「BMW M235i Racingカップ」に採用されているATの「8HP」を進化させたもの。

 基本的な設計と構造は、4つの遊星ギヤセットと5つのシフトエレメントで構成する「8HP」トランスミッションをそのまま引き継いでいるが、「8P45R」では、新しい特徴の1つとしてトランスミッション内のトルクコンバーターを廃止。また、さまざまな軽量化手法により、重量は約15%軽減し、内部の出力損失も低減させた。

 発車プロセスは内部のシフトエレメントによって実行され、トランスミッションインプットの上流側に位置する振動ダンパーが、エンジンの振動によるダメージを防ぐ。

 また、「8HP」トランスミッションでは、レース時に1~6速のギヤのみが使用されていたが、新しいトランスミッションでは、ギヤレシオの間隔を狭く設定して、8速までのギヤすべてを動作レンジ内に適切に配置した。

 10月末にはBMW M235i Racingに搭載して、ニュルブルクリンク北コースにおける耐久テストも実施。

 BMWモータースポーツ・ジュニア・プログラムのチーフ・インストラクターであるダーク・アドルフ氏は「新しいギヤボックスを最初に試した時から、ZFのパフォーマンスには本当に魅了されました。自動車技術者である私自身も、トルク・コンバーターなしでオートマチック・トランスミッションを構築できるとは思っていませんでした。ZFのトランスミッションによって高速でのギヤ・チェンジと、容易で快適な始動が可能になりました。クラッチ・エレメントも、きめ細かく調整されています。このシステムは、レース用ギヤボックスやトランスミッション開発のベンチマークになると確信しています」と、新型ATに関してコメントしている。

 同社は、2016年第2四半期に「8P45R」トランスミッションの市場投入を予定。当初はBMW M235i Racingにのみ提供されるが、将来的には、他メーカーのスポーツカーにも搭載を拡大していく計画。

(編集部:椿山和雄)