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三菱自動車、益子会長「水島工場をなんとか維持していけるようなカタチで」対策を検討

国交省「全容解明に不十分な内容」、5月18日に改めて調査報告するよう指示

2016年5月11日 発表

三菱自動車工業が国土交通省で記者会見。写真左から取締役社長兼COOの相川哲郎氏、取締役会長兼CEOの益子修氏、執行役員 開発本部長 横幕康次氏

 三菱自動車工業は5月11日、燃費試験における不正行為に関して国土交通省に調査報告書を提出。同日、記者会見が実施され同社取締役会長兼CEOの益子修氏、取締役社長兼COOの相川哲郎氏らが出席した。

 同社が示した調査報告では、不正があった軽自動車4車種「eKワゴン」「eKスペース」「デイズ」「デイズルークス」について、不正についてのあらすじを示した。また、そのほかにも、現在販売している9車種やすでに販売を終了した車種について、ヒアリングの結果で正しく走行抵抗を算出していなかったり、「RVR」などについては机上計算により算出したりしたものがあることが疑われるとして、測定データによる裏づけや経緯などを別途報告するとした。

 三菱自動車の報告を受けて、国交省の担当者は「全容解明には不十分な内容」と遺憾の意を示すとともに、国土交通大臣からも「4車種以外の車種についての不正の有無、長年の法令違反についての説明がない」として「非常に残念」との見解が出され、三菱自動車に5月18日までに改めて調査の報告をするように求めた。

 会見では、益子氏が「経営の責任と、不正な業務が行なわれていた現場の責任については分けて考えたい。まず、不正な業務を行なっていた現場については原因と責任を明確にして再発防止に万全を期したい。今回の社内調査の結果で、まだまだやることがたくさんあると痛感させられた。意識改革、組織改革が開発部門は他部門に比べて特に遅れていたのが実情」との考えを示した。

 また、「経営責任は、知らなかったと責任を逃れることはできないと考えている。報告が上がってくる透明度の高い組織を作れなかった、意識改革ができなかったのも経営の責任。責任の取り方についてはいろいろあるが、会社の将来を安定させる道筋をつけることも経営者の責任と考える。具体的には、残りの会社生活をどのように使うかは、これからの結果を見て皆さんに評価していただきたい」と話した。

 質疑応答でさまざまな質問がされるなか、より具体的な内容については明確な回答が示されず、記者団から「今回の説明でユーザーに納得してもらえるのか?」との質問に、益子会長は「歯切れがわるいですね。これでは納得していただけると思いません」と答え、「まずは、5月18日までに調査結果を出しますので、その時には皆さんの質問にきっちり答えられるようにしたい」とした。

 また、軽自動車事業の今後について、益子氏は「日産さんと軽の共同開発を決めたのも私ども単独では規模として成り立たないから。技術力も大きな軽のメーカーと戦っていくには非常に難しい面もあるので日産さんと組むことで大きなところとやっていけると思った。今後も日産さんと一緒にやっていく道を模索したい」との考えを示した。

 加えて、「日産さんにもご迷惑をおかけして申し訳ないと思っている。これから誠意を持ってお話ししていかなければならないが、できることなら水島工場をなんとか維持していけるようなカタチで対策を考えていかなければならない」と話した。

(編集部:椿山和雄)