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今週末開催!! 「レッドブル・エアレース千葉2016」参戦の室屋義秀選手が意気込みなど語る

ブライトリング ナイジェル・ラム選手「このレースに必要なのは情熱」

2016年5月27日 開催

左から、ブライトリング・レーシングチームのフランソワ・ルボット選手、ナイジェル・ラム選手と日本人パイロットの室屋義秀選手

 レッドブル・エアレース・ワールドチャンピオンシップ2016年シーズンに参戦するブライトリング・レーシングチームのナイジェル・ラム選手、フランソワ・ルボット選手と同レースに参戦する日本人パイロットの室屋義秀選手が、5月27日記者会見を実施した。

 会見では3名の選手が、6月4日~5日に千葉市の幕張海浜公園で開催される「レッドブル・エアレース千葉2016」に向けて意気込みなどを話した。

 レッドブル・エアレースは全8戦からなるシリーズで、第2戦までの結果では、27ポイントを獲得しているマティアス・ドルダラー選手がポイントランキングトップ。9ポイントを獲得しているラム選手が6位、同じく9ポイントのルボット選手が7位、3ポイントの室屋選手は11位、といった成績で千葉戦を迎える。

ナイジェル・ラム選手

 今シーズン2戦を振り返り、ラム選手は「開幕戦は悲惨なカタチでよくないレースでした。理由はいろいろなことがうまくいかなかったのですが、レースにはよくあることでうまくいかなかったことをきちんと評価し、第2戦は計画通りにいろいろなことがうまくいって表彰台に立つことができました。ですが、やはり1位になれなかったことにはガッカリしている」と感想を話した。

 現在の機体の状況について、ラム選手は「どんな革新的な試みもうまくいかない時がある、2015年に大きな変更をしてプライマリーコントロールシステムを導入しましたが、昨シーズンは一貫してうまくいかなかった。今シーズンは2014年のセットアップに戻し、細かいチェンジを加えてマシンのオペレーションを行なっている」と明かした。

 また、昨年の千葉戦に対しては「昨年は非常にワクワクする経験をしました。日本で初めてのレースでして、台風の影響がちょっとありましたが素晴らしいレースだった。非常に熱心な観客の情熱を感じたレースだった」と感想を話した。

フランソワ・ルボット選手

 一方、ルボット選手は「僕自身、マスタークラスは2シーズン目となり非常にハッピーで、結果については気にしておらず結果は将来的に後から付いてくると考えている。というのも、2015年は痛みを伴うシーズンだったこともあり、今シーズンはチームにいろいろな変化もあり今のやり方が上手くいっているのでハッピーなんです」と話した。

 現在の機体の仕上がりなどについて、ルボット選手は「運営上の問題なのですが、米国で税関の問題があり2か月を無駄にしてしまった。冬場のいろいろな準備ができておらず、自分自身の準備しかできていない」とコメント。

 千葉戦に対しては「2015年は非常に困難な千葉でのレースでした、アブダビ戦と千葉戦の間でトレーニングができなかったのと、それからエンジンの問題が予選に起きてしまい思うように行かなかった」と振り返るとともに「それは忘れて2016年は真剣に準備をしてきましたので、準備に関しては満足している、私のスキルをできる限りつぎ込んで千葉のレースに向かっています」と意気込みを話した。

室屋義秀選手

 室屋選手は「昨年の後半からチーム体制がよくなってきてよいコンディションで飛べてきています。今シーズンは最初の2戦がオーバーGの問題でポイントが取れていませんが、計算機器の問題だったりチーム側の問題というより外部の問題に振り回された感じで、第3戦の千葉戦を初戦と心得て、機体とバイロットを含めて非常に準備が整っていますので、ちゃんと飛べれば結果が出てくると思います」と語った。

 現在の機体の仕上がりなどについては、「昨年のセットアップがうまくいっていたのですがオーバーヒートの問題があり冬場に対策をしました。機体のカバーも改良も加えてマイナーチェンジして、千葉戦には新しいパーツの投入も予定しています」と明かした。

 千葉戦に対して室屋選手は「日本で初開催だったのですが、12万の方が集まって、非常に盛り上がったレースだった。チームとしても日本戦があるということで新機体が導入ができたり、いろんなことを無理して進めることができ結構満足なレースだった。昨シーズンの後半戦になって新機体の性能を出せるようになり今に至っていますので、今年は去年よりいい体制でレースに臨めると思う」と意気込みを話した。

 また、会見では2016年シーズンを持って引退することを発表しているラム選手が現在の心境を語った。ラム選手は、1956年8月17日生まれで現在59歳となるが、2014年シリーズではチャンピオンを経験している。

 ラム選手は「自分にとって引退は大きな決定だった。本当にわずかの差で勝負をしていかなければならないこのレースにおいて必要なのは情熱なのです。2016年はチャンピオンシップを取るべくベストを尽くしますが、2017年シーズンの途中でその情熱が途絶えてしまうことを避けたかった」と明かした。

 加えて、ラム選手は「私が引退を決めたのはある意味イマジネーション。勝利への約束や情熱なしにエアレースを飛び続けることを想像した時、おそらく十分な年月このキャリアを全うした今やめるのがグッドタイミングであるという結論に至った」と話した。

 その話を聞いた、室屋選手は「泣けますね。でも永遠に飛び続けるわけではないので、この瞬間がどこかのタイミングで誰にもきますので、それが満足できるものであればいいと思います」と話し、ルボット選手は「今は競争相手ですがナイジェルが友人であると思ってもらえるといい」とコメントした。

 今シーズンに向けて、ラム選手は「特にエアレースに対する気持ちの変化はない。引退することを踏まえて準備を進めてきたので、今シーズンは情熱をもって勝負をしていきたい」と語った。

(編集部:椿山和雄)