写真で見るランドローバー「レンジローバー イヴォーク」 |
「レンジローバー イヴォーク」は、コンパクトクラスのプレミアムSUV。ランドローバーでこれまでもっとも小さかった「フリーランダー」よりもコンパクトなボディーに、クラフトマンシップを感じさせる高品質なインテリア、そしてランドローバーならではの走破性を取り入れているのが特長だ。
同車は2008年1月に開催されたデトロイトショーに出展されたコンセプトカー「LRX」のプロダクションモデルだ。イヴォークの開発にあたっては、LRXの外観の再現性に高いプライオリティが与えられ、ミリ単位までほぼ忠実に市販車化された。ただし、LRXは3ドアボディーのみだったが、イヴォークには5ドア仕様も用意されている。
そのために、フリーランダー2と同じプラットフォームを使用しながら、ボディー構造やサスペンションサブフレームなど90%以上を新設計。そのうえ超高張力鋼板の採用を増やすなど、多くの最新テクノロジーが惜しみなく注ぎ込まれた。
ブランド面で見ると、フリーランダーやディスカバリーが属するランドローバーブランドは「さまざまなことに興味がある好奇心旺盛な人々にとって、機知に富んだクルマ」という位置づけ。一方、イヴォークなどが属するレンジローバーブランドは「成就した大人の、スタンスや高い能力を象徴するクルマ」ということになる。
そんなイヴォークは、レンジローバー史上もっとも小さく、軽く、そして燃費のよいクルマ。
日本に導入されるパワートレインは直列4気筒の2リッターガソリン直噴ターボ、6速AT、フルタイム4WDの組み合わせ。エンジンは独立型ツイン可変バルブタイミング機構などにより、最高出力177kW(240PS)、最大トルク340Nm(34.7kgm)を発生。同時にオールアルミ化することで、フリーランダー2に搭載されていた3.2リッター直列6気筒より約40kgもの軽量化を実現している。その結果、車両重量はSUVとしては軽量な1730kg(クーペ)となり、0-100km/h加速は7.6秒とスポーティな外観を裏切らない身軽さだ。
そのスマートなルックスからは「シティ派SUV」に見えるが、そこはランドローバー、走破性も十分に考慮されている。そのキモといえるのがエンジンをはじめトランスミッション、電気系などを統合制御する「テレイン・レスポンス」。「オンロード」「草/砂利/雪」「泥/轍」「砂地」の計4つのモードが用意されており、地形や路面の状況に合わせて選択するだけで駆動力を最適に制御してくれる。また、カタログには「アプローチアングル」「ランプブレークオーバーアングル」「デパーチャーアングル」、それに「渡河水深」なんて数字まで記載されている。数値は順に25度、22度、33度、500mmで、フリーランダー2が31度、23度、34度、500mmなので、アプローチアングル以外はほぼ同等。
サスペンションには「アダプティブ・ダイナミクス」をオプション設定。これは磁性体を含んだ特殊なフルードを採用した「マグネライド・ダンパー」により、すばやく広範囲なダンパーセッティングを可能とするシステム。1秒間に1000回のモニタリングにより、路面からの入力にリニアに反応。またアダプティブ・ダイナミクスを装着すると、前述のテレイン・レスポンスに「ダイナミック」モードが追加される。ちょっとした山遊びが楽しめるのはもちろん、速度域の高いワインディングロードでもスポーツカー並のファンなドライブが楽しめるのだ。
インテリアもLRXからコンセプトを引き継いだもの。水平基調かつ傾斜を描いたセンターコンソール、ダイヤル式のシフトセレクター、上質さを演出するオックスフォードレザーなど、プレステージSUVと呼ぶにふさわしい仕上がりとなっている。
豊富なオプションもポイントで、ボディーカラーが12色、ルーフカラー3色、アルミホイール7種類、14種類のインテリア、6種類のインテリアパネル、3種類のヘッドライナーカラーと、多くの組み合わせの中から好みの1台に仕上げることが可能となっている。
■イヴォーク(5ドア)
イヴォーク 5ドア プレステージ |
5ドアモデルには「ピュア」と「プレステージ」の2グレードが用意される。価格はそれぞれ450万円、578万円。
撮影車両はプレステージで、ボディーカラーがイパネマ・サンド、シートカラーがアンビエンス、インテリアトリムがサテンブラッシュド・アルミニウム、フィニッシャーがフィギュアドマッカサル。オプションとしてパノラミックグラスルーフ、アダプティブ・キセノン・ヘッドランプ、パワーテールゲートなどがセットになる「プレステージ/ダイナミック・テクノロジーパッケージ」、それに「アダプティブダイナミクス」が装着されている。
最後に少しだけ紹介しているピュアは、ボディーカラーはオプションのバッキンガムブルー、シートカラーがアーモンド、インテリアトリムがサテンブラッシュド・アルミニウム。オプションとしてキセノンヘッドランプやフロントフォグランプなどがセットになった「Pureテクノロジーパック」が装着されている。
4355×1900mm(全長×全幅)のボディーサイズはクーペと同じ。全高のみ30mmアップの1635mmとなる |
イグニッションはプッシュスターター式 | インパネ右側にはリアゲートのオープナーを装備 |
シフトセレクター後方にはテレイン・レスポンスの操作スイッチ | アクセル&ブレーキペダルはごく一般的な形状 |
センターコンソール中央、スライド式カバーの下にはカップホルダーとシガーソケットが備わる | アームレスト下のボックスにはオーディオ用のAUX/USB端子、アクセサリー電源ソケットなどを用意 |
レンジローバーのロゴ入りリモコンキー。キーレスエントリーはオプションでPrestige/Dynamicテクノロジーパッケージに含まれる |
パノラミックグラスルーフは全車にオプション設定。フロントからリアにかけてルーフの広範囲がガラスとなるため開放感抜群だ | サンバイザー裏には照明付のバニティミラーを装備 |
フロントシート上部にあるマップランプとルームランプは触れるだけでオン/オフが可能なタッチセンサー式。後部にはパノラミックグラスルーフの電動シェード用スイッチ | リアシートのルームランプは左右ドアの上部に。その横にはフックが用意されている |
スポーティな形状のフロントシート。オックスフォードレザーをダブルステッチで仕上げたフィニッシュは繊細で美しく、ラグジュアリーなムードに溢れる | 幅広のサイドシルにはロゴ入りのアルミプレートが装着される | フロントドア。ここだけでもスピーカーが3つ装着されている |
アームレスト周辺にはパワーウインドーやシートメモリー、ドアミラーのスイッチを配置 | リアシートは3人掛け |
リアドアにもスピーカーが2つ装着され臨場感のあるサウンドが楽しめる | センターコンソール後端は収納スペース |
リアゲートは上方向にかなり大きく開く | ラゲッジスペースにはトノカバーが付く |
イヴォーク ピュア |
タイヤは225/6 5R17。タイヤサイズはもちろん、ホイールのデザインもクーペのピュアと共通 | テールゲートのエンブレムはプレステージと同じ | シート表皮はレザーとファブリックのコンビタイプに |
シート調整は手動式だが高さのみ電動式 | ドアに設置されるスイッチはシートメモリー以外は同じ |
リアシートのセンターアームレストとヘッドレストはオプションになる | テレイン・レスポンスの操作スイッチは基本の4モードのみに。アダプティブダイナミクスはオプション設定もなし |
■イヴォーク クーペ
よりLRXに近いスタイリングとなるクーペ。「ピュア」と「ダイナミック」の2モデルが用意される。価格はそれぞれ470万円、598万円と、5ドアより20万円高い。
撮影車両のボディーカラーはスマトラブラックにホワイトコントラストルーフ、シートカラーはダイナミックプラスパック専用オプションとなるアジリティ、インテリアトリムがサテンブラッシュド・アルミニウム、フィニッシャーがグロスブラックストラータ。オプションとしてエボニーヘッドライニングやオックスフォードレザースポーツバケットシートなどがセットになった「ダイナミック・プラス・パック」のほか「アダプティブダイナミクス」などが装着されている。
ボディーサイズは5ドアと変わらないものの、やっぱりクーペのほうがシャープな印象。バンパーやサイドシル、リアスポイラーなどは専用デザインになる |
ヘッドライトの点灯パターン。5ドアのプレステージとダイナミックにはキセノンが標準。ウォッシャーも標準装備だ | |
ウインカー内蔵のドアミラーにはヒーターも付く(全車) | プレステージとダイナミックはフォグランプを標準装備 |
リアコンビランプの点灯パターン | |
リアフォグランプはバンパー部に | ライセンスプレート灯は白色のLED |
撮影車両はダイナミック・プラス・パック装着車のため、専用のスポーツバケットシートを装着 | リアシートへのエントリーはヘッドレスト部のノブで背もたれを前に倒し、サイドサポート部にある電動スイッチでシートを前方向に移動する | |
フロントシートは運転席、助手席とも8ウェイのパワータイプ | サイドウインドーは高さ方向を圧縮したスポーツカーのような形状 | クーペのため5ドアモデルより長いドアを採用 |
リアシートは、大人の男性が座ると横方向には余裕があるものの、頭上の空間はギリギリ | |
ダイヤル式のシフトノブは共通。通常時は収納されており、エンジンを掛けるとスッと浮き上がってくる |
8インチのタッチスクリーンを採用したDVDカーナビを装着。オーディオや電話などの操作もここで行える | ||
ボディー各部に5つのカメラを配置。モニター上でその映像が確認可能なサラウンドカメラシステムを全車に標準装備。全体を一画面表示できるほか、各カメラの画像の単独表示や、リアカメラ選択時にはパーキンガイドの表示もできる |
■写真で見る バックナンバー
http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/photo/
(安田 剛)
2012年 4月 13日