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写真で見る スズキ「アルト ターボRS」
(2015/3/11 12:07)
3月11日にスズキは新型「アルト ターボRS」を発表した。アルトシリーズとしては久しぶりのスポーツモデルで、スズキの「多くの人に本格的な走りを届けたい。心からクルマを楽しんで欲しい」という想いを実現させたクルマということである。
そのために用いたのが新開発のプラットフォーム、軽量高剛性の車体、高性能なサスペンション、そして環境性能とハイパワーを両立させたエンジンである。これらの要素は「スイフトスポーツ」をはじめとするスズキのスポーティカーの開発によって培われたノウハウにより高バランスに仕上げられ、ドライバーが楽しさ、気持ちよさを感じられるようになっている。
まずエクステリアだが、アルト標準車をベースにメッキパーツや赤色のアクセントラインを組み合わせて高級感とスポーティさを演出。エアロパーツもフロント、リア、サイドに装着している。ヘッドライトはオートライト付きのディスチャージ式で、フォグランプも装備する。ホイールはエンケイ製の「all one」をベースにして、新型アルト用に新開発した軽量15インチモデル。それを専用に切削加工仕上げしたものになっていて、タイヤもアルト ターボRS専用のブリヂストン「ポテンザ RE050A」(サイズ:165/55 R15)を履く。
エンジンは従来からある直列3気筒DOHC 0.66リッターターボ「R06A」だが、アルト ターボRS用に改良が施されている。そのポイントはまず吸気ポート。高タンブル吸気ポートにすることで燃焼の効率が向上。これによって対ノッキング性が上がり、通常ドライブで多用する低中速域のトルクをアップさせている。さらにタービンにも手が加えられていて、過給側のコンプレッサーはインペラーの羽形状を見直すことで、低回転域から効率よく過給できるように改良。排気側も排気の流れをよくする形状とした。さらにタービン軸を支えるベアリングもより抵抗の少ないものを採用。アクセル操作に対してターボがよりレスポンスよく反応する特性を作り出した。
この改良型のR06A型吸気VVTターボエンジンのスペックは、最高出力が47kW(64PS)/6000rpm、最大トルクが98Nm(10.0kgm)/3000rpmとなっている。ちなみに従来からあるR06A型ターボエンジンのスペックは47kW(64PS)/6000rpm、最大トルクは95Nm(9.7kgm)/3000rpmだ。
このエンジンに組み合わせるのはMTをベースにクラッチ、シフト操作を自動で行う電動油圧式アクチュエーターを用いた5速オートギヤシフト(以下AGS)だが、これもアルト ターボRS用の変速チューニングが施されている。スポーツモードを選択するとシフトレバーだけでなく、ステアリングのパドルでマニュアル操作も可能で、その変速レスポンスも素早い。そしてクラッチディスクがあるMTベースながらクリープやPレンジがあるので、AT感覚で乗れるイージーさもある。ちなみにAGS車はクラッチ操作がないのでAT限定免許で乗ることができる。
アルト ターボRSのボディー形状は先行で発売された新型アルトと共通デザインだが、アルト ターボRS用は車体剛性を高める補強が施された。変更点はストラットタワーバー装着、フロントバンパーメンバーの追加、カウルトップやサスペンション取り付け部まわりの板厚アップなど本格的なものだ。これによってアルト標準車のボディーに対して、ねじり剛性で5%、ストラット取り付け部の横剛性で14%も向上している。さらにボディー鋼板の接合時に用いられるスポット溶接も、標準車より溶接箇所を増やしている。増やしている位置はドアやリアハッチなど大きな開口部の要所だ。なお、このボディーは衝突時の衝撃を効率よく吸収、分散する軽量衝突吸収ボディー「TECT」である。
高剛性ボディーと組み合わせるサスペンションも、アルト ターボRS専用にチューニング済み。ショックアブソーバーはフロント、リアともに専用のKYB製ショックアブソーバーを採用。フロント側はアルト標準車のサイズよりもシリンダーとロッドのサイズを太くしてある。これによって剛性アップと高い操縦安定性を生み出している。リアはサスペンションの動きのよさを重視して、フリクションロスの少ない専用バルブを採用している。またショックに合わせてスプリングレートも変更されたほか、ストラットサポート、サスアーム、ステアリングギヤボックス、リアトーションビームなどのブッシュも専用品が使われるほどの凝りようである。
インテリアも走りを意識したもので、ブラックを基調としたスポーティな配色となっている。ステアリングは本革巻きでレッドのステッチが配された。そのステアリングにはAGSマニュアルモード用のパドルシフトも装備されている。エアコンは抗菌処理タイプエアフィルター付きのフルオート式。フロントシートもアルト標準車と比べるとサポート部スポンジを硬いモノに変更、加えて張り出しを高くし、ホールド性を向上させた作りになっている。デザインも黒基調のファブリックに赤のステッチ入り。さらに運転席にはシートヒーターも装備している(4WDでは助手席にも装備)。
安全装備に関しては、衝突被害軽減ブレーキのレーダーブレーキサポート、誤発進抑制機能、エマージェンシーストップシグナル、車両走行安定補助システムのESPなどを装備。アイドリングストップ付きで、JC08モード燃費は2WD車が25.6km/L、4WD車が24.6km/Lとなっている。燃費基準はともに2015年度+10%/2020年度達成。よってエコカー減税率は取得税が80%(3月まで)と60%(4月以降)、重量税が75%(4月まで)と50%(5月以降)となる。