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写真で見る トヨタ「アルファード」「ヴェルファイア」

左がアルファード、右がヴェルファイア。フロントマスクの違いで大きく印象が異なる

 トヨタ自動車の上級ミニバンとして位置づけられる「アルファード」「ヴェルファイア」。初代が2002年に、2代目が2008年にデビューしており、この新型は3代目(ヴェルファイアは2代目モデルから登場)となる。

 新型は「大空間高級サルーン」をキーワードに、「高級車を圧倒する揺るぎない存在感とスタイリング」「高級車にふさわしい基本性能」「快適な室内空間」「魅力の先進装備」と、4つの魅力を備えたクルマを目標として開発された。

 エクステリアのテーマはアルファードが「豪華・勇壮」、ヴェルファイアが「大胆・不敵」。それぞれのテーマに沿って前者は大型のグリルを備えた堂々としたフロントマスクを、後者はヘッドライトとグリルを2段デザインとした“イカつい”表情に仕上げられている。

 2つ目に挙げられた「高級車にふさわしい基本性能」の面では、大きく変わった部分となるのがリアサスペンションだ。旧型がトーションビーム式だったのに対し、新型はダブルウイッシュボーン式を採用。さらにフロア下に高剛性リアサスペンションメンバーや操安ブレースを設定したほか、200個所あまりのスポット溶接を打ち増しすることにより、軽量かつ高剛性なボディーを実現。操縦安定性はもちろん、乗り心地も大幅に向上させている。

 パワートレーンはガソリンエンジンが2タイプ、ハイブリッドが1タイプの計3種類が用意される。

 直列4気筒の「2AR-FE」ユニットを搭載する2.5リッター車は、最高出力が134kW(182PS)/6000rpm、最大トルクは235Nm(24.0kgm)/4100rpm。トランスミッションは7速マニュアルモードを搭載したSuper CVT-iで、駆動方式は2WD(FF)と4WDが用意される。4WD車にはアイドリングストップが標準装備(2WD車はオプション)となり、エンジンストップ時にもエアコンから冷気を送り出すことが可能な蓄冷エバポレーターを採用。JC08モード燃費はアイドリングストップ付の2WD車で12.8km/L。

 V型6気筒の「2GR-FE」ユニットを搭載する3.5リッター車は、最高出力が206kW(280PS)/6200rpm、最大トルクは344Nm(35.1kgm)/4700rpmと、2.5リッター車を大幅に上まわるパフォーマンスを実現。トランスミッションはインテリジェントタイプの6速ATとなり、こちらも2WD(FF)だけでなく4WDも設定される。JC08モード燃費は2WD車で9.5km/L。

 ハイブリッド車は2.5リッター直列4気筒の「2AR-FXE」ユニットと、フロントに「2JM」、リアに「2FM」モーターの組み合わせ。前後にモーターがあることからも分かるように、全車モーターを組み合わせた4WDシステム「E-Four」仕様だ。最高出力はエンジンが112kW(152PS)/5700rpm、2JMモーターが105kW(143PS)、2FMモーターが50kW(68PS)。最大トルクは順に206Nm(21.0kgm)/4400-4800rpm、270Nm(27.5kgm)、139Nm(14.2kgm)。システム合計の最高出力は145kW(197PS)となる。JC08モード燃費は装備(車両重量)によって18.4~19.4km/Lと若干幅のある数字となる。

 快適性の面ではフロアの低床化が1つ目のトピック。同時にステップ幅やスライドドア開口部幅の拡大、ドアグリップの大型化などによって乗降性も向上させている。2つ目の大きなトピックとなるのがシートで、ミニバンの要とも言える部分だけにかなり力が入った設定だが、半面、バリエーションが多いことからグレード展開が複雑になってしまっている。

 まず、大きく分けて乗車定員によって7人乗りと8人乗りがある。これは2列目がキャプテンシートになるか、ベンチシートになるかで異なる。そして7人乗りには「エグゼクティブラウンジシート」「エグゼクティブパワーシート」「リラックスキャプテンシート」の3タイプが用意される。また、リラックスキャプテンシート仕様車はハイブリッド車とガソリン車で異なり、後者には助手席を1160mmスライドさせることが可能なスーパースライドレールを装備している。

 先進機能では、自車の車体部分を透過表示する「シースルービュー」、駐車をアシストしてくれる「インテリジェントパーキングアシスト2」、スマートキーを持って近づくだけでスライドドアを自動でオープンする「予約ドアオープン」などを世界初採用。そのほかにミリ波レーダーを使った「プリクラッシュセーフティシステム」や、発進時などの衝突を回避・軽減する「インテリジェントクリアランスソナー」など、数々の機能を採用している。

 価格はアルファード、ヴェルファイアともにガソリンモデルが319万7782円~671万6618円、ハイブリッドモデルが411万3818円~703万6691円。

アルファード

アルファード ハイブリッド。グレードは最上級のエグゼクティブラウンジ。ボディーカラーはブラック
ボディーサイズは全長4915mm(先代比+45mm/以下同)×全幅1850mm(+20mm)×全高1950mm(-10mm)
スピンドル風デザインの大型グリルを採用。面積の広いメッキ加飾が存在感を主張する
フォグランプにもメッキベゼルを装着。上級グレードはLEDタイプ
ハイブリッド車の17インチホイールモデルはすべて同じデザイン。タイヤサイズは225/60 R17
グリル中央にパノラミックビューモニター用のカメラが備わる。エグゼクティブラウンジ以外はオプション装着となる
ドアミラーはLEDターンランプ付。エグゼクティブラウンジ用はリバース連動、カメラ、ヒーター、レインクリアリング機能付
パワースライドドアはボタンを押すだけで解錠&ドアオープンが可能なワンタッチスイッチ付
ドアミラー付け根とリアコンビランプにエアロスタビライジングフィンを配置
バックドア左側に車名バッヂ
バックドア右側にハイブリッド&E-Fourバッヂ
LEDハイマウントストップランプ付リアスポイラーは全車標準装備
サイドウインドーまわりは先代モデルを意識したシルエット
ヘッドライトの点灯パターン。ロービームは全車LED、上級モデルはコーナリングランプもLEDになる
リアコンビネーションランプの点灯パターン。リアフォグランプは全車オプション
アルファードのSR、SAといった“S”が付くグレードは、フロント、サイド、リアにエアロパーツが付く「エアロボディー」
フロントグリルは中央のくびれがなくなり“T”字になる
ガソリンモデルの「エアロボディー」では18インチアルミホイールが標準。写真のデザインは標準タイプ。タイヤサイズは235/50 R18
リアスポイラーのデザインは変更なし

ヴェルファイア

グレードは“V”。ボディーカラーはシルバーメタリック
グリルは横基調の2段デザイン
一部オプションを装着した場合を除き、補助確認装置(サイドアンダーミラー)が付く
アルミホイールは17インチが標準。タイヤサイズは225/60 R17
ヘッドライトの点灯パターン。上段がヘッドライト&LEDクリアランスランプ、下段がターンランプとコーナーリングランプになる
V系グレードのフォグランプはLED
リアコンビランプの点灯パターン。リアフォグランプはアルファードと同じく全車オプション
ヴェルファイアではZR、ZAなど“Z”の付くグレードが「エアロボディー」
フロントバンパーはフォグランプまわりにベゼルが付いて押し出しの強いイメージ

パワートレーン

ハイブリッドシステムは2.5リッターエンジンを核とした“THS II”
エンジン横の助手席側に、上段にパワーコントロールユニット、下段にハイブリッドトランスアクスルを縦に並べる2階建て構造
ハイブリッド用のニッケル水素バッテリーはフロントシート下部に搭載
V型6気筒 3.5リッター「2GR-FE」エンジン
直列4気筒 2.5リッター「2AR-FE」エンジン
3.5リッター車以外は無鉛レギュラーガソリン仕様。燃料タンク容量はガソリン車の2WD車は75L、ハイブリッド車およびガソリンの4WD車は65L
リアサスペンションはダブルウイッシュボーン式になった

インテリア

ハイブリッド“エグゼクティブラウンジ”のインパネ。木目調パネルが少し明るめのオリーブ・アッシュバールになる
ハイブリッド“ZR”のインパネ。加飾パネルには黒木目調を採用
ステアリングは黒木目調×本革のコンビネーションタイプ
ハイブリッド車のパワースイッチはブルー。ステアリングヒーターは上級グレードに標準装備
シフトレバーはハイブリッド車とガソリン車で同じ形状
ハイブリッド車には“EVモード”のスイッチを用意。パーキングブレーキは全車電動タイプ
ハイブリッド車のメーターパネルは左側がパワーメーターになる
中央にはマルチインフォメーションディスプレイを用意。タコメーターの表示が可能になった
エネルギーモニター
航続可能距離、平均速度
平均燃費
車速のデジタル表示も可能
コンパス
AVソース
後席エアコンの稼働状態をグラフィカルな表示で確認できる
エアコン状態
リアウインドーの状態までモニター表示可能
照明類の設定画面
LEDルーフカラーイルミネーションの設定画面。全16色から選択可能
各種装備のON/OFF設定
スライドドア開閉時のブザー音も変更可能
ガソリン“V”のインパネ。木目調パネルは濃い目のブラウンである茶木目
ガソリン“ZA”のインパネ。加飾はZ系グレード共通の黒木目
ステアリングは本革巻
2.5リッターエンジン搭載車はアイドリングストップ付。シフトセレクター横に解除スイッチが付く
パワースイッチは黒になる
シフトセレクター左側にキーなどの小物の収納に便利なフタ付収納を用意
パーキングブレーキが電動タイプなので、足下はシンプルな2ペダル
ガソリン車のメーターパネル。Z系グレードは指針が赤、それ以外はブルーになる
マルチインフォメーションディスプレイの表示は、アイドリングストップ時間やエコメーターなどがあり、ハイブリッド車とは若干内容が異なる
“エグゼクティブラウンジ”にはT Connect SDナビゲーションシステムなどを標準装備。パノラミックビューモニターも標準採用
ディスプレイは9.2型とかなりの大型。ナビ画面も見やすい
オーディオ&エアコンのパネルには静電式スイッチを採用。前席左右・前後独立温度コントロールフルオートエアコンは全車標準装備。上級グレードには内外気自動切替システムも付く
シフトセレクター後方にコンソールボックスを設定。グレードによって形状や装備が異なる。写真はハイブリッド車とガソリン車の上級グレードに装着される大型ハイグレードタイプ
上級グレードはシートヒーターを採用
大型ハイグレードタイプのコンソールボックス。内部にはAC100VコンセントやDC12Vソケット、USB/AUX入力端子を装備
おくだけ充電“Qi”のトレイがオプション設定されている
コンソールボックス後方にも収納を用意
上段に入っているのはリヤシートエンターテインメントシステム用のリモコン
下部にはリアシートで利用可能な端子類
ハイグレードタイプのコンソールボックス
ハイグレードタイプは木目+スパッタリングの加飾が付く
メーカーオプションのカーナビにはDSRC車載器が標準でセットされる。下側は小銭などを収納できるボックスになっている
グローブボックスは照明付
運転席/助手席のカップホルダーはスライド式のフタ付
サンバイザーは全車でバニティミラー&照明付
オーバーヘッドコンソールにはマップランプと電動スライドドアのスイッチが備わる
サングラスホルダーも装備
12.1型モニターを備えるリアエンターテインメントシステムはエグゼクティブラウンジに標準装備
リアエアコンの操作パネルは2列目シート頭上に装備。ツインムーンルーフは上級グレードにオプション設定される
エグゼクティブラウンジは17スピーカーのJBLサウンドシステムを採用。オーディオレス車のフロントドアスピーカーは18cmのフルレンジタイプが付く
3ポジションを記憶可能なマイコンプリセットドライビングポジションシステムは上級グレードで標準装備
スライドドアからのアクセスで役立つアシストグリップ。485mmの長さがあるロングタイプで握りやすい
“G”グレードなどミドルグレードのシート表皮はファブリックと合成皮革のコンビネーションタイプ。内装色は“フラクセン”と名付けられたベージュ系のカラー
7人乗りモデルが採用するリラックスキャプテンシート。“G”グレードなどが装着するベーシックなタイプ
ベーシックタイプでもオットマンを備える
ベースグレードではシート表皮にファブリックを採用。また、S系グレードはシートカラーがブラックになることもあってイメージがかなり異なる
アームレストを装備
中央には折り畳み式サイドテーブルをセットすることもできる
中央方向にスライドさせてベンチシートのような使い方も可能
ガソリン車“G”グレードなどの助手席にはスーパーロングスライドシートを採用
SA(サービスエリア)での休憩時などにかなりリラックスできそうだ
運転席&助手席と2列目、2列目と3列目でフラット化が可能
ゆったりとした3列目は3名乗車に対応
2名での利用ならアームレストが使えてパーソナルな空間になる
上級グレードのスライドドア&クォーターガラスには引き出し式のサンシェードを装備
3列目シート横のボディー側にアームレストとカップホルダーを装備
3列目を跳ね上げるときはシートレールとシートベースの前後位置を三角印で合わせる必要がある
シートの跳ね上げはヴォクシー/ノアと同様のレバー操作。簡単に跳ね上げられ、固定もストラップでワンタッチ
3列目中央のヘッドレストをシートに装着したまま格納できる
16色から選べるLEDルーフカラーイルミネーション。エグゼクティブラウンジは消灯時に金属モールに見えるタイプを採用している
3列目収納時のラゲッジスペース。シートが厚いため若干スペースが犠牲になる
2列目を最後方にセットした状態
3列目のシートレール
シートレール下のフロアパネル(デッキボード)は取り外し可能で、下に148Lの収納スペースがある
ボディーサイドにも小容量の収納が用意されている
エグゼクティブラウンジの2列目シート。シート脇に折り畳み式サイドテーブルを装備しないため横幅がゆったりとしている。シート表皮はセミアニリン本革
電動式オットマンは角度に加えて長さも調整可能
中央側のアームレスト内にテーブルと小物入れを用意
収納式のサイドテーブルはシルバーのスイッチを押すことでポップアップ。アームレスト前方にはカップホルダーも装備
車両外側のアームレストにはシートの調整を行う各種スイッチを備える
テーブルとカップホルダーを出した状態。ヘッドレストの角度も調整可能
エグゼクティブラウンジはLEDの読書灯も装備する
上級グレードのルームランプはLED。リアエアコンにも“ナノイー”が付く
上級グレードの助手席には後席用アシストグリップを装備
2列目から操作できる位置に助手席のスライド&シートバック調整スイッチを設定
“GF”グレードなどが採用するエグゼクティブパワーシート。シート幅はエグゼクティブラウンジより狭くなるものの、電動オットマンや固定式アームレストなどを持つ高級感あふれる仕上がり
中央側のアームレスト側面にオットマンとリクライニングの操作スイッチをレイアウト
アームレスト先端はカップホルダー
アームレストの足下近くにアクセサリーコンセントを用意
8人乗り仕様の2列目はベンチシート
6:4分割式でそれぞれリクライニング、スライドが可能
座面のチップアップ機構も装備
チップアップ&前方スライドで高い積載性を実現する

(安田 剛)