特別企画

【特別企画】西川善司の「NISSAN GT-R」ライフ(特別編)

アクションカムをドライブレコーダーとして活用できるのかを検証!

 日産自動車のGT-Rにまつわるアレコレをお届けした“西川善司の「NISSAN GT-R」ライフ ”は、2013年に日産を退社したGT-R開発責任者(当時)の水野和敏氏の手がけた最後の2013年式GT-Rに筆者が買い替えたというエピソードを最後に大団円(?)を迎えたわけだが、今回は特別編として復活した。

 実は、今回の主役はGT-Rではなく、取り上げるのはソニーのアクションカム「HDR-AS200V」と「FDR-X1000V」である。おそらく多くの読者がGT-Rとソニーのアクションカムの関係性に「?」という印象だと思うので、順を追って説明して行くことにしたい。

ドライブレコーダーに求められるスペックとは!?

 筆者はGT-Rの連載を終えてからも、日々、自分なりのカーライフを楽しんでいた。その中で色々な経験をしたり、様々なDIYに挑戦したりしていたので、いずれ機会があればそれらをこの誌面で紹介していきたいと思っているが、なかでも熱心に調査を続けていたのはドライブレコーダーについてである。

 ドライブレコーダーとは、説明するまでもないと思うが、愛車に設置する車載カメラのことで、万が一の事故時の証拠映像記録や、駐停車時の防犯目的用の映像記録、あるいはドライブ時の思い出記録のために取り付けるわけだが、近年、もの凄い新製品ラッシュで、それぞれのスペックを個人的に比較検討して「次もし買うなら」シミュレーションを重ねていたのだ。

「GT-Rライフ」連載時もCOWON製のドライブレコーダー「AC1」を取り付けるエピソードを第19回(http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20130513_598775.html)と第20回(http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20130627_601636.html)にわたってレポートしたことがあったわけだが、この時、「AC1」の製品レビューを行っただけでなく、2012年時点でのドライブレコーダーに残された課題、不満点を改善するための具体的な要望をも記事にまとめていた。以降、そうした課題改善や要望に応えてくれる製品が登場しないものか……とアンテナを張っていたというわけなのだ。

 結論から言うと、いくつか「めぼしい製品」は見つけていて、それらはいずれ機会があれば紹介したいとは思うが、実はその「めぼしい製品」の中にドライブレコーダー以外のものがあるのだ。

 それがまさにソニーの「アクションカム」シリーズなのである。現在、ドライブレコーダーを選択する際に重視すべきスペックとしては、1つ目に「解像度」、2つ目に「フレームレート」、3つ目に「HDR(WDR)撮影機能」といったものが挙げられる。

 1つ目の「解像度」は、現在はフルハイビジョン(フルHD)と呼ばれている1920×1080ピクセルで録画できるものが基準スペックとなりつつある。ただ、ドライブレコーダーでは撮影画角が100°を超えるような、横に広画角な撮影が求められることもあり、これ以上の解像度があってもオーバースペックということもない。実際、最近では2560×1080ピクセルで録画できる機種も登場しつつある。

 2つ目の「フレームレート」は、高速で移動するクルマに設置するカメラである以上は、これまたフレームレートが高すぎて困ることはない。高速道路で約100km/hで走行しているとき、クルマは1秒間に約28mも進む。この時、15fps撮影では1フレームあたり約1.85mも進んでしまうし、30fps撮影でも約93cm進んでしまう。60fps撮影であればこれを約46cmに留められる。高速道路走行中でなくても、対面車線のクルマが原因となる事故では相対速度が100km/hを超えることも想定されるので個人的にはドライブレコーダーにおいて「60fps撮影はオーバースペックではない」と思っている。

 3つ目は、ドライブレコーダーを使ったことがあるユーザーならば、だれしもがその重要性を実感していることだろう。クルマは夕日や朝日に向かって進むような逆光状態にもなるし、街灯の少ない暗い道はヘッドライトの灯りだけに頼っての走行となる。その際に必要となるのが暗いシーンも明るすぎるシーンもリアルタイムに最適化してちゃんと撮影できるハイダイナミックレンジ(HDR)機能やワイドダイナミックレンジ(WDR)機能だ。ドライブレコーダーの場合、普通のカメラに備わっている露出補正して撮影する機能だけでは不十分で、そのシーンの中の暗いパートも明るいパートも両方綺麗に撮影できる性能までが求められる。

 このスペック条件、3つを満足出来そうな製品を探すと、意外にも最近流行のアクションカムと呼ばれる小型ビデオカメラが図らずも適合してくるのだ。

 そんなわけで「いつか機会があれば、アクションカムをドライブレコーダー的に活用できるか試してみたい」と思い続けていたのだが、今回、「HDR-AS200V」と「FDR-X1000V」の2機種を使用することができたので、さっそく試してみた……というわけなのである。

「HDR-AS200V」と「FDR-X1000V」がどんな製品なのか、知らない人もいるかと思うので、基本スペックを紹介しておこう。

HDR-AS200V

「HDR-AS200V」はフルHD(1920×1080ピクセル)撮影に対応したモデルで、フルHD撮影時の最高フレームレートは60fps。撮影画角は120°ないしは170°(手ブレ補正OFF時)でドライブレコーダースペックとしては申し分ない。撮像素子にはソニーの裏面照射型COMSセンサーの「Exmor R」(エクスモア アール)を採用しており、最低撮影被写体照度は6ルクス。自動逆光補正機能も搭載。これらの特殊機能がHDR撮影機能と同等かどうかは分からないが期待はできそうだ。そして、手ブレ補正機能も搭載。これは一般的なドライブレコーダーには搭載されていない機能だけに興味深い。

FDR-X1000V

「FDR-X1000V」はソニーのアクションカムシリーズでは上位機種に相当するもので、最大撮影解像度は4K(3840×2160ピクセル)となっている。フルHD/60fpsの撮影にも対応しているが、4Kでは30fpsまでのフレームレートとなる。撮像素子や光学系のスペックは「HDR-AS200V」と同一。撮影画角も120°/170°(手ブレ補正OFF時)の両モードを搭載する。手ブレ補正機能も搭載するが、4K撮影時は機能しない。

「HDR-AS200V」と「FDR-X1000V」のスペック比較
HDR-AS200VFDR-X1000V
MP4:動画記録画素数/フレームレート(平均ビットレート/VBR)PS:1920×1080 60fps(約28Mbps)PS:1920×1080 60fps(約28Mbps)
HQ:1920×1080 30fps(約16Mbps)HQ:1920×1080 30fps(約16Mbps)
STD:1280×720 30fps(約6Mbps)STD:1280×720 30fps(約6Mbps)
HS120:1280×720 120fps(約28Mbps)HS120:1280×720 120fps(約28Mbps)
HS240:800×480 240fps(約28Mbps)HS240:800×480 240fps(約28Mbps)
XAVC S:動画記録画素数/フレームレート(平均ビットレート/VBR)HD:1920×1080 60fps/30fps/24fps(約50Mbps)4K:3840×2160 30fps/24fps(約60Mbps/約100Mbps)
HD:1920×1080 120fps(約60Mbps/約100Mbps)
HD:1280×720 240fps(約60Mbps/約100Mbps)
HD:1920×1080 60fps/30fps/24fps(約50Mbps)
消費電力(動画撮影時)約2.0W約2.0W
連続撮影時間(満充電時)HQ 30p:約1時間55分4K 30p:約50分、HQ 30p:約1時間55分
本体内充電(付属バッテリーの満充電時間)●(約4時間5分)●(約4時間5分)
本体質量(付属バッテリー装着時)約68g(約93g)約89g(約114g)
本体外形寸法約24.2(幅)×46.5(高さ)×81.5(奥行き)mm約24.4(幅)×51.7(高さ)×88.9(奥行き)mm

 4K撮影に対応したドライブレコーダーは民生向けにはまだ出てないので、「FDR-X1000V」で車載撮影したときの映像に興味がそそられるのは、筆者だけではあるまい。

アクションカムをドライブレコーダー的に活用するための工夫と設定

「HDR-AS200V」や「FDR-X1000V」の設置については、画質を比較するために2つのモデルを並べて設置して同時撮影ができるようにした。道交法等の法規に配慮しつつ取り付けた結果、カメラは上下(天地)反転での組み付けになってしまったが、ソニーのアクションカムでは上下反転撮影モードがあるのでこの機能を利用した。

「HDR-AS200V」や「FDR-X1000V」は、画質設定にもよるが標準バッテリーで録画できる時間は、取扱説明書の参考時間を引用すれば「FDR-X1000V」の4K/30fps録画は50分程度、「HDR-AS200V」のフルHD/30fps録画は115分程度なので、とてもバッテリーだけで運用できるものではない。幸い、両機種ともUSB給電をしながらの録画に対応しているので、この機能を活用することにした。

「HDR-AS200V」「FDR-X1000V」のUSB端子はAndroid系スマートフォンなどで標準採用されているMicro USB端子だ。なので、カー用品店で市販されている車内のシガープラグからUSB端子に変換するカーグッズを利用することで車内でのUSB給電が可能となる。

 純正アクセサリーでカーチャージャーキット「ACC-DCBX」があり、この製品もシガープラグをUSBに変換してくれる商品なのでこれを利用するのもいいが、追加の内蔵バッテリーと車内で充電するための変換キットまでが同梱されていてややオーバースペックで高価な商品なので、筆者のようにカー用品店の市販品を選択するのもわるくない。

 筆者は今回、シガープラグから2基のUSB出力が行えるWY Style製「2ポート小型シガーソケットカーチャージャー 2.0A出力」(WY-CAR001)を選択した。価格は約1600円程度。

筆者が導入したシガープラグUSB変換アダプタはUSB1端子あたりの供給電流が1.0Aまでであった。FDR-X1000Vは1.0A給電では微妙にバッテリーを消費する

 実は、この製品は2つのUSB端子の両方に機器を接続すると片側1.0A給電となってしまう。もう一度、純正品のカーチャージャー「ACC-DCBX」の仕様を確認すると1.5A給電となっており、「HDR-AS200V」の方はバッテリーに負担なく運用ができたが、「FDR-X1000V」の方はもう少し消費電力が高いようで、USB給電をしているにもかかわらず、微妙にバッテリーを消費する。実際にこのシガープラグUSB変換アダプタで運用した際には3~4時間程度の録画でバッテリーがなくなってしまった。なので、この手のグッズを選ぶ際には、使用する機材に合わせて給電の出力を確認した方がいいだろう。

 ドライブレコーダー的に「HDR-AS200V」「FDR-X1000V」を活用するための「本体設定」についても触れておこう。

 録画モードはメモリーカードの空き領域の範囲内で録画をし続ける「LOOP」(ループ)モードを活用する。容量が一杯になったときは一番過去の録画を消去して録画を継続するため、直近の最新録画分がメモリーカードに残ることになる。これはアクションカムをドライブレコーダーとして使う際の基本テクニックと言える。

「HDR-AS200V」「FDR-X1000V」では、このループ録画モード時のループ録画時間(5分/20分/60分/120分/無制限)を設定できるが、ドライブレコーダー的に活用するにはメモリーカード容量の最大を活用すべきなので「無制限」設定を選択することになる。ちなみに、そうはいってもファイルシステムの都合もあって、メモリーカードに生成される録画ファイルは15分単位に分割されている。メモリーカードが一杯になったときは、最も過去の15分の録画ファイルが自動削除されて録画が継続することになる。

 画質設定は、今回の筆者の実験では「HDR-AS200V」ではフルHD/60fps、「FDR-X1000V」では4K/30fpsとした(4K画質では60fpsは選択できない)。また、「FDR-X1000V」の手ブレ補正機能は、フルHDまでの撮影でしか有効化できないので、フルHD撮影を行う「HDR-AS200V」での録画でのみに有効化させた。

 一方、撮影画角は、「HDR-AS200V」「FDR-X1000V」では、手ブレ補正をONにすると自動的に画角は120°に制限される。そして「FDR-X1000V」では4K撮影時は画角は自動的に170°になる。こうした手ブレ補正機能や撮影画角の組み合わせ制限は、この機能の実装が光学式ではなく、デジタル画像処理で実践する電子式であることに起因した仕様と言える。

 今回の筆者の実験運用では「HDR-AS200V」は手ブレ補正ONでフルHD/60fps録画としたので自動的に120°設定に。一方の「FDR-X1000V」も4K/30fps録画としたことで手ブレ補正は強制OFFとなり撮影画角は170°設定となった。

ほぼ同一位置からHDR-AS200V/FDR-X1000Vで撮影した風景の画角の違い
HDR-AS200Vで手ブレ補正ONで撮影すると撮影画角は120°に(クリックすると1920×1080ドットの写真が開きます)
FDR-X1000Vで4K撮影する撮影画角は170°に。映り込んでいる風景の差異に着目(クリックすると3840×2160ドットの写真が開きます)

 そして、設置の都合により天地逆転しているので「上下反転」撮影設定も有効化した。

撮影のために景色のいいところに出かけてみた!

“せっかくなので景色のよいところに行こう!”ということで、蓼科スカイラインや信州ビーナスラインまで足を伸ばすことにした。

 撮影した映像は以下に示しておく。参考までにGT-Rライフ連載時に紹介したCOWON製ドライブレコーダー「AC1」の映像も合わせて示しておく。なお、「AC1」の映像は撮影画角水平113°、1280×720ピクセル/30fpsというスペックとなる。

 まずは、蓼科スカイラインを走行したときの映像を見て画質を検証する。

蓼科スカイライン

HDR-AS200V
蓼科スカイライン SONY HDR-AS200V FHD 60s

「HDR-AS200V」の撮影映像は、解像度の点では4Kの「FDR-X1000V」には及ばないものの、60fps録画のおかげで流れゆく景色や、速いスピードで奥から手前を過ぎていく路肩上の木々、標識、ガードレール等の動きがとてもスムーズで、映像として見やすい。

FDR-X1000V
蓼科スカイライン SONY FDR-X1000V 4K 60s

「FDR-X1000V」はさすが4Kカメラ。ありきたりの感想にはなるが、解像感がすごい。山に立ち並ぶ木々の葉々が1枚1枚が見えるし、空に浮かぶ雲の外周の淡い点描のような表現までが撮れている。それと、車内のダッシュボードのシボの1つ1つの陰影が潰れずに1ピクセル単位で描ききれているところがすごい。

AC1
蓼科スカイライン COWON AC1 HD 60s
3モデルの映像:岩肌表現の違いに注目
HDR-AS200V(クリックすると1920×1080ドットの写真が開きます)
FDR-X1000V(クリックすると3840×2160ドットの写真が開きます)
AC1(クリックすると1280×720ドットの写真が開きます)

「AC1」は1280×720ピクセル録画機と言うことと、機能設計自体が古いこともあってか、撮影映像はややブロックノイズが多めでディテール表現は眠くボケてしまっている。

 同じく、蓼科スカイラインの映像の中から、空の割合が大きく占める映像の写真を下に示した。この映像は「HDR-AS200V」「FDR-X1000V」にある自動逆光補正機能の働き具合がよく分かる映像になっていると思う。

3モデルの映像:空の明るさ、景色の明るさの違いに注目
HDR-AS200V(クリックすると1920×1080ドットの写真が開きます)
FDR-X1000V(クリックすると3840×2160ドットの写真が開きます)
AC1(クリックすると1280×720ドットの写真が開きます)

「HDR-AS200V」「FDR-X1000V」にはHDR撮影機能はないが、この自動逆光補正機能があるおかげで、撮影映像のかなりの割合を明るい空が占めている場合でも、空の輝き、雲の陰影、周囲の景色の陰影もバランスのよい階調表現で描けている。「AC1」は、面積割合の多い明るい空に露出が調整されてしまっている関係で、道路周辺側の風景がやや暗めの映像になってしまっている。

 続いて、信州ビーナスラインの走行風景の映像をご覧頂こう。

信州ビーナスライン

HDR-AS200V
信州ビーナスライン SONY HDR-AS200V FHD 60s
FDR-X1000V
信州ビーナスライン SONY FDR-X1000V 4K 60s
AC1
信州ビーナスライン COWON AC1 HD 60s

 信州ビーナスラインは、蓼科スカイラインの映像と同じく遠方にある山の上の木々の描写解像度の違いが分かりやすい。また、ここでも空の明るさと景色の明るさのバランスがよいことに気がつくが、これももちろん自動逆光補正機能の恩恵だろう。

 広大な景色を捉えたシーンでは4K映像の優位性ばかりが目立っているように思えるが、注意深く映像を見比べると、実はフルHDの「HDR-AS200V」の映像の優位性も所々に顔を出している。それは「手ブレ補正機能」の恩恵だ。

 この2つの映像では道に細かい段差があるため、4Kの「FDR-X1000V」、1280×720ピクセルの「AC1」の映像では、映像フレーム全体が小刻みに震える頻度が多い。カメラが固定されているので、それこそ映像下部に映り込んでいる赤いボンネットは全く動かず、景色全体(映像フレーム全体)が動く見え方をしている。

 しかし、手ブレ補正機能ONで撮影した「HDR-AS200V」の映像では、逆に映像下部のボンネットがよく動く映像となっている。しかし、それと引き替えに画面の主役である景色の映像には振動がほとんど出ていない。走行時の振動を手ブレ補正で吸収して撮影しているわけである。奥から手前に過ぎ去っていく景色の流れ具合も、まるでジンバル雲台に載せたカメラで撮影したかのように安定してスムーズだ。合わせて、60fps撮影の効果もあり、クルマの前進方向の動きとの背景側の動き(この映像で言えば歩行者、対向車、ロープウェイなど)もよく見える。いわば、「HDR-AS200V」の映像は時間方向の情報量が多いのである。

 最後は、夜間の走行風景の映像をご覧頂きたい。

夜間

HDR-AS200V
夜間 SONY HDR-AS200V FHD 60s
FDR-X1000V
夜間 SONY FDR-X1000V 4K 60s
AC1
夜間 COWON AC1 HD 60s
3モデルの映像:夜間撮影
HDR-AS200V(クリックすると1920×1080ドットの写真が開きます)
FDR-X1000V(クリックすると3840×2160ドットの写真が開きます)
AC1(クリックすると1280×720ドットの写真が開きます)

 夜間の撮影映像に関しては「HDR-AS200V」「FDR-X1000V」の方が映像中の暗い部分もそれなりに階調も色味も残っていて、本質的な画質部分で従来型のドライブレコーダー「AC1」を上回っていた。

 ただ、最明部の階調が白飛び気味な映り具合は「AC1」とそれほど変わらなく、例えばヘッドライトに照らされた前車のナンバープレート部分は、「AC1」同様に「HDR-AS200V」「FDR-X1000V」も白飛びしていて判読は難しい。実際、その時の筆者の視覚としては、鮮明にナンバープレートが見えていたので、映像として撮影されたときにこうなってしまったと言うことだ。これは、情景全体が暗く、撮影時の階調補正が暗部に引っ張られて最明部に十分な階調が割り当てられなかったことによるものだろう。

ドライブレコーダーとして活用しての感想、そして要望

 正味1泊2日。ドライブレコーダーとして「HDR-AS200V」「FDR-X1000V」を活用してきたわけだが、“ドライブレコーダーを凌駕している”部分もあれば、ドライブレコーダー的に活用するために“こんな機能があったら”と思わせてくれる部分もあった。

 まずは、“ドライブレコーダーを凌駕している”部分については、何よりも撮影された映像の画質が優秀ということ。

 4K撮影が可能な「FDR-X1000V」の映像はとにかく別格。「FDR-X1000V」の4K映像は、帰宅して見直した際に旅の当時の記憶を鮮明に甦らせてくれるだけでなく、走行中に目がいかなかった景色のディテールにまで気が付かせてくれるたほどであった。

「HDR-AS200V」は、「FDR-X1000V」の4K映像と比較してしまえば画質の差は確かにあるが、「AC1」のような平均的なドライブレコーダーの画質よりは優れている。明暗バランス、階調力、色再現性においても、ドライブレコーダーの記録映像レベル画質の上を行く、映像鑑賞に耐えうる画質は実現出来ていると思う。

 実測の録画時間については、64GBのmicroSDメモリーカードで「HDR-AS200V」が1920×1080ピクセルの60fps録画(PSモード)で5時間20分くらい(約28Mbps程度)、「FDR-X1000V」の4K/30fps録画で1時間15分程度(約60Mbps)であった。

 ループ録画モードであれば、「HDR-AS200V」で過去5時間20分、FDR-X1000Vで過去1時間15分の映像が残っているので、ドライブレコーダー目的であれば、この程度の録画時間で問題はないだろう。ただ、1日のドライブを丸ごと記録しておくという向きにはやや少ないという印象はある。特に「FDR-X1000V」の4Kでの1時間15分は短いので、4K撮影を主体に活用したいユーザーはmicroSDメモリーカードの容量を気にした方がよいかも知れない。

メモリーカードはサンディスク製の4K撮影対応を謳う高性能品を選択。それでも64GBの丸ごとコピーには時間が掛かった

 今回の撮影小旅行においても、録画時間が短くなることは想定できたのでPCを携行して数時間おきにメモリーカードの内容をコピーして退避していたのだが、60GB近い録画ファイルをコピーするのには、かなりの時間が掛かってしまった。それこそ、95MB/secの読み込み速度がある高速なmicroSDメモリーカードをもってしても、64GBのデータをコピーするには理論値で1枚あたり10分近く掛かることになるわけだが、実際には、ノートパソコンのストレージがそこまで速くないので20分くらい掛かってしまった。予算が許せばできるだけ容量の大きいmicroSDメモリーカードを用意することをお奨めしたい。

 それから“こんな機能があったら”に関しては、「HDR-AS200V」「FDR-X1000V」はドライブレコーダーではないので仕方がないのだが、USB給電開始と同時に録画が始まるモードがないのが少々不便であった。

 ドライブレコーダー製品では、クルマのエンジンがスタートしたと同時に(≒給電が開始されたと同時に)録画が開始される機能設計が普通なのだが、「HDR-AS200V」「FDR-X1000V」では、いちいちエンジン始動後に録画開始ボタンを押さなければならない(普通のカメラなので当然なのだが)。

 録画するために取り出して手で持って撮影する撮影スタイルでは録画ボタンを忘れるという心配はほぼないだろうが、車内に固定的に常設取り付けしているカメラに対しては、うっかりすると運転手も録画開始操作を忘れてしまう可能性はある。

 USB給電連動録画機能は、ファームウェアのアップデート等で対応できそうな気もするので、可能であれば現行機からの対応措置をメーカーのソニーに願いたいものである。

 また、本質的な画質のよさのある夜間撮影に関しても、新世代のドライブレコーダーには、露出時間を変えて自動ブラケット撮影を実践する(≒実質的なHDR撮影)機能を備えたモデルも登場してきているので、「HDR-AS200V」「FDR-X1000V」のようなアクションカムにもこうした機能が欲しいなと思う。

 当然ではあるが、「HDR-AS200V」「FDR-X1000V」はドライブレコーダーとして活用するために設計されていないこともあり、直射日光に長時間さらされるような環境で使うには熱に対する配慮も必要。今回は、走行中の車内は常に冷房を入れて、冷房の送風口をカメラに向かって吹き上げるように調整して、直接冷風がいくような工夫が必要だった。

 さて、これまでを踏まえて今回の実験運用を総括する。

実験運用を総括

・多くの局面で「HDR-AS200V」「FDR-X1000V」は高画質な映像が撮れる。4Kは空間あたりの解像力、1920×1080ピクセルの「手ブレ補正×60fps」は時間方向の情報量の多い映像となる
・記録用microSDメモリーカードは大容量のものが必要
・USB給電連動録画機能が欲しい
・HDR録画機能が欲しい
・車載時は熱対策に気を使う必要あり

 まとめると、5つのポイントになるといったところか。

 具体的な要望を挙げるとすれば、「HDR-AS200V」「FDR-X1000V」のようなアクションカムにドライブレコーダーユースを想定したカスタムスペシャル(≒車載スペック)モデルが欲しいと思う。

 基本画質性能はそのままに、熱対策が施され、USB給電連動録画機能を装備する。HDR録画機能が無理ならば、「HDR-AS200V」「FDR-X1000V」はGPS内蔵で時刻合わせも自動取得できているので、月日ごとの日照時間に連動して、その時点での屋外の暗さに配慮した露出補正や階調調整を自動で適用する仕組みで対応してもよさそうだ。

 そうそう、一連の「HDR-AS200V」「FDR-X1000V」で撮影された映像を見て気が付いた読者も多いと思うが、実は今回の映像は全てフロントガラスを通して撮影した映像になるので、窓ガラスに映り込んだダッシュボードの鏡像ごと撮影されてしまっている。これは「HDR-AS200V」「FDR-X1000V」のせいではないのだが、こうした映り込み情景を除去するための光学フィルター「PL(Polarized Light)フィルター」の純正オプションも欲しいと思った。これも要望リストに加えておくことにしたい。

おわりに

 いかがだっただろうか。こうした「HDR-AS200V」「FDR-X1000V」に代表されるアクションカムはコンパクトで高画質なモデルが多く、価格的にもそれほど高くない製品だ。

 アクションカム的な使い方の頻度が年中あるわけでない人も、「普段はドライブレコーダーとして活用」し、何らかのレジャーに出かけたときには「クルマから取り外してアクションカムとして使う」という兼用スタイルは、こうしたアクションカムを幅広いユーザーに訴求するために有効だと筆者は考えている。

 今後も筆者は、こうしたアクションカムのドライブレコーダー的活用を研究しつつ、スペックや使い勝手に妥協しないドライブレコーダー製品の探求にも力を入れていくつもりだ。機会があればまたお目に掛かればと思う。

トライゼット西川善司

テクニカルジャーナリスト。元電機メーカー系ソフトウェアエンジニア。最近ではグラフィックスプロセッサやゲームグラフィックス、映像機器などに関連した記事を執筆。スポーツクーペ好きで運転免許取得後、ドアが3枚以上の車を所有したことがない。以前の愛車は10年間乗った最終6型RX-7(GF-FD3S)。AV Watchでは「西川善司の大画面☆マニア」、GAME Watchでは「西川善司の3Dゲームファンのためのグラフィック講座」を連載中。ブログはこちら(http://www.z-z-z.jp/BLOG/)。