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「神保町フリーミーティング#04~土屋圭市×岡本幸一郎 Moduloの魅力を語り尽くす~」レポート

土屋圭市氏、岡本幸一郎氏、水村リアさんとModulo開発者が語る、楽しいクルマの作り方

2016年6月30日 開催

 6月30日に、Car Watchが主催する公開トークイベント「神保町フリーミーティング#04~土屋圭市×岡本幸一郎 Moduloの魅力を語り尽くす~」が、Car Watch編集部のある神保町三井ビルディング内の会場で開催された。

 今回で4回目になるこのイベントは、メーカーやレーシングドライバー、ジャーナリストなどを招き、題材になるパーツやアイテムなどの特徴から開発秘話などについて開発陣が語る構成。それだけに毎回、内容の濃いトークが聞けるイベントになっている。

 そして今回のタイトルは「土屋圭市×岡本幸一郎 Moduloの魅力を語り尽くす」である。これはホンダアクセスが開発、販売する「Modulo(モデューロ)」ブランドを紹介するとともに、「S660」のモデューロ仕様車やコンプリートモデル「N-ONE Modulo X」について、開発陣と開発アドバイザーの土屋圭市氏から開発時の模様や苦労話を語ってもらう内容だ。Car WatchではModuloパーツについて何度か取り上げているが、その都度感じるのが開発チームの作り込みへのこだわりで、今回のトークショーは主催側としても楽しみなものだった。

会場はCar Watch編集部のある神保町三井ビルディングの23Fにあるセミナールーム。事前申し込みは早い段階からたくさんの応募をいただいた
セミナールームの入り口でホンダアクセスのドリームサポーター「はっくるべあ~くるタム」が来場者をお出迎え。ステージにも小さいくるタムが置かれていた。くるタムはツイッターアカウントを持っているのでぜひフォローを

 そして開発陣とは一線を置いた距離感でモデューロ製品を語ってもらうために、Car Watchでも執筆しているモータージャーナリストの岡本幸一郎氏、さらにモデューロスマイルを務めているモデルの水村リアさんにも参加していただいた。S660もN-ONEも女性からの注目度が高いクルマなので、水村さんには女性ならでは感性でモデューロ仕様車の印象を語ってもらった。

モデューロ製品の開発アドバイザーを務める土屋圭市氏。S660もN-ONE ModuloXも土屋氏が開発の要所に携わっている
モータージャーナリストの岡本幸一郎氏。ジャーナリストの立場からモデューロ仕様車について語ってもらった
モデューロスマイルを務める水村リアさん。女性ドライバー代表として参加

 ちなみに、このイベントに先駆けて登壇者は群馬県の群馬サイクルスポーツセンターでS660 モデューロ仕様車、N-ONE Modulo Xに試乗。これは岡本氏と水村さん、そしてCar Watchスタッフも含めて、モデューロ仕様車の実車をドライブすることで開発意図や完成度の体験を目的に行なわれたもの。

 この群馬サイクルスポーツセンターは山の中に作られたクローズドコース。そこを貸し切ることで、一般道では試せないスピード域で試乗ができるのはもちろん、このコースは路面が荒れたところもあるので、幅広い速度域での乗り心地も試せる環境だ。ここで岡本氏と水村さんはモデューロ仕様車を自らドライブしたり、土屋氏の助手席に乗ったりと丸1日、たっぷり走り込んでいた。こうして見聞きしただけの知識ではない、体感で得た自分なりの意見、感想を持ってこのイベントに臨んだのだ。

トークイベント登壇者は、これに先駆けて群馬県にある群馬サイクルスポーツセンターでS660 モデューロ仕様車、N-ONE Modulo Xなどに試乗
S660 モデューロ仕様車
N-ONE Modulo X

第1部はS660 モデューロ仕様についてのトークショー

 ではトークショーの話に移ろう。今回のトークショーは2部構成になっていて、2部を通しての固定メンバーは土屋氏、岡本氏、水村さん。それに対して第1部はホンダアクセス 開発部の湯沢峰司氏がS660 モデューロ仕様について語り、第2部は同じくホンダアクセス 開発部の足立亮一氏がN-ONE Modulo Xの解説を行なった。

 はじめにホンダアクセス 広報の石井裕氏から来場者への挨拶があり、ホンダアクセスの紹介とModulo製品へのこだわりなどが紹介されたあと、いよいよ登壇者がマイクを取った。

株式会社ホンダアクセス 広報の石井裕氏から来場者への挨拶と、ホンダアクセスについての紹介。モデューロ製品の特長であるこだわりのもの作りなどについて語られた
株式会社ホンダアクセス 開発部の湯沢峰司氏。このトークイベントではS660 モデューロ仕様の解説を担当
Caw Watch 神保町フリミ♯04/オープニング(19分23秒)

 トークのきっかけはもちろん土屋氏からだが、この時間帯の主役は隣に座っているホンダアクセスの湯沢氏であり、来場者やネット配信を見ている人の興味はS660についてなので、湯沢氏が発言しやすいきっかけを作ってくれた。

 まずはS660のパーツ開発におけるキーコンセプトだが、これは単純明快でS660という走りに特化したクルマを購入してくれたユーザーに向けて「スポーツカーとしての楽しみをもっと味わえるクルマに仕上げたい」というもの。それに対して行なってきたのが、パーツ作りの際にデータで議論するのではなく、真剣に考えた試作品をどんどん作ってそれを試すというものだ。求めるものに対して真っ直ぐ進む道である。その開発もS660車両本体と同時期から行なわれていて、当初から土屋氏には開発アドバイザーとして参加してもらっていたという。

 その土屋氏からは、「たしかにS660は軽自動車のレベルではないボディ剛性を持っているし、コーナリング性能もいいんですけれども、そこよりもさらにいいものってあるだろう」という発言があった。それは普段乗りも苦にならない、しっとりしなやかな質のよいフィーリングを持ちながら、サーキットを走ったときには硬めの足まわりを組んだクルマと同等のタイムが出るというもの。これはすごく難しいことではあるけれど、それを真剣に求めたのがS660のモデューロパーツであるという説明がされた。

 ここで岡本氏から発言があった。岡本氏はこれまで何度もS660に乗る機会があったが、それに比べて群馬サイクルスポーツセンターで乗ったモデューロ仕様車は“走りのよさ”を非常に強く感じたという。その走りについて岡本氏は、「ちょっと大げさな表現ですが、軽自動車だけどスーパーカーという感じです。これは速い遅いの視点ではなく、スポーツカーとして車体全体のバランス感がとてもよいという意味です」と表現した。

土屋氏のリードにより冒頭から内容の濃い話になった。それだけに来場者も真剣に聞いていた
S660 モデューロ仕様車の作り込みは非常に高いレベルを要求したという。その走りについては岡本氏も高く評価していた

 このような高い目標を実現するには、クルマ全体でレベルアップをしていく必要がある。そこでホンダアクセスが行なったことを湯沢氏に聞いてみると、まずアルミホイール。これは純正装着のホイールと同サイズながら、アルミホイールとクルマの最適剛性を突き詰めたもので、これでモデューロとして考えるS660の乗り味実現を目指したとのこと。

 そしてサスペンションはもちろんのこと、S660ではエアロに関しても力を入れた。エアロに関しては見た目のカッコよさは大事だが、モデューロとしてはそこに「絶対に性能を持たせよう」という考えをプラス。その結果がバンパー、グリル一体型のフロントフェイスキットで、見た目もいいが公道走行の速度域でも効果を発揮するようテストを重ねてできた形状だ。それほど手間と時間を掛け、なおかつ純正アクセサリーとしての品質を実現しているのに価格を抑えているのもポイントだという(価格は税別で10万円)。これはパーツ製造のコストと販売規模を考えるとかなり厳しい値付け。それでもやっぱり「この性能を商品にしたい」という思いが強かったので販売することができたという。

 続いて紹介されたのがアクティブスポイラー。これは軽自動車では初装備となるもので、しかも後付け可能の純正アクセサリーでそれを出すことも画期的と言えることだった。このスポイラーは本田技術研究所のS660開発陣と一緒になって作りあげた純正アクセサリーならではの製品だ。とくに今後は高速道路の制限速度が120km/hに引き上げられるという動きもあるので、高速走行時の安定性を向上させるこれらのパーツの存在感は高まってくるだろう。

Caw Watch 神保町フリミ#04/アクティブスポイラー、高速道路の制限速度120km/h時代について(18分9秒)

 ここで水村さんにモデューロ仕様車の印象を聞いてみると、なんとS660をドライブするためにAT限定免許の限定解除をつい最近行なったという。そして群馬サイクルスポーツセンターでの試乗では、先立って土屋氏が発言していたしっとり感などについて理解できたという。さらにアクティブスポイラーの効果についても、「あれがあるだけで安定感が全然違う」とハッキリ言えるほどその効果が体験できたようだ。

スライドを見ながら各部のパーツについての解説があった。実際に開発をした人が語るだけに、苦労話なども混じっているところが面白い

 さて、湯沢氏の話でアルミホイールのことが出てきたが、我々から見ると用品にアルミホイールがあるのは商品ラインアップ的に必要なもので、それ以上でも以下でもない気がするが、これについては土屋氏にも「レーシングカーならまだしも、タイヤのたわみも大きく、サスの動きもあり、加えてゴムブッシュでの動きもある市販車で、アルミホイールの剛性を変えて違いが出るかな~」という疑問もあったと言う。

 そのテストで、湯沢氏は剛性を変えた8種類のアルミホイールを用意。そしてそれらを1日中乗っていくうちに「3番目がよかったね」などと剛性の違いによる乗り味の変化が分かってきて、剛性が高すぎた試作品だとステアリングにゴツゴツした感覚が伝わってくることを感じていたという。そしてテストを重ねることで、最適なホイール剛性というものが掴めてきたのだ。

 では、その最適な剛性感を持つアルミホイールだと走りにどのような違いが出るのかだが、土屋氏からは「スポーツ走行時にステアリングを切りすぎないで済むので、気持ちよくスムーズに走れる」というコメントがあった。ここでステアリングが切れすぎるのは剛性が高すぎるアルミホイールに見られた傾向だった。こうしたテストを行なった結果見えたのが、「S660というクルマの車重やホイールベース、トレッドに対して最適なホイール剛性がある」ということ。そんなテストをして完成したのがアルミホイール「MR-R01」だった。

 このホイール剛性については岡本氏も感じていて、試乗のときには標準アルミとMR-R01を付け替えて走ったとのことだが、「ホントにステアリングを切ったときの反応が違うんです。ひと言で言えばよりリニアになりました。あとは乗り心地にも違いが感じられました。これについては自分でも不思議に思ったので、現地で湯沢さんに聞いてみたのですが、MR-R01はただ剛性を上げただけでなく、その剛性の出し方を整えるというか、S660にとって最適なバランスを作り出しているということなんですね」と、感心した点を語った。

 この乗り味について水村さんにも話題が振られたが、そこで出たコメントが「変な例えですが、ノーマルのS660は若い男性とデートしているような感覚で、モデューロ仕様は落ち着いたオジサマのような安心感のある男性とデートしている、というような違いでした」と、女性ならではの例えで会場を沸かせてくれた。

 さて、このようにS660用のモデューロパーツは色々発売されているのだが、すべてを一度に購入して装着できる人ばかりではない。そこでステージ上のメンバーに「最初に買うべきコストパフォーマンスがいいパーツはどれか?」という質問が上がった。

 この問いに対して、湯沢氏は「まずアルミホイールですかね」と回答。するとすぐさま土屋氏から「自分が作ったからだ」とツッコミが入る。これに対して湯沢氏は笑いながら「それもありますが、MR-R01に変えてもらうと乗り心地がよくなるし、ハンドリング性も向上するので」と解説してくれた。また、同サイズなので標準タイヤを使えるところが経済的でもあるとのことだった。

 そして土屋氏は、「ボクとしては乗ってすぐ分かるのがサスペンションだと思うのでこれを薦めます。ただ、S660のノーマルのよさを知らずにパーツを換えるのはもったいないので、できればノーマルで半年くらい乗ってほしいですね」とのこと。そして「S660 モデューロの持つしっとり感とか安定感などは、どこか1カ所の変更で作り出したものではないので、本来の乗り味を味わってもらうには順番は構わないのでフルで装着してほしいです」とのことだった。

 水村さんは開口一番「えー、1つだけですか……」と悩んだあと、「私もサスペンションをいちばん最初に換えるかな」とのことだった。一般女性を代表して参加していた水村さんだけに、これまでサスペンション交換を行なったクルマを所有したことはない。それだけに、サスペンションを換えるとクルマがどう変化するのかについてなど知るわけがなかった。ところが、群馬サイクルスポーツセンターでノーマルとモデューロ仕様車を乗り比べたことで「こんなに変わるんだ」ということを体験しただけにこの答えなのだ。

 次に岡本氏だが、「やはり変えた感がよく分かるサスペンションを薦めたいですね。ノーマルでもいいのですが、交換することで自分が欲しかった走りが手に入るというのがポイントですね」とのことだった。

S660を買ったとしてナニから付けるか? という問に対してホイールとサスペンションに意見が分かれた。ただ、水村さんは女性の目線から内装パーツについても触れて、「チタンシフトノブがカッコよかったです」と語っていた

コンプリートカー「N-ONE Modulo X」の魅力

続いて登壇したのは、N-ONE Modulo Xの開発を行なった株式会社ホンダアクセス 開発部の足立亮一氏

 さて、S660についてたっぷりと語ってくれた湯沢氏はここでいったん退席。今度はN-ONE Modulo Xが主役の第2部についてお伝えしよう。この第2部では、ホンダアクセスの足立亮一氏がステージに上がった。

 足立氏は、まずModulo Xとは何かと言うことから説明。「Modulo Xは今までのモデューロ製品の開発においてホンダアクセスが培ってきたものすべてを1台のクルマにつぎ込んで、さらにバランスを磨き上げた究極のコンプリートカーのことです」とコメント。このModulo XはN-BOXとN-ONEで製作されているが、どちらも軽自動車とは思えないスポーティかつ上質な乗り心地を実現しているものだ。

 このModulo Xの開発にも土屋氏は関わっているので、モデューロの開発とModulo Xの開発で違うところはあるのか? という質問が上がった。それに対して土屋氏は、「(モデューロもModulo Xも)一貫していますよね。硬い足がいい足ではないというところから始まっているのだけど、乗り心地をよくしながらも、走りもよくしているのがモデューロですね」と説明。

Caw Watch 神保町フリミ#04/Modulo Xとは?(7分21秒)
Caw Watch 神保町フリミ#04/N-ONEとN-ONE Modulo X乗り比べ(2名乗車/8分36秒)
Caw Watch 神保町フリミ#04/N-ONEとN-ONE Modulo X乗り比べ(4名乗車/10分11秒)

 さらに「その域にしっとり感や質感のよさが眠っているので、S660にしてもN-ONEにしてもそこを大事にしています。例えば日本の各地にあるコブが連続するようなところを通過したとき、ボーンボーンとなるのかパンパンという感じで収まるのかで、乗った印象はまるで違うのですが、モデューロは後者を狙っています」とのことだった。

 続いてコンプリートカーならではの作り方について足立氏に質問が上がったところ、N-ONE Modulo Xを題材にその説明をしてくれた。「例えば、N-ONE Modulo Xにはボディ剛性を調整するパーツが追加されています。ノーマル車に装着されている部品は、あくまでもノーマル車のセッティングに合わせたもので、サスペンションを変えると、その部品が狙ったとおりの効果が得られないこともあります。そこでそういったパーツをあえて外したり、Modulo X専用のパーツに換えたりすることで、サスペンションのセッティングもさらに突っ込んだところに踏み込むことができるのです」とのこと。

 さらに、「N-ONE Modulo XではCVTの変速セッティングも変更していますし、EPS(電動パワーステアリング)のセッティングもサスペンションに合わせて変えてます。こういった後から変更できないところまで手を入れられるのがコンプリートカーならではです」と、たしかにディーラーで用品を取り付けてもらうレベルでは実現できない域まで作り込まれているのが理解できた。

 ちなみに裏話として教えてくれたことがあった。それが開発時の思わぬトラブル(?)で、N-ONE Modulo XはN-ONEのロールーフ仕様をベースにしているが、開発を始めたのはロールーフ仕様が発売される前だったので、ホンダアクセスはノーマルルーフ車のルーフを切断してロールーフ仕様を作り、それで開発テストをスタートさせた。

 そして開発も進んだころ、ロールーフ仕様が完成したのでそのクルマに試作品を装着してテストしたところ、なんとフィーリングがまるで違ったという。新型のロールーフ仕様車に標準車と異なる補強が施されていて、ボディ剛性自体が標準車とは違っていたのだ。そのため、N-ONE Modulo Xの開発は大幅にやり直すことになったというが、ここでお茶を濁すような解決法を選ばないのはさすが純正ブランドと言えるだろう。

 では、その走りについて群馬サイクルスポーツセンターで実車に乗った岡本氏に印象を聞いたところ、「やはりこのクルマもS660と同じく上質さというものを感じました。実は群馬サイクルスポーツセンターでの試乗のあと、N-ONEのノーマル車を借りてきてさらに違いを見極めようと乗りまわしていました。そこでなにより感じたのが、サスペンションとEPSのセッティングが非常に大事だということでした」という。

 次に同じ質問を水村さんに聞いてみたところ、「N-ONE Modulo Xは自分でも運転したし、土屋さん、岡本さんの助手席にも乗せてもらっています。そこで感じたのが、S660よりもモデューロ仕様になったあとの乗り味の変化がハッキリ分かるということでした。それも動き出しから違いが分かったし、この群馬サイクルスポーツセンターは峠道のようなコースなので運転が難しいのですが、N-ONE Modulo Xをドライブしたときは自分の運転が上手くなったような気がしてしまうほどスムーズに走れました」とのことだった。

N-ONE Modulo Xはしっとりとしていて上質な乗り味を実現するため、サスペンションにあわせてEPSのプログラムも最適化し直した。また、ボディ剛性も補強パーツの最適化により、N-ONE ModuloX用に見直しているという

 Car Watchでは群馬サイクルスポーツセンターでの試乗時に各自の走りを映像に収めていたので、それを会場とニコ生で流したところ非常に好評を得た。とくに土屋氏がドライブして助手席に岡本氏、リアシートに水村さんと足立氏が乗ったインカー映像では、ノーマルのN-ONEとN-ONE Modulo Xで同じコースを走っているとは思えないほどの違いがあった。ノーマルではギャップやうねりがあるところではリアシートに座る水村さんの身体が大きく動くのに対して、N-ONE Modulo Xはその動きがない。これはハッキリと見分けられるほどの違いだった。しかも軽自動車としてはちょっと厳しい大人4人乗車でのハイペース走行でそれなので、1人、もしくは2人でドライブに行くときはさらに快適度は増すだろう。

 また、この試乗のときは2016年の東京オートサロンで展示された「ステップワゴン Modulo Concept」に試乗することができた。このクルマでもコースを走行しているが、こちらもコンセプトカーの段階にも関わらず、ミニバンらしからぬスピードで群馬サイクルスポーツセンターを走っていた。そのときのインカー映像はN-ONE Modulo X同様、2列目の乗員がリラックスして乗っていることが確認できた。

群馬サイクルスポーツセンターでの試乗の模様は映像に収めてある。それを見ると標準車とモデューロ仕様車の乗り味の違いがはっきりと分かった。これについてはニコ生の視聴者もコメントしていた
Caw Watch 神保町フリミ#04/N-ONEとN-ONE Modulo X乗り比べの感想・まとめ(14分34秒)
Caw Watch 神保町フリミ#04/「ステップワゴン Modulo Concept」試乗(9分48秒)

 このように、モデューロ仕様全車について開発の方向性は同じ乗り味を目指しており、その仕上がりは上質で気持ちよい走りを実現していることを証明できた結果になったが、これについて土屋氏は、「これは開発陣がみんなクルマ好きであることがポイントでしょう。そして繊細でもありますし、計算や想像で議論するよりもやってから答えを出そうという考えを持っています。だからこういうクルマが作れるのだと思います」とのことだった。

 ということで会場、ニコ生ともに盛り上がったトークイベントだったが、終了時間が迫ったところで来場者からの質問を受けた。ここで湯沢氏もステージに戻って5名で質問に対応したが、予定時間を過ぎてしまうほどこの時間も盛り上がった。その質問にもVSA(ビークル・スタビリティ・アシスト)とサスチューンの関係性についてなどかなり鋭いものもあり、その質問の答えはVSAの動作も考慮したセッティングを行なっているというもので、純正メーカーならではの開発が行なわれていることがうかがえた。

 この質問コーナーが終わったあとは記念撮影タイムだったが、ここも人気者の土屋氏だけに撮影待ち、サイン待ちの列ができ、最後の最後まで活気があるイベントとなった。

最後は来場者からの質問コーナーだったが、ここも活発で予定時間を超えて質問のやり取りが行なわれた
スタートから活気あるトークイベントになった。イベントが終わっても土屋氏をはじめトークメンバーのまわりには人だかりになっていた
Caw Watch 神保町フリミ♯04/質疑応答(18分5秒)

協力:株式会社ホンダアクセス