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【インタビュー】プジョーのマーケティングトップ ギヨーム・コーズィー氏に聞く

国内初導入のディーゼル車「508 GT」を始めとした、東京モーターショー2015展示車両の魅力や今後の展開が語られる

ディーゼルエンジンモデルの「508 GT」を国内に投入。身近なモデル「208」を新しくするなど、話題の欠かないプジョー。マーケティングのトップであるギヨーム・コーズィー氏に、今のプジョーとこれからの戦略などを伺った

 プジョー(プジョー・シトロエン・ジャポン)は、「第44回東京モーターショー2015」において、パワフルなホットハッチ「308 GTi by PEUGEOT SPORT」を日本初公開した。

 また、会場内には国内初導入となるディーゼルエンジンモデル「508 GT」のほか、デザインとパワートレーンを刷新した「208 Allure」、スポーティなエクステリアと上質なインテリアが特徴のステーションワゴン「308 SW GT Line」、スタイリッシュなブラックレザーシートを装備した特別仕様車「2008 LEATHER EDITION」の5台を出展している。

TOKYO MOTOR SHOW 2015 PEUGEOTプレスカンファレンス(冒頭挨拶)
「PEUGEOT NEW 308 GTi by PEUGEOT SPORT」日本初公開アンベール
「PEUGEOT NEW 308 GTi by PEUGEOT SPORT」の概要説明
プジョーブランド マーケティング&コミュニケーション・ディレクターのギヨーム・コーズィー氏

 プレスデー初日にブースにて、308 GTi by PEUGEOT SPORTの日本初公開アンベールを行った、プジョーブランド マーケティング&コミュニケーション・ディレクターのギヨーム・コーズィー氏に、ディーゼルエンジンモデルの国内投入から、エコカーへの取り組みはどうなるのか、もっとも身近で関心の高いコンパクトモデル 208が刷新でどう進化したのかなど、今回の出展車両にからめ、今のプジョーの魅力とこれからの戦略について話を聞いた。

──国内初導入のディーゼルエンジンモデル「508 GT」ですが、「GT」ラインでもあり、スポーティな味付けになっているのでしょうか?

コーズィー氏:確かに180PSありますが、必ずしもスポーティだとは考えていません。どちらかというと、スポーティさよりも快適さを期待されているととらえています。快適さと走りの性能をバランスがよくとられているクルマだとお考えください。

──508 GTの登場により、今後もディーゼルモデルは増やしていきますか? コンパクトカーの308や208などへも展開していくのでしょうか?

コーズィー氏:それは今まさに検討中です。私たちが持つディーゼルの汚染除去技術はとても効率性の高いものだと思っています。NOxは90%削減、粒子状物質は99%削減できます。これをほかのセグメントに拡大することは大いにあり得ることです。308への展開は、その1つの可能性としてあると考えています。

ディーゼルモデルの508 GT
日本初導入のディーゼルモデル「PEUGEOT 508 GT」

──海外ではPHEV(プラグインハイブリッド)のコンセプトモデルとして「308 R HYbrid」が発表されていますが、PHEVの展開も今後視野に入れていますか?

コーズィー氏:興味深い質問です。確かにコンセプトとして発表していますので、これからマーケットからのフィードバックを検討していきたいと思っています。フィードバックからよいものが得られば、500PSというスポーツタイプのハイブリッドで生産車を考えていくことは十分あると思います。また、PHEV技術に関してはグローバルな新技術として開発中で、将来的にはCセグメント(308クラス)に向けた形で開発していくことを検討しています。

──ディーゼルとのハイブリッドである「HYbrid4」エンジン(3008 HYbrid 4として海外で発売)は、どのような扱いになっていくのでしょうか?

コーズィー氏:「3008」と「508」ですでに販売しているこのディーゼルハイブリッド技術は、我々が初めて世に送り出したものです。とても興味深い技術で、グローバルでの生産台数もよい数字になってきていると感じています。

──「HYbrid4」を日本に持ってくることは考えていますか?

コーズィー氏:現時点では、ディーゼルハイブリッドモデルを日本市場に持ってくることは、あまり適切な判断ではないと考えています。

208 AllureのCielo Package装着車

──208を話題にしていきましょう。日本では手軽なコンパクトカーも人気なので、注目しているファンも多いと思います。新しい208はパワフルな走りも期待できます。MTモデルを選択できるのは、プジョーファンには魅力となっています。

コーズィー氏:おそらく販売台数の比率的には、MTよりATが多くなると思います。新しく採用した「EAT6」という6速ATは、従来モデルに採用される「ETG5」(2ペダルMTの5速ETG)よりも日本の市場にフィットしたものになると考えています。

──新しい6速ATのフィーリングはいかがですか?

コーズィー氏:変速機の変更理由は商品の改善を図るためで、我々は常に最新の技術を採用していきます。EAT6は日本のアイシンAW製のもので、6速化するとともに各種のフリクションも減らして効率を高めました。ギヤチェンジにかかるレスポンスタイムも40%速くなり、とてもいいフィーリングでドライブすることができます。

──5月末から208台限定で販売した208 Styleは、価格が200万を切る199万円で反響も大きかったのではないでしょうか?

コーズィー氏:このモデルは世界中で売られていて、とても成功しています。価格と装備のバランスがよいからだと思っております。

日本初公開「NEW PEUGEOT 208」
208 Allure(手前側)と2008 LEATHER EDITION(奥側)

──今回、コンパクトSUVの2008 LEATHER EDITIONが展示されています。クロスオーバーモデルは、世界的にも人気が高まっているようです。日本のユーザーは、2008をどのような着眼点で選んでいるとお考えでしょうか。

コーズィー氏:小さめのサイズのクロスオーバーは、ヨーロッパにおいて大変強いトレンドになっています。2008も発売以降、非常に成功したモデルになっています。ヨーロッパにおいて、期待をはるかに上まわる販売台数になりました。

 日本においても、小型輸入車のセグメントの中で、売り上げ上位になっていますので、とても成功しています。日本のみに特有なことかはわかりませんが、世界的なトレンドとして言えることは、自動車を楽しみたいというユーザーが増えていて、典型的なセダンとは違ったモデルを楽しみたいというトレンドが見られることだと思います。

 そういった意味でデザインはとても重要だと考えています。独創的であるということ、ほかとは違うと感じられることも重要だと考えています。クロスオーバーモデルとしてドライビングポジションが高いだけでなく、プジョーのクルマでないと感じることのできない感覚が2008にはあると思っています。

──最後に、日本の自動車ファンに向けて、プジョーが持つフレンチカーの魅力を簡単にお伝えください。

コーズィー氏:自動車には最低限クリアしなくてはならない品質レベルがあると思っています。プジョーは品質に関して、とても高い注意と関心を持ってきました。プジョーには、ほかとは2つの大きな違った点があります。1つはデザインがとても強く官能的で魅力に富んでいるということ。次は走りの体感が、よりエモーショナルな心に訴えかけるようなものであることです。日本の皆さまは、フランスという国や人々を好きでいてくれていると思っています。今回の新しいプジョーラインアップで、私たちのクルマをもっと好きになっていただけたらと願っています。

──ありがとうございました。

今回お話を伺ったプジョーブランド マーケティング&コミュニケーション・ディレクターのギヨーム・コーズィー氏は、1969年生まれ。パリ第1大学 国際マネージメント修士を経て、1997年からプジョー・ポルトガル マーケティング・ディレクターを努め、途中2007年からのプジョー・メキシコ CEOと、2010年からのプジョー・ブラジル CEOを経験。2012年1月よりプジョーブランド、マーケティング&コミュニケーション・ディレクターに就任している

協力:プジョー・シトロエン・ジャポン株式会社

(村上俊一/Photo:村上俊一/Movie:石岡宣慶/Photo:若林直樹)