F1カメラマン熱田護の「気合いで撮る!」

第6回:オーストラリアGP

 オーストラリアGPは、3年前に中止という決断をしたグランプリ。

 あの時は、新型コロナウイルスがここまで長期にわたる影響を世界中に与えるとは思ってませんでした。思い起こせば、その時は金子カメラマンも来ていたんだな……とか思い出します。

 このサーキットの名物といえば、このメルボルンウォーク。ドライバーにサインをもらったり、写真を一緒に撮ったりできる200mくらいの道です。

 ここに集まってきているファンは、開場前に並んで、ダッシュでここに集まるのだと思います。

 こうして、ドライバーが現れると大歓声で迎えてくれます。いい雰囲気ですよね。

 ただ、お客さんのほとんどはノーマスク。しかも密集で大歓声。正直なところ、屋外とはいえ大丈夫なのかと感じてしまいます。

 オーストラリアのコロナ対策は世界的にみてもかなり厳しい措置をとってきました。でも、経済などを鑑みて、緩和せざるを得なかったんでしょうね。

 3年我慢したファンの熱気は、例年の3倍感じました。

 リカルド選手の地元ですから、毎日時間をかけてサインに応じていました。

 リカルド選手が現れた時に涙ぐむ女性。

 写真も撮れてよかった!

 スポーツを見る、選手のファンになる、会うための努力をする、報われる。一生の思い出にもなるかもしれません。

 今年は、日本からの遠征組の姿を見れなかったですが、来年はぜひ皆さん行ってくださいね!

 ハミルトン選手のフィジオのアンジェラさんにも声援が飛びます!

 ガスリー選手もいい笑顔です。

 角田選手も登場です。

 レッドブルのジュニアドライバー、ビップス選手も時間をかけてサインしてました。

 ペレス選手は、シビック TYPE Rに乗って登場でした。

 金曜日のFP1はピットの撮影に行きました。

 金網みたいな装置は、実際に走ってみて、空気の流れを測定するデバイスです。数周走行した後ガレージに戻って取り外されます。

 レッドブルのミラー。というか、ミラーのマワりの空気の流れをスムーズに流すカーボン製のフィン。

 メルセデスのマシンの側面。

 空気の取り入れ口が小さくその後ろのカウルの処理は極端に絞っています。この造形が原因なのかどうかは僕には分かりませんが、フェラーリ、レッドブルのペースには今のところついていけません。

 でも、見れば見るほど各チームの創意工夫が素晴らしくて、さすがF1という感じがします。

 アルファタウリのステアリング。最近の流れのスタンダードなつくりです。

 ベッテル選手がようやくコロナから復帰です。

 アライヘルメットには、反戦の「No WAR」という文字。

 頭頂部にはイマジンの歌詞が書いてあり、黄色と青色のウクライナカラーです。

 ベッテル選手は、主義主張を表に出して主張するドライバーです。主張するということは、本業のレースをするということにプラスになるのかならないのかという問題もあるけれど、僕は大切なことだと思います。

 セッション後のガレージ裏では、ピレリタイヤのスタッフとチームのタイヤ担当がタイヤ表面をチェックする大切な時間です。

 角田選手、前戦のサウジアラビアのわるい流れを断ち切りたいのですが、予選は13位。

 しかも、予選のインラップにゆっくり走ったということで、3段並んで走っていた状況で、なぜか角田選手だけがペナルティーを受けるなど……。

 角田選手のご両親も応援に来ていました。今年は何戦か観に来るそうです。

 アルファタウリのマシンと相性のいいサーキットはどこなんでしょうね。

 予選の時の光が綺麗でした。

 このように撮影したいと思った時に、レッドブルやフェラーリのように艶消し塗装だとマシンが光ってくれません。ですから、僕は艶あり塗装推奨派です!

 レース前のドライバーズパレード。今回は全員、コブラに乗ってのパレードでした。

 ルクレール選手への声援は大きいです。

 フェルスタッペン選手は、着席で。

 角田選手も人気です。

 ハミルトン選手が、立ち上がって手を振っています!

 アロンソ選手は考え事?? 予選でのクラッシュの影響なのか手のテーピングが……。

 大声援を受けてリカルド選手の笑顔が弾けます! いいですよね!

 アロンソ選手のレース直前の様子。

 予選でのマシントラブルによるアタックラップ時のクラッシュ。素晴らしいタイムを刻んでいたそうで、残念です。

 グリッドでの角田選手。

 少し緊張なのか、なんなのか、マシンのセットアップに不安でもあったのか、そんな表情が多かった気がします。

 サインツ選手も、予選でうまくいかず、レースでもうまくいかず……。流れを掴めずに1レース終わってしまうことの見本みたいなグランプリでした。

 小松さん率いる、ハースも今回はうまく行きませんでした。次に期待です。

 左側が、ポール・スタッダードさん、ミナルディーの最後のチーム代表。そしてミナルディーからトロロッソになってから現在まで、アルファタウリ代表のフランツ・トストさん。

 レース2周目。

 角田選手はこの後、徐々に順位を落としてしまいました。原因をしっかり出して、今後に繋げていきたいです。

 レースは、素晴らしいレースペースで完璧なレースをした、ルクレール選手が優勝。

 ここのレースの僕の動き方は、グリッドを撮り、1コーナーでスタートを撮ったあとは、順回りにアウト側を歩きつつ撮りながら、コースを半分くらい回って、湖の真ん中の橋を渡って表彰台に戻るという流れにしています。

 そうすると、もう歩きまくりですし、ぎりぎりたくさんの周回を撮影したいので、最後は汗だくでした。

 水を持っていくのを忘れたのでキツかったところに、表彰台の下にいてシャンパンの粒が3滴ほど口に入ったのが、すごくおいしかった! ルクレール選手おめでとうございました!

 フェルスタッペン選手のトラブルが心配ですね……。2位は確実だったのに。

 という感じで、次は4月22日~24日のイタリア、イモラです。

熱田 護

(あつた まもる)1963年、三重県鈴鹿市生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。1985年ヴェガ インターナショナルに入社。坪内隆直氏に師事し、2輪世界GPを転戦。1992年よりフリーランスとしてF1をはじめとするモータースポーツや市販車の撮影を行なう。 広告のほか、「デジタルカメラマガジン」などで作品を発表。2019年にF1取材500戦をまとめた写真集「500GP」を、2022年にF1写真集「Champion」をインプレスから発行。日本レース写真家協会(JRPA)会員、日本スポーツ写真協会(JSPA)会員。